発達障害セルフチェックリスト!特徴・特性が現れ始めるのはいつ頃?

監修医師 小児科医 黒木 春郎
黒木 春郎 日本小児科学会専門医、子どもの心相談医。1984年千葉大学医学部卒。現在はこどもとおとなのクリニック パウルームの院長として診療を行っております。公認心理師や発達臨床心理士の資格も取り、お子さんとご両... 監修記事一覧へ

子育てをしていると、いろいろな場面で「発達障害」について耳にすることがあるのではないでしょうか。また、自分の子どもの行動を見ていて、気になっているママ・パパもいるかもしれません。

そこで今回は、発達障害の種類や特徴・特性が現れはじめる時期、それぞれの特性を記載したチェックリストをご紹介します。なお、発達障害の診断は専門の医師によって時間をかけて行われるため、チェックリストはあくまでも可能性を探るための参考にしてくださいね。

発達障害(神経発達症)とは?

発達障害 自閉症 日本人

発達障害(神経発達症)とは、脳の働き方の違いによって物事のとらえかたや行動パターンに違いが起こり、日常生活に支障のある状態のことです(※1)。

発達障害は「生まれつきの特性」であるため、育て方やしつけ方、本人の性格が原因となることはありません。

発達障害にはいくつかの種類があり、下記が代表的なものです。

知的能力症

知的機能が標準を下回っていて、正常な日常生活を送るのが難しい状態です(※1,2)。

日常生活や学校生活、社会生活を送るために必要な適応能力が、どのくらいあるか・ないかによって重症度を判断していきます。

自閉スペクトラム症(ASD)

「自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」などをまとめた総称で、対人関係や社会的なやりとりが苦手、特定のものやルールに対して強いこだわりを示す、言語の発達が遅い、といった特性がみられます(※1,3)。

注意欠如・多動症(ADHD)

幼稚園や保育園、小学校、家庭などで、集中力が乏しかったり注意が持続しにくかったりする、落ち着きがない、待てないなどの特性がみられます(※1,4)。

学習症(限局性学習症、LD)

知的発達は正常であるものの、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が生じる状態です(※1)。

発達障害の特徴・特性が出るのはいつ頃?

数字

発達障害は、種類によって特徴・特性が現れはじめる時期が異なります。

知的能力症

生まれたとき、または乳児期から標準より知能の働きが低いものの、幼稚園や保育園、小学校に通うようになって年齢相応の行動ができなかったり、言葉の発達の遅れに気づいたりして、知的能力症の可能性を疑うことが多いようです(※2)。

自閉スペクトラム症(ASD)

早いケースでは1歳前から2歳頃までに特性が現れ始めますが、軽症だと小学校入学頃までわからないこともあります(※3,5)。

注意欠如・多動症(ADHD)

4歳頃までに徴候が現れることが多く、12歳までには明らかになることがほとんどです(※4)。

中学校に入学するまで、学校での成績や社会生活にそれほど影響を及ばさないこともあります。

学習症(限局性学習症、LD)

もともとの素因の場合もあれば、後天的な原因の場合もあります(※6)。小学生になって文字を読む・書く、計算をするといった学習が始まって初めて気づくケースが多いようです。

発達障害のチェックリストを確認しよう

チェック リスト 笑顔 項目

子どもが発達障害だった場合、できるだけ早くに気づき適切なサポートや療育をすることが大切です。

以下に種類ごとの特徴・特性をリスト式にまとめたので、なにか不安があるときは活用してみてくださいね(※1,2,5,7,8)。

なお、チェックリストに当てはまる項目が多いからといって、必ずしも発達障害とは限りません。

あくまでも目安なので、正確な診断には専門の医師がいる医療機関(病院やクリニックなど)を受診するようにしてください。

知的能力症

□ 言葉数が少ない
□ 理解している言葉が少ない
□ 記憶、読み書き、数学の能力が乏しい
□ 他人の考えや感情に気づくのが難しい
□ 対人関係能力や社会的判断に困難がある
□ 自分の身の回りのことを行うのが苦手
□ 課題への取り組みが遅い
□ お金の管理ができない

自閉スペクトラム症(ASD)

□ 視線を合わせない
□ 後追いをしない
□ 指さしをしない
□ 微笑み返しをしない
□ ほかの子どもに関心を示さない
□ 言葉の発達が遅い
□ こだわりが強い
□ 一人遊びを好む
□ かんしゃくを頻繁に起こす
□ 自分の興味のあることだけを話す
□ 環境になじむのに時間がかかる
□ 偏食が強い

注意欠如・多動症(ADHD)

□ 学校の勉強でミスが目立つ
□ 遊びや課題に集中し続けられない
□ やるべきことを最後までやりとげられない
□ 作業の段取りが苦手
□ 整理整頓ができない
□ 集中力が必要なことを避ける
□ 忘れもの、物をなくすことが多い
□ 落ち着きがない
□ おとなしく遊ぶことができない
□ しゃべりすぎてしまう
□ 順番を待つことが難しい
□ 他人の会話やゲームに割り込む

学習症(限局性学習症、LD)

□ 文字や色の名前を覚えられない
□ 数を数えられない
□ 読み書きの習得が遅い
□ 注意持続時間が短い
□ 注意散漫である
□ 話し言葉を理解するのが苦手
□ 記憶力が長く続かない
□ 活字体で書くことが苦手
□ 課題の整理ができない
□ 数を読み間違える

発達障害のチェックは専門医に相談を

発達障害について気になることがあるときは、発達障害者支援センターや市区町村の保健センターなどで相談ができるので、電話をしたり直接足を運んだりしてみましょう。

家族や学校、地域と協力しながら、子どもの成長を見守っていけるといいですね。

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