ポリオ(急性灰白髄炎)ってどんな病気?予防接種を受ければ感染しない?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

ポリオ(急性灰白髄炎)は、生後3ヶ月を過ぎると受けられる「四種混合ワクチン」で予防する感染症のうちの一つです。日本では現在は流行していないため、「どんな病気なのか詳しくは知らない」という人も多いかもしれませんね。そこで今回は、ポリオとはどういった病気なのか、症状や感染経路、治療法・予防法についてご説明します。

ポリオ(急性灰白髄炎)とは?

ウイルス ポリオウイルス 

ポリオとは、ポリオウイルスが腸内で増殖することで起こる感染症で、日本では「急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)」と呼ばれます。

腸管でポリオウイルスが繁殖し、血中に入り込むことで脊髄まで到達すると麻痺症状を引き起こすことがあり、特に小児に発生していたため「小児麻痺」とも呼ばれていました(※1)。

日本ではこれまでポリオワクチンの定期接種を行うことで、2000年にWHOによってポリオの根絶が宣言されています。ただ、海外にはポリオの流行が残っている地域もあり、海外への渡航や海外からのウイルスの持ち込みを考えると、今後も感染を防ぐために予防接種を受けることは大切です。

ポリオ(急性灰白髄炎)の症状は?

ポリオ 風邪 子供 日本人

ポリオに感染しても90〜95%は何の症状も現れません。ただ、4〜8%に急性胃腸炎や風邪のような症状が、約0.1%の確率で神経組織に感染して手足に麻痺を引き起こし、「小児麻痺」が見られます。

麻痺症状が見られるまで、最初の1~2日ほどは発熱や下痢、吐き気といった胃腸炎のような症状が現れます。そして、熱が下がり始めるタイミングから次第に筋力の低下や脱力が見られ始め、そこから数日で手足に麻痺が現れることが多くなります。

国立感染症研究所によると、麻痺を起こした子の約半分が運動機能などの後遺症が残るとされています(※1)。

ポリオ(急性灰白髄炎)の感染経路は?

ポリオ 指しゃぶり 子供 日本人

ポリオウイルスは、人から人へ経口感染でうつります。感染者の便に混じって排出されるので、その便からウイルスが食べ物やおもちゃなどにくっつき、それを口に入れてしまうことで感染します。

ポリオウイルスが体内に侵入すると、症状が現れる場合には、4~35日ほどの潜伏期間を経てから発症します(※1)。

ポリオ(急性灰白髄炎)の治療法はあるの?

ポリオ 風邪 治療 子供 日本人

残念ながら現時点でポリオを完全に治療する特効薬はありません。風邪のような症状への対症療法を行うほか、麻痺が現れてしまったらリハビリテーションを通じて、動く機能を最大限に生かすようにしていきます。

また、呼吸への影響があるときには、「NPPV」というマスクを利用した人工呼吸器を使用するなど、対処が行われます。

ポリオ(急性灰白髄炎)を予防できる?

ポリオ 風邪 注射 子供 日本人

根本的な治療法がない以上、感染する前に予防することが大切です。定期予防接種の「四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)」を受ければ、ポリオウイルスに対する抗体をつくり、その後の感染を予防することができます。

感染予防のための抗体を持つには、4回の予防接種をきちんと受ける必要があるので、しっかりとスケジュールを組んで受け忘れることがないようにしましょう(※2)。

ポリオ(急性灰白髄炎)の予防接種で感染することはないの?

医者 注射 予防接種 診察 病院

日本でもポリオが流行していた1961年に、経口生ポリオワクチンが導入され、感染者数を急激に減らすことができました(※1)。

しかし、生ワクチンはポリオウイルスの病原性を弱めてつくったワクチンのため、ごく稀にワクチンのもとになるウイルスによってポリオに感染し、小児麻痺が現れることがあります(※1,2)。その割合は約440万回の投与に1回で、ほぼ起こらないとはいえ、可能性がゼロではありませんでした。

そこで、2012年からは不活化ポリオワクチンとして、完全に病原性を無くし、免疫に必要な成分だけで作られた予防接種が行われています。不活化ワクチンであればポリオと同様の麻痺症状が出ることはありません。

ポリオの感染を防ぐためにも予防接種を受けよう

医療 注射 予防接種

予防接種が普及したおかげで、日本国内では1981年以降ポリオの感染は起きていません(※1)。しかし、海外ではポリオが流行している地域もあるので、今後もウイルスが持ち込まれる可能性はあります。

予防接種を受けていない人が一人でも増えていくと、それだけ国内で流行する可能性が高まっていきます。四種混合ワクチンは回数も多いのでスケジュールを組むのが大変ですが、「日本では発生していないから予防接種は受けさせなくてもいい」ではなく、自分の子供やこれから生まれてくる赤ちゃんたちのためにも、きちんと受けるようにしてくださいね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう