成人するまでに多くの人が一度は感染する「肺炎マイコプラズマ」。ちょっと名前がややこしいのですが、この細菌に感染して起こるのが「マイコプラズマ肺炎」です。あまり重症化することはないものの、ときには入院して治療が必要になってしまうこともあります。今回は、マイコプラズマ肺炎で入院が必要となる基準や入院期間についてご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?
肺炎マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる病気を総称して、マイコプラズマ感染症と言います。マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ感染症のなかでも特に肺炎の症状があらわれた状態のことを指します。
肺炎マイコプラズマは、5歳までに65%が感染を経験し、成人の97%が少なくとも一度は感染しています(※1)。5歳未満の子供が感染した場合は、症状が軽いか、症状が何もないことがほとんどです。
マイコプラズマ感染症には、気管支炎や中耳炎、咽頭炎、鼓膜炎などがあり、マイコプラズマ肺炎にかかるのは、肺炎マイコプラズマに感染した子供の10%ほどです(※1)。
マイコプラズマ肺炎は、細菌に感染してから2~3週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛が3~4日続き、そのあとに咳が悪化していきます。
最初は乾いた咳が出ますが、その後咳に痰が絡み、痰に血が混じることもあります。発熱が治まったあとも咳は悪化し、4週間にわたって続くこともあります(※1)。
5歳から35歳に起こる一般的にいわれる肺炎の多くは、マイコプラズマ肺炎です(※1)。
マイコプラズマ肺炎で入院することがある?
マイコプラズマ肺炎は、症状に個人差があるという特徴があります。2~3日で治る人もいれば、解熱するまでに1週間ほどかかり、咳が治るまで1ヶ月以上かかる人もいます(※1)。
発症しても入院は必要ないことが多いですが、夜間に眠れないほど呼吸がつらくなったり、食事や水分が摂れないことで脱水になったりすると、入院して治療を行うこともあります。
また可能性としては低いものの、マイコプラズマ肺炎の合併症として、脳炎などが起こることがあります(※1)。その場合も、入院が必要になることがあります。
マイコプラズマ肺炎の入院基準や期間は?
マイコプラズマ肺炎に限らず、子供の肺炎において、以下のような症状があれば入院することが検討されます(※2)。
● 呼吸数が多い
● 陥没呼吸(息を吸うときに胸が陥没するような呼吸)や鼻翼呼吸(息を吸い込むときに鼻が開くような呼吸)があること
● 胸部X線検査での影が肺の1/3以上に及ぶこと
● 胸に水が溜まっていること
● 脱水があること
入院期間は状態によって異なり、一概には言えませんが、最低でも3日程度は必要です。もちろん、上記の症状が治まらない場合には、その分入院期間が長くなります。
マイコプラズマ肺炎で入院しないためには
入院で治療を行うとなると、子供本人だけでなく、ママ・パパも大変になってしまいます。できるだけ入院を避けるためには、早めに病院に行って対処してもらうことが大切です。
マイコプラズマ肺炎の初期症状は、一般的な風邪に似ているので「咳だけがなかなか治らないけど、解熱したから大丈夫だろう」と考えてしまいがちです。
そのため重症化していることに気づきにくく、呼吸がつらいほど症状がひどくなって病院に行ったら肺炎と診断された…ということになってしまいかねません。
マイコプラズマ肺炎は抗生物質で治療できるので、咳が長引いたり、周りに感染者がいることが明らかだったりする場合には病院を受診しましょう(※1)。
マイコプラズマ肺炎は注意深く様子を見て入院を防ごう
「肺炎」と聞くと、かなり重い病気というイメージがあるかもしれません。しかしマイコプラズマ肺炎は、咳が長引くことはあるものの、多くの場合はあまり重症化せず治る病気です。
ただし軽く考えていると、気が付くと入院が必要なほどに悪化していた…という状況に陥ってしまうこともあります。発熱が治まっても咳で子供がつらそうにしていたら、「そのうち良くなるよ」と楽観しすぎずに、再度病院を受診してくださいね。