血液検査のCRPが高い!原因となる子供の病気は?入院が必要なの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

みなさんの多くは、健康診断や病気にかかった際に、血液検査を受けたことがありますよね。しかしその結果の数値を見ても、「これが何を意味しているのかよくわからない…」という人が、ほとんどなのではないでしょうか。今回は、血液検査でわかる「CRP」という数値についてご紹介します。CRPが高いと何が問題なのか、その原因は何か、どんな病気が想定されるのか、また入院が必要なのかなど、いろいろな角度からご説明します。

血液検査のCRPとは?

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「CRP」とは、C-reactive proteinの略称で、血液中に含まれるたんぱく質の一種です(※1)。

体のどこかに炎症が起こったとき、組織の一部が壊れたときなどに、CRPが現れます。健康な体内にはCRPはゼロ、もしくは微量にしか存在しないため、炎症の有無を調べる際にはCRPの値を調べるのが有効とされています。

CRPは、炎症が起きてから4~6時間で、肝臓で作られ始めます(※2)。その後、血中のCRPの値は、8時間ごとに倍に増えるといわれます。そのため、病気の原因となる炎症が発症した直後は、CRPの値に変化がないことがあります。また炎症が収まっても、CRP値は3日程度は高くなります。

CRPの値はごく微量が正常とされていますが、急性の炎症が起こった際には、その1,000倍ほどの数値が出ます(※3)。

血液検査でCRPが高い原因は?

CRPの値は、体内のどこかに炎症が起こることで上昇します。また炎症が強くなるほどCRPの値が高くなります。

それでは炎症を伴う病気とは、どんなものでしょうか?

実は体のどこかに炎症を伴う病気はとても多く、小児期における疾患の95%以上は、炎症と関連があります(※4)。肺炎、関節炎、敗血症、髄膜炎、川崎病、その他細菌性の感染症など、CRPの上昇と関連性がある病気はたくさんあります。

また牛乳、大豆、野菜、果物、魚など、食べ物による消化管アレルギーにより、CRPの値が上がることもあります(※5)。

つまり、CRPが上がったからといって、どんな病気にかかっているかを突き止めることはできません。ただし、CRPの値が上がりやすい病気や、反対にあまり上がらない病気もあります。

例えば、細菌感染症はCRPの値が上がりやすく、ウイルス感染症はCRPの値が上がりにくいという特性があります。つまり、病状とCRPの値から、病名を推測できることがあります。

実際、18歳以下の小児患者において、CRP値が1.9mg/dL以上あった割合は、細菌感染症患者で約9割、ウイルス感染症患者は約7割だった、という報告があります(※6)。

細菌感染症の具体例としては、肺炎球菌やインフルエンザ菌など、ウイルス感染症の具体例としては、手足口病やRSウイルスがあります。また気管支炎や肺炎では、ウイルス感染症が先行して細菌感染症が続発するということもあります。

CRPの血液検査はどう行う?赤ちゃんや子供には?

CRPは血液検査なので、注射で採血します。しかしその後の測定法はいくつか種類があります。

特に赤ちゃんが検査を受ける際に使われるのは、「高感度CRP(hsCRP)」といわれる測定法です。微細な数値の変動を測定できるため、新生児感染症などの兆候をチェックすることができます(※7)。

また労作性狭心症(体に負担がかかったときに起こる狭心症)や陳旧性心筋梗塞(心筋梗塞の発症から時間が経ち、落ち着いた状態)も、高感度CRPでなければ数値の違いを見逃してしまうため、検査には高感度CRPが使われています(※3)。

血液検査のCRPが高いと入院が必要?

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CRPの値は、一般的には0.3mg/dL以下が基準範囲、0.31~0.99mg/dLが要注意、1.00g/dL以上で異常とされています(※8)。

ただし前述したとおり、CRPの値が高いからといってその原因となる病気を特定できるわけではありません。

「CRPの値が高い=重い病気」とは一概にはいえませんし、「CRPの値が低い=軽い病気」ということでもないので、CRPの値が高いからといって、「入院が必要」とは決めつけられません。

あくまで、病気の原因と炎症のレベルを推定する一つの検査であり、症状や経過の観察が重要です。

血液検査のCRPは病気のサインのひとつ

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血液検査のCRPの値は、どんな病気にかかっているかを示してくれる、ひとつのサインです。ただしCRPだけで病気の種類や症状の重さを判断することはできません。

あくまでひとの指標として、参考にしておくのがいいでしょう。もしその数値が気になるようであれば、検査を受けた医療機関の医師に相談してみてくださいね。

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