「風邪かな?」と思っていたら、鼻水がなかなか止まらない、目がかゆそう。そんな症状が現れたら、それは風邪ではなく、アレルギー性鼻炎かもしれません。アレルギー性鼻炎はきちんと対処しないと、症状が治まらず、子供が苦しい思いをすることになります。今回は子供のアレルギー性鼻炎について、原因や症状、治療法、予防法などをご紹介します。
アレルギー性鼻炎とは?1歳の子供もなるの?
アレルギー性鼻炎とは、花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーの原因になる物質)に鼻の粘膜が刺激されて、炎症が起こっている状態です。
私たちの体は、ウイルスや細菌といった異物を排除する免疫システムを持っています。ところが、花粉やホコリといった有害ではないものにまで、免疫システムが過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギーです。
アレルギー性鼻炎は、原因となるアレルゲンによって季節性と通年性に分けられます。
季節性アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性鼻炎は、植物の花粉によって起こる鼻炎で、花粉症とも呼ばれます。主なアレルゲンはスギやヒノキで、これらの花粉が飛散する頃に症状が出ます。
最近では、1歳前後で季節性アレルギー性鼻炎になる赤ちゃんが増えてきています(※1)。
通年性アレルギー性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎は、ダニやホコリ、ハウスダストなどが原因で起こります。季節性アレルギー性鼻炎と違い、一年を通して症状が出ます。
子供のアレルギー性鼻炎の症状は?
通年性アレルギー性鼻炎の主な症状は、鼻水や鼻づまり、くしゃみで、季節性アレルギー性鼻炎の主な症状はこれらに加えて、目や喉のかゆみ、微熱、腹痛、涙目などがあります(※2)。
アレルギー性鼻炎の症状は、風邪の症状と似ていますが、違いとしては以下のようなものがあります(※3)。
現れる症状
風邪をひくと、粘り気のある黄色い鼻水が出るのに対して、アレルギー性鼻炎では、透明のサラサラとした鼻水が出ます。
また、アレルギー性鼻炎は、風邪の症状ではあまり見られない目のかゆみが現れるのが特徴です。
1日における症状の変化
風邪は1日を通して症状の変化はあまりないのですが、アレルギー性鼻炎は起床時や布団をたたむ際に、アレルゲンが空中に舞い上がるなどの理由で、朝方に症状が悪化する傾向にあります。
症状が続く期間
風邪は安静にしてきちんとケアすれば、10日程度で治まりますが、アレルギー性鼻炎は基本的に2週間以上にわたって症状が現れます。
子供のアレルギー性鼻炎の診断方法は?
アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、症状を中心に診ますが、鼻汁好酸球検査や血液検査を行って補助的に診断することがあります。
鼻汁好酸球検査では、鼻水を採取して、アレルギー性鼻炎の人に多く見られる好酸球という細胞がどれくらいあるかを調べます。血液検査では、アレルギーの引き金となる「IgE抗体」が血液中にどれくらいあるかを調べて、アレルギーの原因の特定を試みます。
この他にも、アレルゲンの疑いがある物質のエキスを鼻の粘膜に付けて、症状が出るかを調べるなどの抗原負荷試験を行うこともあります。
アレルギー性鼻炎の対策は?
アレルギー性鼻炎と診断されたら、以下のような方法で対策を行います。
アレルゲンの除去
花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンを避けるようにしましょう。外出時にはマスクを着用し、帰宅時には玄関外で衣類をよくはたいて、家の中にアレルゲンを持ち込まないようにします。
また、布団や洗濯物を外に干さない、こまめに家の掃除をするといった対策を取って、アレルゲンが体に付着することを防ぎます。
薬物療法
症状を抑えるために、抗ヒスタミン剤などの飲み薬や点鼻薬が処方されます。
小さな子供は点鼻薬を嫌がることが多いので、親がきちんと投薬してあげるか、見本を見せて慣れさせていく必要があります。
特異的免疫療法(減感作療法)
特異的免疫療法は、微量のアレルゲン物質を継続的に体内に取り込むことで、アレルゲンに対する反応を弱くしていく治療法です。
この治療は、基本的に大人に行われるものです。治癒の可能性は7~8割とされており、注目されている治療法ですが、副作用が起きる可能性もあるので、特異的免疫療法を希望する際は、必ず医師に相談しましょう。
子供のアレルギー性鼻炎の予防法は?
アレルギー性鼻炎は、遺伝的な原因によって起きることもあるので、完全に予防することはできません。ただし、アレルゲンに近づないようにすることで、ある程度予防できます。
たとえば、花粉が飛散するシーズンには、外出や外遊びの時間帯を、花粉の飛散量が少ない午前中にします。また、室内清掃の回数を増やして、ハウスダストやダニをこまめに除去することも大切です。
犬や猫の体に住みついているダニがアレルギー性鼻炎の原因になることもあるので、ペットはできるだけ屋外で飼い、飼育環境は清潔に保ちましょう。
子供のアレルギー性鼻炎には早めの対処を
アレルギー性鼻炎に気づかず、適切な対処が行われないと、症状がなかなか治まらず、子供がつらい思いをすることになります。
鼻水や鼻づまりの症状が長期間続く場合や、目のかゆみも現れている場合は、アレルギー性鼻炎の疑いがあるので、できるだけ早く病院を受診してください。
普段から子供の体調を観察し、異変にすぐに気づけるようにしておきましょう。