生理前は精神的に不安定になりやすいので、ちょっとしたことでイライラするようになると「そろそろ生理が来るかな」と感じる女性は多いかもしれません。このイライラは、生理が始まると症状が治まることがほとんどですが、なかには生理が終わってもイライラが止まらない人もいるようです。そこで今回は、生理後にイライラする原因や解消法、予防法をご紹介します。
生理後にもイライラする原因は?
女性の体内では「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という二種類の女性ホルモンが交互に分泌量を増減させることで、生理周期が生み出されています。
生理後から次の排卵まではエストロゲンが多く分泌され、排卵後から生理が始まるまではプロゲステロンが多く分泌されます。生理前は、これらのホルモンバランスが乱れることで、イライラの症状が起こりやすくなるといわれています。
生理後のイライラも、生理前のイライラと同じ理由が考えられます。
生理後にはプロゲステロンが減少して、エストロゲンが増えるはずなのですが、卵巣の機能低下やストレスなどの影響でエストロゲンの分泌量が増えず、プロゲステロンのほうが多く分泌された状態になっている可能性があります。生理前の体の状態が生理後も継続しているために、イライラしてしまうのです。
生理後のイライラの解消法は?
生理後のイライラが女性ホルモンの影響である場合、自分でコントロールしようとするのはなかなか難しいものですが、少しでもイライラが治まるように、以下のような方法を試してみてください。
イライラする要因を避ける
イライラしそうなことに近づかないようにするのは、イライラ対策の基本です。苦手な作業をする、家族やパートナーと難しいことを話し合うなど、急いでやらなくてもいいことはイライラが治まるまで先延ばしにしておきましょう。
事前に予定が入っていたときも、急ぎでないものやプライベートなものなどは、断ったり、延期にしたりするのが賢明です。「生理周期の影響で調子が悪いから」と丁寧に説明して、理解してもらえるといいですね。
ストレスを発散する
自分の好きなことに没頭したり、気の置けない友人とお喋りしたりと、思いっきりストレスを発散させる時間を作りましょう。体を動かして汗をかくのもおすすめです。
楽しいことをしていてもイライラするときは、思い切ってゆっくりと体を休めるのもおすすめです。次の日はその分早く起きるなどすると、生活のリズムも整いますよ。
アロマやハーブでリラックスする
アロマやハーブは、心を落ち着かせてくれます。アロマオイルでマッサージをしたり、あたたかいハーブティーを飲んだりと、心身ともにリラックスできる時間を作りましょう。
アロマなら「ベルガモット」や「ラベンダー」などがリラックスできておすすめです。ハーブは、女性の不調に効くようにブレンドされたものなども市販されているので、お気に入りを見つけてみてくださいね。
生理後のイライラを予防する方法は?
生理後のイライラを予防するには、主な原因であるホルモンバランスの乱れを改善することが大切です。下記のような方法がおすすめですよ。
栄養バランスのとれた食事を意識する
野菜や肉、魚、海藻類、乳製品などを、3食バランス良く食べましょう。
特にビタミンB6はホルモンバランスを整えてくれる作用があるので、サンマやカツオなどの魚類や、牛レバーなどを食事に取り入れてみてください(※1)。
ストレスをためない
普段からストレスをためないようにすることが、生理後のイライラ予防につながります。過度なストレスがかかるとホルモンバランスが乱れてしまい、イライラを悪化させてしまうことがあるからです。
ストレスをゼロにすることは難しいですが、日頃から適度にストレスを発散しておきましょう。無理をしないようにしつつ、自分の時間を楽しむ余裕を持てるといいですね。
漢方薬を飲む
イライラの症状には、漢方薬も効果的です。効果を感じやすい漢方薬は体質によって異なるので、一度婦人科や薬局で相談してみてください。
一般的には、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)女神散(にょしんさん)などが処方されることが多いようです(※2)。
生理後のイライラは病気の可能性もある?
生理後のイライラが何度も続いたり、生理周期に関わらず常にイライラしたりするときは、ホルモンバランスの乱れではなく、下記のような不調が隠れている可能性もあります。
自律神経失調症
自律神経とは、呼吸や体温の調節などを司っている神経です。「交感神経」と「副交感神経」という二つの神経が、バランスをとりながら交互に働いています。
しかし、不規則な生活やストレスなどで二つの神経のバランスが崩れてしまうことがあり、その状態を「自律神経失調症」といいます。
自律神経失調症になると、イライラや情緒不安定などの精神症状や、頭痛、動悸、だるさ、めまいなどの身体症状が次々にあらわれます。
自律神経と女性ホルモンは関係が深いため、どちらかのバランスが崩れると、もう一方のバランスも崩れてしまう可能性があるともいわれており、早めに治療を行うことが大切です。
治療は、薬物療法やカウンセリング、生活の改善指導などで行われます。
更年期障害
更年期障害は、閉経前後の女性に起こる様々な症状のことです。一般的に、45~55歳頃の女性に見られます(※3)。
これは、閉経の影響で卵巣の機能が低下することで、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」という女性ホルモンの分泌量が急激に減少することが原因だと考えられています。
イライラや憂鬱、のぼせ、不眠など症状は様々で、症状がひどいときは、ホルモン剤や漢方薬、抗うつ薬の服用などで治療を行います。
甲状腺の病気
イライラは、「橋本病」や「バセドウ病」など、甲状腺の病気があるときにもよく見られる症状です。イライラの他に、ほてりや動悸、頭痛などの症状があるときは注意しましょう。
治療法は病気の種類によっても異なりますが、薬の服用や手術、放射線治療などが行われることがあります。
生理後のイライラは生活改善から
生理後にイライラしてしまう主な原因は、ホルモンバランスの乱れだと考えられます。普段の生活習慣を改善して、イライラしにくい体作りに努めたいですね。
また、先にご説明したとおり、ホルモンバランスの乱れではなく、病気が隠れていることもあるので、イライラが続くときは我慢せずに病院を受診しましょう。病気が見つからなかったとしても、自分にあった改善方法をアドバイスしてもらえるかもしれませんよ。
つらい生理後のイライラが、早く改善できるといいですね。