女性の体調は、月経リズムに大きく左右されるもの。「生理痛」だけでなく、「排卵痛」がひどくて悩んでいる女性もいます。症状が続くと「もしかして何かの病気かも?」と不安を覚えることもありますよね。今回はそんな人のために、排卵痛の軽減に効果がある薬や漢方薬、激痛のときに考えられる病気の可能性についてまとめました。
排卵痛とは?
排卵日付近に卵巣周りに感じる痛みを「排卵痛」といいます。例えば生理が28日周期の人の場合、上のグラフのように生理開始日から数えて13~15日目あたりに排卵が起きますが、排卵痛もこの頃に現れます。
排卵痛の症状や程度には個人差があり、痛みを全く感じない人もいれば、激痛に襲われるという人もいます。また痛みを感じる人も、毎月必ず排卵痛があるとは限りません。
排卵痛の原因は?
排卵は、次回生理開始予定日の約14日前に起こります。排卵痛が現れる時期には、「排卵前」「排卵する瞬間」「排卵後」の3つがあるので、「痛みを感じた日=排卵日」とは限りません。排卵痛を感じる3段階の時期について、それぞれの痛みと原因は次のとおりです。
排卵前の痛み
排卵日が近づくと、下腹部全体にチクチクとした痛みを伴うことがあります。これは、排卵する前に、卵胞が成熟して大きくなり、卵巣が少し腫れたような状態になるためです。排卵後に腫れがひいていくと、痛みも次第に治まっていきます。
排卵する瞬間の痛み
排卵は、卵巣のなかで卵子が卵胞を突き破って外に出ることで起こります。このときに痛みを感じる人もいるようです。
排卵後の痛み
排卵後は、「排卵出血」と呼ばれるわずかな出血が見られることがあります。体に悪影響があるものではありませんが、この出血が原因で、引きつるような軽い痛みを伴うこともあります。
また、排卵直後はまだ卵巣が腫れているため、排卵前と同じようなチクチクとした痛みが現れる人もいます。
排卵痛で激痛…薬や漢方は効くの?
排卵痛は排卵に伴う生理的な現象であり、病気ではありません。
そうはいっても、あまりに痛みがひどく日常生活に支障をきたすとつらいですよね。そんなときは、あまり我慢せず、婦人科を受診することをおすすめします。卵巣は子宮と近い位置にあるので、「排卵による卵巣の痛みだと思って受診したら、子宮に何らかの疾患が見つかった」というケースもあります。
婦人科を受診しても特に疾患が見つからず、痛みの原因が排卵だと思われる場合、病院では次のような薬が処方されることがあります。
解熱鎮痛剤
「排卵痛の痛みを軽減したい」という場合は、対症療法として、解熱鎮痛剤を使用すると、痛みが軽減されることも多くあります。
低用量ピル(経口避妊薬)
卵巣に特に異常はないけれども痛みが長く続いたり、毎月鎮痛剤が必要なほどの激痛があったりする場合には、低用量ピルが処方されることもあります。
低用量ピルを服用すると排卵が止まるので、2~3ヶ月間排卵を止め、症状が改善するか経過を観察します。
漢方薬
漢方薬は、痛みに対して即効性があるわけではありませんが、長期的に服用を続けることで体質改善が期待できるといわれています。
東洋医学的に、生理痛や排卵痛など女性の月経に関する異常は、「血の異常」であると考えられています(※1)。そのため病院で処方される漢方薬は、血を補うものや、血の巡りをよくするものなどが多いようす。
具体的には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などが挙げられます。
排卵痛が激痛のとき、病気の可能性はある?
下腹部の痛みのほかに、腰痛・悪心・嘔吐・発熱などをともなう場合、卵巣にねじれが生じる「卵巣嚢腫茎捻転(卵巣茎捻転)」の可能性も否めません(※2)。
また、不正出血が見られたり、排卵痛だけでなく生理痛もかなりひどいようであれば、「子宮内膜症」といった婦人科系疾患を発症している場合もあります(※2)。
そのため激痛がある場合は、婦人科を早めに受診することをおすすめします。普段から定期的に検診を受けておくことも大切ですよ。
激痛が排卵痛かどうかを判断するには?
前述のとおり、下腹部に痛みが現れる病気は色々とあるので、「下腹部に痛みがある」というだけでは、それが100%「排卵痛である」とは言い切れません。
そこで、基礎体温を記録し、より正確に排卵日を把握できれば、排卵期に感じている痛みなのかどうか、それとも違う病気なのかを判断する一つの材料になります。
毎日グラフで記録し、症状が現れた日にマークを付けたり、メモを残したりすると、自分の体調をつかみやすくなりますよ。
排卵痛が激痛のときは、無理せず病院へ
排卵痛を感じる程度や頻度には個人差があります。基本的に、排卵痛は病気ではないため、耐えられる痛みであれば心配ありません。しかしどうしてもつらいときには、一度婦人科で診てもらうことをおすすめします。
受診することにより、卵巣・子宮系の疾患の発見につながる可能性もあります。薬の服用については自己判断せず、医師に相談のうえで決められると安心ですね。