妊娠を望んでいる女性が早い段階で妊娠検査薬を使うことで、妊娠初期に起きやすい「化学流産」が認識されることが多くなりました。化学流産していると基礎体温はどのように変化するのか、気になる女性も多いはず。そこで今回は、化学流産による基礎体温の変化と、いつから変化するのか、下がらないこともあるのか、基礎体温の変化以外に症状はあるのかなどについてご説明します。
化学流産とは?
化学流産とは、一度は着床したものの、そのあと胎芽が育たず妊娠が中断してしまったことをいいます。多くの場合、妊娠検査薬で陽性反応が出たものの、エコー検査で胎嚢が確認されないことで化学流産をしていたことに気づきます。
受精卵が着床すると「hCGホルモン」が分泌され、妊娠検査薬はこのhCGホルモンを一定量検出すると陽性反応を示します。化学流産の場合、妊娠を継続できなかったものの着床はしているため、hCGホルモンが分泌されます。
そのため、妊娠検査薬を使用するタイミングが早かったり、感度の高いものを使っていたりすると、妊娠が成立する可能性が低くても陽性反応を示すことがあるのです。
胎嚢は、妊娠5〜6週目に確認することができるので、着床してから胎嚢ができるまでの間である妊娠3〜5週目に化学流産が起きることが一般的です。
化学流産すると基礎体温はどう変わるの?
女性の基礎体温は、生理前は高温期が続き、生理が始まる頃に下がります。これは、「プロゲステロン」という体温を上げる働きのある女性ホルモンの分泌量が、生理が始まることで徐々に減っていくためです。
妊娠している場合、プロゲステロンの分泌が続くため、生理予定日を過ぎても基礎体温は下がりません。しかし、受精卵が着床したため妊娠検査薬は陽性になったものの妊娠が継続できなかった場合、基礎体温は下がり始めます。
ただし、基礎体温は計測ミスで低くなることもあるので、1日だけ低くなったからといって、必ずしも化学流産をしているとは言い切れません。翌日も基礎体温が低く、だんだんと基礎体温が下がっていくようであれば、化学流産の可能性が高いでしょう。
化学流産すると基礎体温はいつから下がる?
胎嚢が確認でき始めるのは高温期21日目、つまり生理予定日の1週間後からとされています。
そのため、化学流産をしていると基礎体温は生理予定日〜生理予定日1週間後くらいに下がり始めることが多いようです。
化学流産しても基礎体温が下がらないこともあるの?
化学流産をしている場合、基礎体温は徐々に下がり始めることが一般的ですが、体調の変化によりホルモンバランスが乱れていると、基礎体温が上がったり下がったりする女性もいるようです。
このように、高温期が続いていたものの、基礎体温のグラフがガタガタになり始めた場合は、化学流産をしている可能性があります。
ただし、妊娠検査薬で陽性反応が出たあとに子宮から出血があったにも関わらず、基礎体温が下がらない、という場合は、化学流産ではなく「子宮外妊娠」の可能性があります。
妊娠検査薬が陽性から陰性になったり、生理と思われる出血があったりしたのに基礎体温が下がらない場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
化学流産すると基礎体温以外の自覚症状はあるの?
化学流産は、自覚症状があまりありません。そのため、妊娠検査薬を使用していない人や、もともと生理不順の人は、化学流産が起きたことに気づかないことがほとんどです。
生理も普段と同じことが多いですが、普段よりも出血量が多かったり、どろっとした塊がでたりする人もいるようです。
しかし、受精して着床までは進んでいるので、人によっては胸の張りや体のだるさ、腰痛といった妊娠超初期症状が現れることもあります。
化学流産は基礎体温で分かることも…でも気にしすぎないで
妊娠を強く望んでいる女性ほど、基礎体温の変化にとても敏感になっていると思います。残念ながら化学流産と判明しても、化学流産が起きたということは、少なくとも妊娠できる体であるということが分かったのだ、と前向きに捉えてみてくださいね。
もし、妊娠検査薬で陽性反応が出たあとに子宮から出血があったにも関わらず、基礎体温がずっと下がらない場合は子宮外妊娠の可能性もあるので、婦人科で医師に相談してください。