【臨床心理士監修】一人っ子に見られやすい特徴は?育て方のコツって?

監修専門家 臨床心理士 帆足 暁子
帆足 暁子 公認心理師、臨床心理士、保育士資格、幼稚園教諭一種免許を取得。専門は乳幼児発達臨床心理学、保育臨床、子育て相談、子どものメンタルヘルス。ほあしこどもクリニック副院長として、約20年間子育て相談やこころ... 監修記事一覧へ

ひと昔前は兄弟姉妹がいる家庭が多かったですが、最近は一人っ子家庭も増えています。実際に、一人っ子を育てているママ・パパは、「兄弟姉妹がいる子とはどんな違いが起こりやすいかな」「どんな育て方がいいのかな」などと思うこともあるかもしれません。

今回は、一人っ子に見られやすい特徴や傾向、育て方のコツについてご紹介します。

一人っ子家庭はどれくらい増えているの?

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国立社会保障・人口問題研究所が2021年に行った「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」では、調査対象となった夫婦(結婚持続期間15~19年)のうち、子どもが一人の夫婦の割合は、19.7%でした(※1)。

同調査によると、子どもが二人いる夫婦は50.8%、三人いる夫婦は18.6%、四人以上の夫婦は3.2%で、一人っ子家庭の割合は子どもが二人の家庭に次いで多いことがわかります。

2002年の同じ調査では、一人っ子家庭の割合は8.9%でした。2021年と2002年の調査では、妻の調査時年齢が変わっているため単純には比べられないものの、女性の社会進出、晩婚化、子育てにかかる経済的負担などの影響で、子どもが二人以上いる家庭は全て減少していますが、一人っ子家庭の割合は約20年で約2倍以上に増えています。

一人っ子に見られやすい特徴は?

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ここでは、一人っ子に見られやすい特徴や兄弟姉妹がいる子と比べてどんな違いがあるのかをご紹介します。個人差があるため必ず当てはまるわけではありませんが、参考にしてみてくださいね。

自己肯定感が高い

家庭による違いはあるものの、兄弟姉妹がいると、親がいくら平等に接しているつもりでも「他の兄弟姉妹より愛されていない」と比較して劣等感を抱くことも。一人っ子は親の愛情を一身に受けられるため、自己肯定感を高くもちやすいといえます。

想像力が豊か

一人っ子は、兄弟姉妹がいる子に比べて一人遊びをする時間が多くなります。空想したり物語を作ったりするのが好きな子は、想像力が豊かに育つことも。

集中力がある

習い事の練習や勉強をしているときに、まわりで兄弟姉妹が騒いだり邪魔をしたりといったことがありません。夢中になれる環境があることで、集中力が高くなる子もいます。

マイペース

兄弟姉妹の都合で行動や考えを変えたりすることがないので、自分のペースで動く子が多いといえます。

また兄弟姉妹がいると、ちょっとしたことで競争をしたりしますが、一人っ子はそういった機会がないため争いごとが苦手なことが多いです。

大人との接し方が上手

兄弟姉妹がいないと、親や祖父母、親戚など大人と接する時間が多くなる家庭もあります。自然と大人との付き合い方が上手になり、物おじせずに誰とでも話せるタイプになることも。

一人っ子家庭の傾向は?

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一人っ子の家庭は、次のような傾向があるといわれています。ただし、各家庭によって違いがあるため、あくまでも一般的な例として参考にしてくださいね。

経済的に余裕を持てる

子どもの人数が増えるほど、食費や教育費などがかかるため、一人っ子の方が経済的に余裕を持ちやすくなります。

外出や旅行がしやすい

一人っ子であれば、その子の希望や成長に合わせて出かける場所や旅行先を選べます。親の体力的にも経済的にも負担が小さいので、外出や旅行がしやすいと言えます。

子どもとじっくり向き合える

一人っ子であれば、その子にだけ注力することができます。気持ちに余裕が持ちやすく、子どもとじっくり向き合う時間を作りやすいといえます。

一人っ子の育て方のコツは?

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一人っ子の特徴や、一人っ子家庭の傾向を理解したうえで、育て方のコツをみていきましょう。

甘やかさずに、しっかり甘えさせる

一人っ子だと、「甘えん坊になりやすいのでは?」と気になるかもしれませんが、子どものときにしっかり親に甘えることができると、愛されている実感がもて、情緒が安定して自分を生き生きと発揮し、自信を持てます。

そういった心の土台ができ上がると、友達に思いやりをもって接することができるようになります。

ただし、欲しがるものをなんでも買い与えたり、いつでも好きなようにやらせたりするのは、甘えではなく「甘やかし」になるので、その違いには気をつけていけるといいですね。

他の子どもと接する機会を増やす

子どもに合わせて、さまざまな年齢の子どもと接する機会を増やして、思いやりの心や我慢する力などを学ぶきっかけを作りましょう。幼稚園や保育園に通ったり、児童館で遊んだりする以外にも、習い事や地域の行事に参加するのもおすすめです。

過度な期待をしない

一人っ子だからこそ、「教育にたっぷり時間やお金をかけて、子どもの将来のためになるように」と考えることもあるかもしれません。しかし、親のそういった願いや行動は、子どもにとっては「成功しなければいけない」「失敗してはいけない」というプレッシャーになることも。

子どもが自ら進路を決められるように、さまざまな選択肢を用意してあげるのが親の役割。そこからは子どもを信頼して、子どもが決めたやりたいことを思いきりやれるようにサポートしてあげられるといいですね。

一人っ子でも、そうでなくても子どもの個性を大切に

兄弟姉妹がいる・いないに関係なく、子どもはひとりひとり違った個性を持っています。一人っ子の場合、つい兄弟姉妹のいる子と比べてしまうこともあるかもしれませんが、子どもの個性や興味を尊重し、伸ばしてあげられるといいですね。

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