不妊治療にかかる費用は?目安はどれくらい?病院によって違うの?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

不妊治療は、治療内容や方法、期間によって、必要となる費用に個人差があります。「いつまで」という明確な期限がないからこそ、あらかじめ費用の準備はしておきたいですよね。

今回は、不妊治療の種類ごとに必要な費用の目安についてご紹介します。

不妊治療は保険が適用される?

お金 節約

不妊治療は基本的には保険適用されるため、自己負担額は3割です。

タイミング法や人工授精といった「一般不妊治療」、体外受精や顕微授精などの「生殖補助医療(特定不妊治療)」も対象です。事実婚のカップルにも適用されます(※1)。

ただし、なかには保険が適用されない治療や検査があったり、病院ごとに保険適用の有無が異なる場合もあったりします。

また、自由診療+保険適用の治療や検査の組み合わせは「混合診療」となり、保険が適用されないため注意が必要です(※2)。

例えば、不妊の原因に対する保険適用外の手術と体外受精などを同時におこなった場合は混合診療となり、全額自費になります。

治療内容によっては保険適用内で進められるケースもあるので、不妊治療を始める際に、医師と費用についてもしっかりと相談するようにしてくださいね。

タイミング法の費用はどれくらい?

日本人 夫婦 病院 診察 不妊治療

タイミング法とは、医師の指導によって基礎体温や超音波検査、ホルモン検査などから排卵日を予測し、最も妊娠しやすいタイミングにあわせて性交渉を行う方法です。

不妊治療の最初のステップと言われています。

タイミング法の費用目安

タイミング法は保険が適用され、病院を受診し、医師によるタイミング法の指導を受けるだけであれば、自己負担額は1回あたり2,000円〜3,000円程度です。

ただし、保険適用に回数の上限がある検査があったり、治療内容によって混合治療となりすべて自己負担になったりする場合もあります。その場合、1回あたり合計で1~2万円かかることもあります。

タイミング法の回数目安

一般的に、35歳未満の女性の場合、1周期あたりの通院が2〜3回で、6〜8周期ほど続けるケースが多く、その分受診料や検査費用がかかります。

タイミング法を続けても妊娠に至らない場合や、年齢を考慮して次のステップに進む場合は、人工授精や体外受精の実施を検討します。

人工授精の費用はどれくらい?

妊娠 精子 卵子 受精卵

人工授精とは、女性の排卵のタイミングに合わせて、洗浄した活発な精子を子宮に直接注入し、妊娠の確率を高める方法です。

精子が子宮に到達する過程のみを人工的にサポートするもので、受精から着床までは自然妊娠と変わりません。

人工授精の費用目安

人工授精は保険が適用されるため、1回あたりの自己負担額は6,000円〜1万円ほどかかります。

ただし、検査や治療内容によっては混合診療となり、約2~3万円ほどかかる場合もあります。

人工授精の回数目安

人工授精の平均回数は3〜4周期ほどで、5周期以上行った場合の妊娠率は年齢にかかわらず低くなります。

そのため、3〜4周期ほど人工授精を続けても妊娠に至らなかった場合は、次のステップとして体外受精や顕微授精の実施を検討します。

体外受精の費用はどれくらい?

体外受精 培養 受精卵 胚盤胞 顕微授精

体外受精とは、女性の卵巣内から取り出した卵子と、男性から採取した精子を、培養液の中で受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻す治療法のことです。

卵胞の発育、排卵、受精といった妊娠の多くの過程を経た状態で子宮に戻すため、ほとんどの不妊原因に対して有効な治療法とされています。

体外受精の費用目安

体外受精には基本的に保険が適用され、1周期あたりの自己負担額の目安は12〜15万円ほどです。

ただし、使用する注射薬や採卵の個数、胚移植の方法、実施する医療機関などによって体外受精の費用は上下します。

また、検査や治療法によっては保険適用外の治療が必要になり、混合診療となった場合は、自己負担額が30万円〜50万円を超えるケースもあります。

体外受精の回数目安

体外受精の平均回数は、3〜4周期ほどです。体外授精を行っても妊娠の兆候が見られない場合は、次のステップとして顕微授精の実施を検討します。

顕微授精の費用はどれくらい?

顕微授精 受精卵 顕微鏡 卵子 

顕微授精とは体外受精の方法のひとつで、顕微鏡で拡大しながら、細いガラス管を用いて精子を卵子に注入する方法をいいます。

体外受精の場合、採取した卵子に精子をふりかけて受精を促しますが、精子が卵子に入ることはサポートしません。顕微授精では精子が卵子に到達する過程をサポートするという違いがあります。

顕微授精の費用目安

顕微授精には基本的に保険が適用され、1回あたりの自己負担額は15~20万円程度が目安です。

使用するホルモン剤の種類や回数、胚移植の方法、実施する医療機関などによって費用は上下します。

ただし、検査や治療法によっては保険適用外の治療が必要になり、混合診療の場合は自費となるため、自己負担額が50万円〜60万円を超えるケースもあります。

顕微授精は体外受精に比べて費用が高いとされている理由は、卵子に精子を注入する工程や回数の度に数万円の費用が発生するためです。

顕微授精の回数目安

顕微授精の平均回数も、体外受精と同じく3〜4周期ほどです。

体外受精と顕微授精の保険適用は、上限に注意!

日本人 女性 医師 診察 病院

体外受精と顕微授精は、保険適用の回数や年齢に以下のような上限があるので、注意してください(※1)。

保険適用される年齢の上限

● 治療開始時に、女性の年齢が43歳未満であること

なお、男性の年齢制限はありません。

保険適用される回数の上限

● 初めての治療開始時の女性の年齢が40歳未満の場合
→通算6回まで保険適用(1子ごとに)

● 初めての治療開始時の女性の年齢が40歳以上43歳未満の場合
→通算3回まで保険適用(1子ごとに)

不妊治療の費用をあらかじめ把握しておこう

不妊治療は、原因によって選択される方法が異なったり、継続期間が長期に及んだりと、かかる費用が大きく異なります。

不妊治療の計画を立てる時は、医師のアドバイスを受けながら、治療内容や費用についてパートナーとしっかりと相談しましょう。

また不妊治療には、助成金制度や医療費控除もあります。詳しくは下記記事を参考にしてみてください。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう