小児喘息は、小学校に上がるまでの年齢で発症することが多く、パパやママとしては「大きくなったら、ちゃんと治るのかな…」と不安になるかもしれません。喘息でつらそうにしている子供を見ると、どうにかして完治してほしいと思いますよね。今回は、喘息が治る確率や治し方についてご説明します。
喘息はどんな症状が出るの?
人間が呼吸をするときは、鼻や口から取り入れた空気が「気道(気管支)」を通って肺まで送られます。小児喘息は、この気道が炎症を起こした状態で、ハウスダストなどのアレルゲンに敏感に反応して発作が起こります。
喘息によって起こる発作の程度は人それぞれです。軽いものだと、息を吸ったり吐いたりするときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という軽い喘鳴が起きる程度ですが、重い症状になると、横になって眠るのもつらいほど呼吸が苦しくなります。このような喘鳴が3回以上繰り返す体質のことを「喘息」といいます。
喘息は治るの?完治する確率は?
小児喘息にかかっている子供のうち、2~3歳までに60~70%、6歳までに80%以上が発症しています。幼児期に発症しても、小学校に入学する前に症状が見られなくなる子もいます。
症状が比較的重いと、小学生になったあとも発作が出るケースもありますが、思春期になると患者の50~70%で症状の改善が見られ、そのあと発作が現れず、治ることが多くあります(※1,2)。
子供の年齢が上がるにつれて発作の頻度は低く、症状は軽くなっていくものの、無治療・無症状になった状態は「完治」とは言えず、「寛解」という捉え方をします。重症であればあるほど寛解率は低くなるので、喘息の早期診断・早期治療が重要です。
いったん喘息が寛解した小児喘息の子供のうち、30%弱が大人になってから再発するというデータもあります(※2)。
また、小児喘息にかかったことがなくても、たばこの煙やストレス、気圧の変化など、アレルゲン以外の要因で大人になってはじめて喘息になるケースもあります。
喘息の治し方は?薬で治せるの?
喘息は、気道の炎症を抑える薬を服用することで、発作をコントロールすることができます。
喘息の薬物療法は、大きく分けて「発作の予防」と「発作の治療」の2つの目的に分けられます。
喘息の発作の予防
喘息は、気道が慢性的な炎症を起こしている状態です。そこで、発作がないときでも、「長期管理薬(コントローラー)」を毎日定期的に服用することで、少しずつ炎症状態を改善し、発作を起こりにくくします。
代表的な長期管理薬は「吸入ステロイド薬」で、そのほか「抗アレルギー薬」や「β2刺激薬」などを併用することもあります。
喘息の発作の治療
急性の発作が起きたら、子供を前かがみに座らせる、背中をトントンと叩いてあげる、といった基本的な対処を行います。
それでも発作が治まらない場合、医師の指示どおり「発作治療薬(リリーバー)」を使用し、気道の腫れや収縮を和らげ、狭くなった気道を広げることで呼吸しやすくします。
吸入器を使って「気管支拡張薬」を服用したり、テープで貼るタイプの薬を使ったりして発作を鎮めます。薬で症状の改善が見られない場合や、1時間以内に発作が再発する場合は、病院を受診して点滴治療などを受けることになります(※3)。
喘息が治るにはホームケアも必要
喘息の発作を予防・治療するためには、適切に薬を使うことが大切ですが、喘息の主な原因であるアレルゲン対策をしっかり行うことが、つらい症状の緩和につながります。
アレルギー体質の子供にとって、ホコリやダニなどのハウスダストは大敵。部屋をこまめに掃除して清潔に保ちましょう。
よく晴れた日はしばらく窓を開けておくと、部屋の通気が良くなります。室内の空気の汚れが気になるときは、空気清浄機を使うのもいいですね。
子供が使う布団や枕などの寝具は、干して日光に当てたり、乾燥機を使ったりしてきちんと乾燥させ、掃除機でしっかりダニを吸い取りましょう。毛足の長いカーペットや羽毛布団、そばがらの枕などは、ダニが繁殖しやすいので、できるだけ使用を控えてください(※1)。
そのほか、毛が生えているペットとの同居や、一緒に住んでいる大人の喫煙も、気道・気管支の炎症を悪化させてしまいます。子供が喘息でつらい思いをしないように、できるだけ生活環境に気を配ってあげてください。
喘息が治るまで、根気強く向き合いましょう
喘息の発作が起こると呼吸がしづらくなるため、小さな子供にとってはつらい病気です。「ゼーゼー」と苦しそうに息をしている様子を見ると、パパやママも心配になってしまったり、突然の発作に慌てたりしてしまうかもしれません。
しかし、そんなときこそ、親が落ち着いて対処してください。子供がパニックにならず、スムーズに薬を服用し、普段の生活の中でできることをサポートしてあげましょう。
また、発作が起きていないときも油断せず、医師から処方された予防薬を使う習慣をつけ、少しでも症状を軽くすることが大切です。小児喘息の場合、子供の成長とともに改善していくことが多いので、根気強く治療に取り組んでいきましょう。