水いぼは子供が感染しやすいウイルス性の病気で、触ったり、引っかいたりすると数が増えてしまいます。数が少ないうちに治療をすることが重要とされていますが、治療法がいくつもあり、どの治療法が最適なのか医師の間でも意見が分かれています。そこで今回は、子供が水いぼになったときに納得して治療が受けられるように、水いぼの治療法や自然治癒するのか、そして治療法の一つであるイソジンで本当に治るのかを説明します。
水いぼとは?
水いぼとは、皮膚に伝染性軟属腫ウイルスが感染することで発症するいぼです。水いぼは直径2〜5mm程度の大きさで、水っぽい光沢があり、真ん中が少し窪んでいるのが特徴です。
最初は一つしか水いぼがなかったとしても、水いぼを自分でいじったり、かいたりすることでウイルスが広がっていき、いぼがたくさん発生します(※1)。
ただし水いぼを発症しても、他の病気を合併するなどの危険性は特にありません。
子供や赤ちゃんは水いぼに要注意?
子供や赤ちゃんは水いぼになりやすいとされていますが、特に以下に該当する子供は注意が必要です(※2)。
● 7歳以下の子供
● アトピー性皮膚炎の子供
● 乾燥肌の子供
7歳以下の子供や赤ちゃんが水いぼになりやすいのは、これくらいの年齢の子供は皮膚の「バリア機能」が発達していないからです。免疫力も弱いために伝染性軟属腫ウイルスに感染しやすく、広がりやすいのです。
アトピー性皮膚炎や乾燥肌の子が水いぼに感染しやすいのも同じ理由です。アトピー性皮膚炎や乾燥肌の皮膚はバリア機能が弱まっています。
しかも、アトピー性皮膚炎の子は、湿疹をかくのと一緒に水いぼもかいてしまいがちなので、水いぼが全身に広がりやすいとされています。また、「とびひ」などの2次感染を起こす可能性があります(※2)。
子供の水いぼの治療法は?薬を使うの?
水いぼの治療法はいくつかあります。ここでは、その一部を紹介します。
ただし、水いぼの治療法については医師の間でも意見が分かれています。子供の水いぼを治療する際は、医師と相談したうえで治療法を選択してください(※1)。
ピンセットでつまみ取る
水いぼの数が少ないときに行えば、もっとも確実で早く治せる治療方法です。
先が輪になった水いぼ専用のピンセットで、いぼをしっかりと挟み、中身をつまみ取ります。多少痛みはありますが、10個以内であれば子供も我慢できることが多いとされます。しかし、何十個もの水いぼを取ろうとすると、我慢できず嫌がって泣き出す子供が多くいます。
痛みを取るための局所麻酔入りのクリームやテープがあるので、それを治療の1時間前くらいから使っておいて、痛みを軽くすることもできます(※2)。
液体窒素で凍らせる
ピンセットでつまみ取る方法と同じく、水いぼの数が少ないうちに行うのであれば、もっとも確実な治療方法です。ただし、すべての水いぼを治療し終えるまでに時間がかかるため、その間に伝染性軟属腫ウイルスが他の皮膚に感染し、新たな水いぼを発症することがあります(※1)。
カンタリジンを塗る
水いぼの治療では、いぼにカンタリジンという物質を塗ることがあります(※1)。
カンタリジンとは、ツチハンミョウという昆虫の体液に含まれる物質で、致死量がわずか30mgの猛毒です。昔は毒薬として使用されていましたが、おできの膿を出すために刺激発泡剤として利用されたり、躁うつ病や性病などの治療のために使われることがあるとされています(※3)。
イミキモド・クリームを塗る
水いぼの治療では、イミキモド・クリームを使う場合があります(※1)。
主成分のイミキモドにウイルス増殖を抑えたり、免疫反応を促す効果があるため、水いぼに効くと考えられています。就寝前に水いぼに塗り、起床後に石鹸を使って洗い流すのが基本的な使用方法です。
ただしイミキモド・クリームは水いぼの治療用の薬ではなく、本来は尖圭コンジローマや日光角化症に使う薬です。子供や赤ちゃんへの安全性もはっきりしていないため、使用の際は主治医の指示に従ってください(※4)。
スピール膏を貼る
スピール膏という、角質を柔らかくするサリチル酸が含まれている絆創膏を水いぼに貼って治療する方法もあります(※5)。
水いぼと同じくらいの大きさに切り取ってしっかり貼り、2〜5日ごとに取り替えます(※6)。小さい水いぼであれば、この使い方でポロリと取れることがあるとされています。
ただし、子供や赤ちゃんは長期間使用していると稀に食欲不振や嘔吐、消化管出血、皮膚の発赤などの副作用が出るため、使用する際には主治医に相談しましょう。
また糖尿病を患っていると感染症に対する免疫が弱まっているため、スピール膏を使ったときに皮膚を傷つけると、そこからウイルスや細菌に感染しやすくなるので注意が必要です(※6)。
イソジンを塗る
水いぼにイソジンを塗って治療することもあります(※5)。
イソジンというとうがい薬のイメージが強いですが、手術のときや皮膚に傷、やけどなどを負ったときの消毒にも使われます(※7)。綿棒などでイソジンを何度も塗ると、イソジンに含まれるポピドンヨードにより水いぼが治ることがあり、この治療法を選択する医師もいるようです。
ただし、イソジンには細菌やウイルスを殺す効果はありますが、水いぼの治療に効果があるという明確な根拠が製造元から出されていません(※7)。イソジンを水いぼの治療に使う場合は、事前に医師に相談をしましょう。
ヨクイニンを飲む
水いぼの治療として、ヨクイニンを飲む場合もあります(※5)。
ヨクイニンはハトムギから作られる漢方薬で、昔からいぼの治療に使われていました。膿を吸収したり出したりすることを促す作用があり、肌荒れの改善や美容目的のサプリメントとして市販されていることがよくあります(※8)。効果がみられるまでに1〜2ヶ月かかることがあります。
子供の水いぼは治療せずに自然治癒を待つこともあるの?治癒までの期間は?
水いぼの数が多いときは、積極的な治療を行わず、自然治癒するのを待つ場合もあります。
ただし、自然治癒するまでにかかる時間は、子供の抵抗力次第です。短ければ約6ヶ月、長ければ3年ほどかかるといわれています。その間に、水いぼの数が増えてしまうことも十分に考えられます。
また、水いぼは発症しても保育園や小学校への登園・登校が制限されないため、自然治癒を待っている間に他の子供に水いぼをうつしてしまう恐れもあります(※1,2)。
子供の水いぼは、治療か自然治癒を待つかは様々
水いぼは治療しなくても自然に治ることがあります。しかし治るまでに時間がかかり、その間に他の子供に水いぼをうつしてしまうかもしれないため、早めに治療を行った方がいいとされています。
子供が水いぼにかかったら、まずはなるべく早く病院に行きましょう。治療するか、自然治癒を待つかは、医師としっかりと話し合って決めてくださいね。