書字障害とは?原因や症状、対処は?どう支援する?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

幼稚園や小学校で字を覚え始めるとき、得意な子と不得意な子がいるのは当然のことです。周りの子と比べて覚えるのが少し遅いくらいで、一喜一憂する必要はありません。ただし、小学3年生になっても小学1年生で習う漢字を書けないなど、著しく勉強が遅れているようだと、学習障害を疑うべきかもしれません。今回は、学習障害の中でも特に書くことに困難がある書字障害(ディスグラフィア)がどういう原因で起き、どんな症状があって、どんな対処をすべきかをご説明します。

書字障害(ディスグラフィア)とは?

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知能に障害があるわけではないものの、ある特定の分野において障害があることを発達障害といいます。その発達障害の中で、読む・書く・話す・行動するなど、主に学習に関する行為に障害があることを、学習障害(LD)と呼びます。

学習障害は、読む能力に困難がある「読字障害(ディスレクシア)」、字を書くことに困難がある「書字障害(ディスグラフィア)」、数の概念を理解することに困難がある「算数障害(ディスカリキュリア)」に分けられます(※1)。

書字障害を持つ子供には、単語間の間隔が一定でなかったり、書いた文字が読みづらかったり、意味の似た文字と書き間違えてしまったりといった症状がみられます。

書字障害の原因と症状は?

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書字障害に限らず、学習障害の原因はわかっていません。ただし親や兄弟が学習障害であった場合、子供が学習障害である可能性が高いことがわかっています(※1)。

書字障害の症状の具体例としては、以下のようなものがあります。

単語間の間隔が一定でなく、文字が読みづらい

文字の視覚化が弱いことが原因とされています。

一つ一つの文字を書くのに時間がかかる

文字や数字の形をスムーズに思い出す能力が弱いことが原因とされています。

紙に目を極端に近づけて書いたり、筆圧が強すぎる

文字を書くとき、自分の指をどこに置けばいいかわからないことが原因とされています。また、書字障害の症状をもつ子供は読字障害も併せ持つこともあります。

書字障害はどう診断する?

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前述したとおり、特定の分野が著しく苦手であることが学習障害の特徴です。書字障害は、「聞く・計算する・推論する」といったほかの能力にはほぼ問題がありません。

書字障害を診断するチェックシートはありませんが、学習障害調査票の中で「書く」の部分に限って以下に記します。

<書く>
● 読みにくい字を書く。(例:字の形や大きさが整っていない、まっすぐに書けない)
● 書くのが遅い。
● ひらがなを間違えて書く。(例:鏡文字「く」→「>」、形の似ている字「い」→「り」と書く)
● 聞いたことを正確に書き取ることができない。
● 頻繁に使う語でも、間違えて書く。(「例:せいかつ」→「せかつ」、「とおまわり」→「とおわまり」と書く)
● 促音や拗音などの特殊音節を書き誤る。(例:「がっこう」を「がこう」、「せんしゅう」を「せんしょう」と書く)
● 独特の筆順で書く。
● 漢字を書く際、上下や左右が入れ替わる。
● 漢字の細かい部分を書き誤る。
● 意味的に関連のある漢字と書き誤る。(例:「町」と書こうとして「村」と書いたり、「入る」と書こうとして「出る」と書いたりする)
● 文字を写すことが難しい。(例:黒板に書いてあることを写すのが難しい)
● 文法的な誤りが目立つ。(例:主語と述語が対応していない。順序がおかしい)
● 助詞を正しく使えない。(例:「わたしわ~」「わたし学校行きました」「わたしは学校で行きました」)
● 句読点が脱けたり、正しくうつことができない。
● 限られた量の作文や決まったパターンの作文しか書かない。
● 作文を書く際、漢字をあまり使わない。
● 思いつくままに書き、筋道の通った文章を書くことが難しい。(例:書いているうちに主題とずれてきてしまう。全体としてまとまりがない)
● 事実の羅列のみで、内容的に乏しい。(例:気持ちの表現がない。形容詞や助詞など、様子を詳しくする表現がない)

引用:国立特別支援教育総合研究所「学習障害調査票の作成と予備調査」(※2)

上記のリストに当てはまる項目が多いからといって、書字障害であると確定されるわけではありませんが、その可能性があるかどうかがわかります。

子供が書字障害か気になる場合は、各市町村の窓口や発達障害者支援センターに相談してみるといいでしょう。

書字障害はどう支援する?

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学習障害の子供の多くは、通常の学級で授業を受けています。ただし他の生徒と同じような習い方では学習が困難なことも多いので、学校や先生が子供の症状をしっかりと理解し、対策を施すことが必要となります。

また書字障害は書くことだけに困難な症状を持つため、書くことを避ければしっかりと結果を出すことができることが多いようです。

例えば、作文を書くときにワープロやパソコンを使ったり、筆記によるレポートの代わりにしゃべってもらうなどの代替手段が有効とされています(※1)。文字を4つのブロックに分けて書く、学ぶなど、その子に合った個々の対応が必要です。

書字障害には適切な対処を

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書字障害に限らず、学習障害はできるだけ早めに対処することでその影響を最小限に抑えることが可能です。

学習障害に気づかないままだと、子供が勉強を進めることにストレスを抱えてしまう可能性もあります。子供にとっても、ママやパパにとっても、学習障害かそうでないかは早めにわかるに越したことはありません。

また弱点を克服するだけでなく、長所や好きなことを褒めて伸ばすことで、書字障害で受けてしまうかもしれない劣等感をカバーすることができます。これは、書字障害があるないに関わらず、何かしら不得意なことがあるすべての子供たちに共通します。

書字障害があるからといって不安になったり悲観しすぎることなく、ひとつの個性ととらえ、しっかりと子供と向き合っていってあげてくださいね。

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