小児喘息は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの疾患、またはアレルギー体質の子がなりやすい呼吸器疾患です。「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が起こり、発作が現れると呼吸困難になることもあります。発作の程度は人それぞれですが、少しでも子供が楽になれるように、パパやママがしっかり対処してあげましょう。今回は、喘息によって発作が起こる原因と対処法、予防するためにできることについてご説明します。
喘息とは?なぜ発作が出るの?
喘息は、呼吸するときに空気の通り道となる「気道(気管支)」が、急に収縮して呼吸が苦しくなる病気です。狭くなった気道を空気が通るときに、「ゼーゼー」という低い音や、「ヒューヒュー」という高い音がして呼吸が苦しくなったり、咳込んだりします。
喘息の原因はいくつか考えられますが、子供がかかる「小児喘息」の70~90%は、アレルギーが原因で発症する「アトピー型」です(※1)。ダニやハウスダストが原因の場合が多く、ほかにもかびやペットのフケなどのアレルゲンが要因で、気道の粘膜に慢性的な炎症が起こります。
一度炎症を起こして敏感になった気道は、それ以降も少しの刺激で反応してしまい、そのたびに気道が収縮して喘息の発作を引き起こします。
子供の喘息患者の割合を見てみると、男の子の方が女の子よりも1.5倍多く、2~3歳までに60~70%、6歳までに80%以上が発症しています。しかし、思春期になると、患者の50~70%で症状の改善が見られます(※1)。
喘息の発作はいつ、どの程度出るの?
喘息の発作は、気温や湿度が低下する夜中や早朝に出やすい傾向があります。発作の程度は個人差があり、発作と気づかないくらい軽いこともあれば、苦しくて横になれないほど重い発作が出ることもあるので、子供の様子をよく見ておく必要があります。
小さな発作
呼吸をするときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という軽い喘鳴はあるものの、それほど呼吸困難になるわけではなく、普通に日常生活を送ることができます。
中程度の発作
呼吸がしにくくなり、喘鳴がひどくなります。中程度の発作だと、呼吸の回数が増え、肩で大きく息をするようになることも。
子供の場合、不機嫌になる、遊んでいるときに元気がない、眠りが浅い、食欲がない、といった様子が見られます。
大きな発作
大きな喘息の発作が起きると、横になった状態だと呼吸が苦しくなります。さらに危険な場合だと、くちびるが紫になるチアノーゼが起き、意識が薄れたり呼吸不全になったりすることもあるので注意が必要です。
自分で呼吸困難を訴えられない赤ちゃんの場合、「機嫌が悪い」「嘔吐する」「泣き叫ぶ」「ママが抱っこしていないと眠れない」といった状態が見られるので、注意深く観察し、問診の際に医師に伝えましょう(※2)。
喘息の発作への対処法は?
上でご説明したとおり、喘息の発作がひどくなると子供が苦しい思いをしてしまいます。パパやママが適切に状況を判断し、次のように落ち着いて対処してあげましょう(※3)。
発作が起きたときに最初にすること
喘息の発作が起きたら、まず子供の体を抱き起して前かがみに座らせるか、縦抱きをしてあげましょう。横になっているよりも、少し呼吸が楽になります。
発作が出始めたとき
子供が着ている衣服のボタンやファスナーを緩め、痰が切れやすいように水を少量ずつ、多めに飲ませてあげましょう。ゆっくり大きな呼吸ができるように「吸ってー、吐いてー」と声掛けをしてあげるとリズムが取りやすくなります。
ゼロゼロと音がしたら、下から中央に向かって背中をトントンと叩き、痰を出しやすくします。これは「タッピング」と呼ばれる方法です。医師から正しいやり方を教わっておきましょう。
発作がなかなか治まらないとき
上記の方法を試してもなかなか発作が治まらないときは、医師の指示に従い、気管支拡張薬や吸入器を正しく使用しましょう。
繰り返しになりますが、全身を使う呼吸困難やチアノーゼの症状(子供のくちびるの色が紫色)が現れたら、夜中や休日であっても迷わず病院へ連れて行ってください。
喘息の発作は予防できる?
小児気管支喘息は、家の中にあるハウスダストが原因で起こったり、悪化したりすることがほとんどです。日常生活では、次のようなことに注意して予防しましょう(※3)。
部屋や寝具を清潔に保つ
部屋にホコリが溜まっていると、子供が鼻や口から吸いこんで、気管支喘息の発作を引き起こしかねません。日頃から綺麗に掃除しておき、晴れた日は窓を開けて、部屋の風通しを良くしてくださいね。
寝具はこまめに干して日光に当て、乾燥機などでしっかり乾かしたり、掃除機でダニを吸い取ったりしておくことが大切です。カーペットや羽毛布団、そばがらの枕などは、ダニが繁殖しやすいのでなるべく使わない方が良いでしょう。
動物の毛についているフケがアレルゲンとなることもあるので、犬や猫、ハムスターなど毛が生えているペットは飼わない方が無難です。もしすでに飼っている場合は、以下の関連記事を参考に、対策を取ってみてくださいね。
パパやママが禁煙する
タバコの煙を子供が吸いこむと、気道や気管支の過敏に反応してしまいます。パパやママなど、一緒に住んでいる大人は禁煙するか、室内でタバコを吸わないようにしましょう。
喘息の発作は落ち着いて対処しましょう
小児喘息にかかって発作が起こっても、子供は自分でうまく対処することができません。まだ小さいうちはパパやママが発作時の対処法を学び、落ち着いてケアしてあげてくださいね。
発作がなかなか治まらないときの吸入器については、正しく使わないと思わず事故が起こる恐れがあるので、医師の指示を守って安全に使うようにしましょう。