学習障害(LD)とは?原因や症状は?治療法はあるの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

子供が保育園や幼稚園、小学校に通い出すと、ほかの子と比べてしまうこともありますよね。子供の成長には個人差があるので、焦る必要はないとはいえ、読み書きやコミュニケーションが困難な場合は、「学習障害(LD)」の可能性がないとは言い切れません。

今回は学習障害について、原因や症状、障害との向き合い方などについてまとめました。

学習障害(LD)とは?

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学習障害(LD:Learning Disabilities)とは、「発達障害」のうちの一つです。全般的な知的発達に遅れが見られる「知的障害」とは異なり、学習障害は聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち、特定のものの習得と使用が難しい状態を指します(※1)。

知的発達の遅れがない分見極めにくく、例えば「数字に関することが覚えられない」という子の場合、「勉強嫌い」との区別がしにくいこともあります。また学習障害は、本格的な学習が始まる小学生頃までは、判断が難しいとされます。

学習障害を持つ子供の割合は?

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2012年に文部科学省が全国の公立小中学校を対象に実施した調査では、「学習障害」と明確に定義しているわけではありませんが「学習面で著しい困難を示す」とされた子供の割合は4.5%でした(※2)。つまり、35人クラスと仮定すると、1~2人は学習障害の傾向があるといえます。

ただし、これは通常学級に通う児童生徒に占める割合を示しているため、特別支援学級などに通っている児童も含めると、実際の数字は高いと考えられます。

学習障害の原因は?

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学習障害の原因は、中枢神経系に何らかの機能障害が生じていることだと推定されています。環境による影響よりは、先天的な要素が強いといわれているものの、ほかの発達障害と同様に、今のところ原因については完全に解明されていません。

自分の子が学習障害だとわかると、「自分たちの育て方に問題があったのではないか」と思ってしまうパパやママもいるかもしれませんが、親のしつけなど環境的な要因が直接の原因となるわけではありません。

学習障害の種類と症状は?

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学習障害は主に、「読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュリア)」の3種類に分かれます。それぞれの障害を持つ人に見られる症状の例について、以下でご紹介します。

読字障害(ディスレクシア)

読む能力に困難がある「読字障害」は、「ディスレクシア」と呼ばれることもあります。女児よりも男児に多くみられます。公立学校に通う児童の約15%が読みの問題のために特別指導を受けていて、その半数が読みの持続的能力障害をもつとされています(※3)。読字障害の症状は以下のとおりです(※4)。

・文字や数字、色の名前を記憶するのが苦手
・単語内で音の順序を反転させることがある
・「ソ」と「ン」など見た目が似ている字を区別できない
・文字がぼやけて二重に見えたり反転して見えたりする

書字障害(ディスグラフィア)

書く能力に困難がある「書字障害」は、別名「ディスグラフィア」ともいいます。「文字は読めるけれども書けない」という場合も書字障害に分類されます。この場合には、以下のような傾向が見られます。

・文字を書こうとすると、鏡文字になってしまう
・年齢相応の漢字が書けない
・文字をマス目に収めて書けない
・助詞の誤用が多い
・文字を書くのに時間がかかる

算数障害(ディスカリキュリア)

算数障害のある子供は、暗記力・理解力・社会性のいずれも問題がないにも関わらず、数字や数式に関する能力にのみ困難が見られる場合が多いようです。具体的な症状例は以下のとおりです。

・数を覚えるのに時間がかかる
・数の大小が理解できない
・ひっ算の繰り上りや繰り下がりについて理解できない
・時計の時間・分などの概念がわからず読めない

なお、「読み書きや算数が苦手だけれど、親が隣について集中して取り組めばできる」のであれば、学習障害ではない可能性もあります。しかし、集中力が極端に持続しない場合には、注意欠陥多動性障害(ADHD)のように、その他の発達障害の疑いもあります。

学習障害の治療法はあるの?どう向き合うといい?

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先ほどご説明したとおり、学習障害の原因や仕組みが完全に分かっていないため、根本的に「治療」する方法はありません。しかし、学習障害のある子が苦手な分野をうまくカバーして、社会的に自立して生きていけるように、周囲が早く気づき、適切に対応することが必要です。

苦手を克服するよりも得意な分野を伸ばす

先述のとおり、学習障害がある子は知的発達に遅れがあるわけではありません。小学校の教科で言うと、学習障害がある子は国語や算数に困難を感じることが多いかもしれませんが、体育や図工といった科目は得意、という場合があります。学習障害によって生じる課題に対応しつつ、その子が得意とする分野で能力を発揮できるようサポートしていきましょう。

子供の理解の仕方に合った教材を使う

一口に学習障害といっても、子供によって困難をきたす分野は様々。それぞれに合った指導教材を使って学習することが大切です。例えば、読字障害により文字を認識するのが難しい場合は、文字とイラストを照らし合わせながら覚えられるようにしたり、算数障害により筆算の桁がずれてしまう場合には、マス目を設けてどこに数字を書けばいいか明確にしたりする、という対応が考えられます。

困ったことがあれば身近な窓口で相談する

発達障害の専門家ではない限り、その子に合った教材や対応策を見つけるのはなかなか難しいですよね。「うちの子、発達障害かも?」と違和感を覚えたときには、各市町村の窓口や「発達障害者支援センター」など、地域にある身近な窓口で相談してみてくださいね。

学習障害は、子供に合った方法で苦手をカバーしましょう

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読み書きや算数の学習が始まる小学生頃にならないと、判断することが難しい学習障害。知的発達に遅れがない分、なかなか気づきにくいものです。親も含め周りから理解を得られないと、子供がつらい思いをしてしまうことがあるかもしれません。学習障害があるとわかったら、その子に合った学習方法を探して、苦手な分野をカバーできるようサポートしてあげてくださいね。

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