「麦粒腫」という病気をご存じですか?麦粒腫はものもらいの一種で、子供も発症することのある目の病気です。子供の年齢が低いと、目に現れている症状をうまく伝えられず、治療が遅れてしまうことがあります。それでは、どんな症状に注意すれば良いのでしょうか?今回は麦粒腫について、原因や症状、治療法、予防法などをご紹介します。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは?原因は?
麦粒腫とは、細菌感染によってまぶたが炎症を起こした病気で、いわゆる「ものもらい」の一種です。
まぶたには、汗や皮脂を分泌する腺やまつ毛の毛穴があり、汚れた手で目をこするなどしてそこに細菌が感染すると、麦粒腫が起きます。麦粒腫を引き起こす主な細菌は、日常生活のどこにでもいる黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌です。
麦粒腫のうち、まぶたの外側にある汗腺やまつげの毛根に細菌が感染したものを「外麦粒腫」、まぶたの内側にあるマイボーム腺に感染したものを「内麦粒腫」と呼びます。
なお、一般的に「ものもらい」と呼ばれる病気には、麦粒腫の他に「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」もあります。霰粒腫は、マイボーム腺に皮脂などが詰まることで発症します。
麦粒腫の症状は?
麦粒腫を発症すると、まぶたに赤い腫れが現れ、痛みやかゆみを伴います。炎症がひどくなると、腫れや痛みも強くなるのが特徴です。
人によっては、白目が充血する、ゴロゴロするような違和感、目の見え方が変わるなどの症状が現れることもあります。
また、患部に膿を持った白い点ができますが、化膿が進むと、その腫れた部分が自然に破れて、膿が出てくる場合もあります。膿が出た後は痛みが和らぎ、赤い腫れも引いていくなど、症状は少しずつ治まっていきます。
麦粒腫で病院へ行くべき?
麦粒腫は悪化すると、子供がつらい思いをすることになるので、麦粒腫の症状が見られたら、できるだけ早めに眼科を受診しましょう。
年齢が低い子供は、目に痛みやかゆみがあっても、言葉でうまく表現できないので、子供が目をしきりに気にする仕草を見せるときは、腫れや充血が見られなくても、眼科を受診してください。
麦粒腫と霰粒腫は症状が似ていますが、原因が異なるため、治療法や対処法が少し異なります。症状からどちらの病気にかかっているかを見極めることが大切です。
麦粒腫の診断・治療法は?
麦粒腫の診断は、基本的に視診によって行われます。
麦粒腫の治療では、まず抗生物質の目薬や軟膏を使用し、症状が広がったり、悪化したりした場合には内服薬を使うのが一般的です。化膿がひどいと、切開して膿を出すこともあります(※1)。
ただし、切開は痛みを伴い、危険な場合もあるので、子供の年齢や症状によって行うかどうかを判断します。治療の方針については、医師によく相談しましょう。
病院で処方された目薬や軟膏を使う際に、ママやパパの手が汚れていると、雑菌を増やして症状を悪化させてしまう可能性があるので、必ず手を洗って清潔にしてから使うようにしてください。
麦粒腫の予防法は?
麦粒腫の原因はまぶたへの細菌感染なので、汚れた手で目をこすらないようにすることが、麦粒腫の予防につながります。
子供は好奇心旺盛で何でも触ってしまいがちなので、手が汚れたら、こまめに拭いてあげてください。外から家に帰ったときは、必ず手洗いをさせて、手を清潔に保つ習慣を身につけさせましょう。
また、手で目を掻いてしまったときのことを考えて、爪を短く切っておくことも、麦粒腫を予防するうえで大切なことです。
前髪が目にかかってしまうと、症状が悪化してしまう恐れがあるため、前髪は短く切るか、ヘアピンで留めておいてくださいね。
麦粒腫にはすぐに対処しよう
子供が2〜3歳未満の頃は自分の体調を上手に伝えることができないため、麦粒腫ができていても、目の違和感を言葉で表現できません。ママやパパが麦粒腫に気づかずに対処が遅れると、症状が悪化してしまう恐れがあります。
子供が目をしきりに気にしていたら、麦粒腫ができていないかを確認しましょう。また、お風呂に入る前や寝る前など、定期的に子供の目の様子をチェックするようにしておくと、目の異変に気づくことができますよ。
麦粒腫に限らず、子供の体調変化には早めに気づき、適切に対処をしてあげることで症状の悪化を防ぎましょう。
※1 日本眼科学会「麦粒腫」