ゼリーは一見すると赤ちゃんでも食べやすそうに思えますが、実は食物アレルギーと窒息事故という2つの点で注意が必要な食べ物です。では、いったいゼリーはいつから、どうやって食べさせたらいいのでしょうか?
今回は、赤ちゃんにゼリーはいつからあげていいのか、あげるときの注意点などについてご説明します。
赤ちゃんはゼリーをいつから食べられる?
ゼリーの原材料には、動物由来のゼラチンと海藻由来の寒天があります。粉寒天で作られたゼリーであれば、離乳食後期(生後9~11ヶ月)ごろから与えられます。ゼラチンで作られたゼリーは、明確な基準はありませんが、1歳半を過ぎてからが目安です。
ゼラチンは、アレルギー反応が起きやすく、蕁麻疹や下痢、呼吸困難などの食物アレルギーと呼ばれる症状を引き起こすことがあります(※1)。十分に体力がついてから与えると安心です。
一方、寒天は食物アレルギーを引き起こす物質だとは考えられていないため、離乳食に慣れた後期ごろから与えても問題ないとされています。
赤ちゃんにゼリーをあげるときの方法は?
赤ちゃんにゼリーをあげるときは、はじめはスプーン1杯以下のごく少量にし、飲み込む様子を確認しながらあげるとよいでしょう。
1歳半以降にゼラチンで作られたゼリーを食べる場合も、一度にたくさんあげてしまうと、食物アレルギーになってしまったときにアレルギーの症状が強く出てしまう可能性があります。
また、ゼリーは表面が滑らかで上向きに吸い込みやすいほか、赤ちゃんは歯が十分に発育しておらず噛む力も未熟なため、弾力があるゼリーを噛まずにのどに詰まらせてしまうこともあります。
ゼリーを食べさせるときは、次のような点を意識して与えてください(※2,3)。
● ゼリーの特性と安全な食べ方を理解する
● 一口の量を多くせず、口の前の方に入れてあげる
● よく噛むように促す
● 食べることに集中させる
● 飲み込むまで大人が側にいて注意して見ている
赤ちゃんにゼリーをあげるときの注意点は?
ゼリーは先述のように、のどに詰まらせやすい食品です。赤ちゃんにゼリーを与えるときは、くれぐれも誤飲・窒息事故に注意してください。
食べ物による窒息事故のうち約8割が子どもと高齢者で占められており、なかでも12歳以下の子どもの場合、カップ入りのゼリーによって命に関わる大きな事故も起きています(※2)。
特にこんにゃく入りゼリーは一般的なゼリーより硬く、赤ちゃんにとっては噛み切りにくいものが多いです。冷やすとさらに硬さも増すため、十分に噛みきれないままのどに送り込まれてしまい、窒息しやすくなります(※3)。
一口タイプのこんにゃく入りゼリーのパッケージには、子どもや高齢者には不向きなことを示す警告マークや注意書きが表示されています。
実際、こんにゃく入りゼリーでも過去に窒息事故が起きているため、自発的にしっかり噛むことができるようになるまでは、積極的に与えないようにしましょう。
ゼリーを購入するときや赤ちゃんに与える前に、この警告マークや注意書きがないか確認してください(※2)。
のどにゼリーを詰まらせてしまったときの対処法は?
万が一赤ちゃんがゼリーで窒息してしまったら、できれば他の人に119番通報を頼み、のどに詰まったゼリーを以下の手順で吐き出させてください(※2)。
呼吸ができない状態になると時間との勝負になるため、迅速に応急処置をしましょう。
● 1歳未満の乳児の場合
1. 膝を曲げる、もしくは、椅子に座る
2. 太ももの上に赤ちゃんをうつ伏せに抱き上げる
3. 赤ちゃんの背中の肩甲骨の間あたりを手のひら5〜6回強く叩く
● 1歳以上の子どもの場合
1. 子供の背中側から両手をまわす
2. みぞおちの前で両手を組む
3. 勢いよく両手を絞ってぎゅっと押す
赤ちゃんにゼリーをあげるときは十分注意を
1歳ごろになると、赤ちゃんが食べられる食材も増え、離乳食のバリエーションがぐんと増えます。「食べやすそうだから」と、ゼリーをあげたくなるかもしれませんが、ゼリーを赤ちゃんに与えるときは、食物アレルギーと窒息事故の観点から注意が必要です。
赤ちゃんにゼリーをあげるときは、その危険性を十分理解したうえで、様子をみながら少しずつ食べさせてください。