「満月や新月の日に出産する人が多い」といった噂を聞いたことがある妊婦さんもいるのではないでしょうか。カレンダーで月や潮の状態をチェックして、ドキドキしているかもしれませんね。
そこで今回は、月の満ち欠けや潮の満ち引きが出産に影響するのは本当なのかをご説明します。
そもそも満月や新月は女性の体に影響を及ぼすの?
およそ29.5日で繰り返される月の満ち欠けと、28〜30日程度で繰り返される月経の周期は非常に近いため、昔から月と女性の体には何か関係があるのではといわれてきました(※1,2)。
しかし、月の満ち欠けと月経の周期の関係や、満月や新月が女性の体に与える影響について、医学的根拠があるわけではありません。
月と出産にまつわる噂にはさまざまなものがあります。噂が生まれた理由や内容について次からみていきましょう。
満月や新月、大潮の日は出産しやすいって本当?
お産の現場である産婦人科や助産院でも、「満月の夜にお産が増える」「今夜は新月だから出産する人が多いかも」などの会話がされることがあるようです。
満月や新月のときは潮の満ち引きの差が一番大きい「大潮(おおしお)」が起こるため、「大潮の日は出産が多い」といった噂もあります。
しかし、満月や新月、大潮の日に出産が多いことははっきりと証明されているわけではありません。噂に過ぎませんが、自身の出産予定日はどんな日にあたるのか調べてみてもいいかもしれませんね。
満月や新月の日に出産が多いと噂されるのはなぜ?
月の満ち欠けや大潮と出産の関係の噂が生まれた背景には、次のようなことが考えられます。
論文でのデータ
国内外で発表されているいくつかの論文に次のようなデータがあります。
- 潮の満ち引きによって海面の高さが平均より高くなった日に陣痛が来る人が多い
- 牛のお産では、満月の前から満月の3日間に出産数が増える
潮位との関係については調査対象となった病院が1軒だけであること、牛のお産については人間にそのまま当てはまるとはいえないことからはっきりとした医学的根拠とはいえませんが、興味深いデータといえますね。
月が人体に及ぼす影響
月が人間の体に及ぼす影響を科学的にアプローチをした精神科医が「赤道に近い国では満月の日はそれ以外の日に比べて出産数が多い」と述べたことから、月の満ち欠けと出産の関係が注目されました(※3)。
体内の水分と月の満ち欠けとの関係性
人間の体内の水分が月の満ち欠けに影響を受けているという考えから、妊娠中は体内の水分量が多くなるため、満月や新月の日に出産が増えるのではないか、という説がありました。
どれも科学的・医学的な根拠があるわけではないので、あくまでも神秘的な噂の一つとして楽しむくらいがちょうどいいかもしれませんね。
満月や新月、大潮以外で出産の多い時期はあるの?
満月や新月近くの大潮のとき以外にも、出産が多いと噂される時期がいくつかあります。
「台風や嵐の日は陣痛や出産が起きやすい」といった噂を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。これにも医学的根拠はないですが、低気圧が子宮収縮に影響を及ぼすのではないかという考えから生まれた噂のようです。
満月や新月、台風、嵐などの日は、ほかの月や天候の日よりも記憶に残りやすいことも、出産が多いと語り継がれる理由かもしれません。
満月や新月ではなくても出産はやってくるもの
臨月に入ったら満月や新月、大潮に関係なく、いつ陣痛や破水が起きてもおかしくない状態です。いざというときのために、しっかり準備をしておきましょう。
月の満ち欠けや大潮と出産の関係に医学的根拠はないとはいえ、お産は神秘的なことがたくさんあります。「この日は満月だから、もしかしたら生まれるかも…」と軽く楽しむくらいの気持ちで、月の満ち欠けカレンダーをチェックしたり夜空を眺めたりしながら、出産までの日々をゆったりと過ごせるといいですね。