一人っ子の男の子の性格は?育て方のコツは?

監修専門家 臨床心理士 佐藤 文昭
佐藤 文昭 おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニ... 監修記事一覧へ

一人っ子の男の子と聞くと、「甘えん坊」や「わがまま」といったイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、こうしたイメージは実際のところ、どうなのでしょうか?今回は、一人っ子の男の子について、性格の特徴や育て方のポイントをご紹介します。

一人っ子の男の子は増えているの?

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2015年に国立社会保障・人口問題研究所が行った「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、調査対象となった結婚持続期間15~19年の夫婦のうち、子供が一人の夫婦の割合は、18.6%でした(※1)。

同調査では、子供が二人いる夫婦は54.0%、三人の夫婦は17.9%、四人以上は3.3%で、一人っ子の家庭の割合は子供二人の家庭に次いで多いことがわかります。

1997年の同じ調査では、一人っ子を持つ夫婦(結婚持続期間15~19年)の割合は9.8%だったことから、約20年でおよそ2倍に増えているといえます。

ただし、一人っ子の男女比のデータはないため、一人っ子全体の中で男の子と女の子のどちらが多いか、またどちらかの割合が増えているかは、わかっていません。

一人っ子の男の子の性格の特徴は?

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子供の性格は十人十色なので、一人っ子の男の子の性格も様々ですが、一般的に以下のような特徴がみられるといわれています。

競争心がなく穏やか

家の中で兄弟姉妹と争うことがなく、自分の要求を押し通す機会もないので、競争心をあらわにすることがあまりありません。自分が好きなことを好きなようにできることで、マイペースで穏やかな性格になりやすいと考えられます。

我慢するのが苦手

親が許す限り、欲しいものは手に入り、やりたいことは自由にできます。兄弟姉妹に譲って我慢するといった機会がないため、集団生活が始まって我慢ができないと、「わがまま」と見られてしまうことがあります。

甘えん坊

一般的に、女の子に比べて甘えん坊といわれる男の子。親からの愛情を独り占めできる一人っ子の男の子は、さらに甘えん坊の傾向があります。特にママのことが大好きで、ちょっとでも離れると寂しがったり、すぐに抱っこを求めたりすることもあります。

集中力がある

一人っ子の男の子は兄弟姉妹に邪魔されることなく一つのことに集中できるため、集中力が高くなる傾向にあります。一人で積み木やお絵かきなどに没頭したり、電車や車など好きなものができると、そればかりに熱中したりします。

想像力が豊か

兄弟姉妹がいる家庭に比べて、家で一人で過ごすことが多いため、空想する時間が長く、想像力も豊かになります。突然、走ったり飛び跳ねたりし出すのは、空想の世界でヒーローになってママを守ろうとしているからかもしれません。

一人っ子の男の子の育て方のポイントは?

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のんびりしているように見えて、ここぞというときに集中力を発揮する一人っ子の男の子。ここでは、一人っ子の男の子の育て方のポイントをご紹介します。

自由にのびのびと遊ばせる

一人っ子の男の子はマイペースで自分の世界に没頭しやすいので、ママやパパは「そんなことしちゃダメ」「こうしなさい」などと言って、つい過干渉になってしまいがち。

しかし、好奇心に裏付けられた行動を抑えると、自分の殻に閉じこもってしまう可能性もあります。子供自身や友達の身に危険がなければ、ある程度は自由に遊ばせてあげましょう。

愛情をたくさん注いであげる

「一人っ子だから」「男の子だから」と、厳しく育てようと思うあまり、つい愛情表現が少なくなってしまうことも。過干渉は避けても、「大好きだよ」「大切だよ」と伝えて抱きしめてあげるなど、「パパやママはあなたを愛している」ということをしっかりと伝えましょう。

愛情をたくさん注がれた子供は情緒が安定し、人にやさしくできるようになります。「甘やかす」のではなく、「甘えさせる」ことが大切です。

手助けをしすぎない

兄弟姉妹がいる家庭に比べて、パパやママの目が子供によく行き届くため、服のボタンを留められないときや、おもちゃの片付けができないときなど、ちょっとしたときに、パパやママが代わりにやってあげたくなってしまうかもしれません。

しかし、何でも親が手助けしてしまうと、子供の「自分でやろう」という意欲がそがれたり、人に頼るのが当たり前になったりしてしまいます。励ましながら見守り、どうしてもできないときは、どうしたらできるのか一緒に考えながらやるようにしましょう。

年齢の近い子供と関わる機会を増やす

家の中では、一人で遊ぶ時間が多い一人っ子。同年代の子供たちと遊ぶ機会を作ってあげないと、友達との距離感をつかむのが苦手になってしまうかもしれません。

また、兄弟喧嘩をすることがないため、喧嘩したときの仲直りの仕方がわからず、衝突を避けて引っ込み思案になる可能性もあります。

できるだけ小さいうちから、公園へ連れて行ったり児童館や子育て支援センターのイベントに参加したりして、他の子供たちと遊ぶ機会を増やしてあげましょう。

他の子供たちと接するようになると、それだけトラブルも増えてきます。家庭内だけでは体験できない社会性を育む貴重な機会として、うまくいかない子供の不満やいらだちを受け止めて、一緒に対応策を考えてあげてください。

叱るときは理屈重視で

男の子は女の子に比べて、パパやママに怒られたときに、なぜ怒られているのかを察することが苦手です。「これはやっちゃダメ」と頭ごなしに叱ってもほとんど効果はないので、「なんでママは怒っているのか」「なぜダメなのか」といった理由を伝えながら叱るようにしましょう。

一人っ子の男の子の個性を大切に

今回ご紹介した一人っ子の男の子の性格や育て方のポイントは、絶対的なものではありません。あくまでもそういう傾向が見られることが多いというだけです。

基本的には、子供一人一人の性格や個性を把握して、それを尊重しながら接することが大切です。「一人っ子の男の子」という固定観念にとらわれず、我が子にあった環境を用意してあげられるといいですね。

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