カンガルーケアとは?効果は?事故の危険性はあるの?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む

妊婦健診時や分娩する病院を予約するときに、「カンガルーケア」という言葉を産院で聞いたり、本で見たりしたことがある人は多いのではないでしょうか。昨今はバースプランとして希望することも増えてきましたが、実際の効果を認識している人は少ないかもしれません。そこで今回は、カンガルーケアの効果や事故の危険性、カンガルーケアを行う際に病院側にガイドラインがあるのかなどをご紹介します。

カンガルーケアとは?

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カンガルーケアとは、分娩後すぐにママの胸の上で赤ちゃんを抱っこし、哺乳させたり、触れ合ったりしながら、しばらくの間一緒に過ごすケア方法です。「カンガルーマザーケア」「Skin to skin contact(直肌の抱っこ)」と呼ばれることもあります。

このケア方法は、1979年に南米コロンビアで新生児ケアにあたっていた2人の小児科医によって始まったもの。当時コロンビアでは、経済危機のため十分な新生児医療が提供できず、保育器も不足していました。そこで、母子の愛着形成を図ることと、保育器の代わりにと緊急的な対処として行われたのがきっかけといわれています。

日本で行うカンガルーケアには、こういった救命が第一の目的ではなく、母子関係の強化が主な目的であることがほとんど。もともとは低出生体重児を対象としたケアでしたが、さまざまな効果が認められたため、正期産の母子へのケアとして取り入れられています。

カンガルーケアの効果とは?

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カンガルーケアは、未熟児出産などの理由でNICUに入らなければならず、母子が分離してしまうことへの不安や不満を軽減させるだけでなく、正産期の母子に対しても、母子関係を強化・確立する効果が期待されています。

生まれてすぐのママは疲れてヘトヘトで、余裕がないかもしれませんが、赤ちゃんとすぐ触れ合うことは、以下のような利点がたくさんあります。

カンガルーケアの主な効果

● 皮膚と皮膚の接触により赤ちゃんの体温が維持され、呼吸が安定し、体重増加を促進する
● 母子が早期に触れ合うことで、愛着形成につながる
● 赤ちゃんの体と心の安定化を図る
● 母乳分泌量の増加を助ける

カンガルーケアには事故の危険性はあるの?

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カンガルーケアが広まるにつれ、カンガルーケア中の事故なども取りざたされるようになりました。しかし、日本産婦人科医会は、「カンガルーケアそのものが原因ではなく、カンガルーケアの実施方法や実施中の観察不足によるものである」との見解を示しています。

出生直後の赤ちゃんは、お腹の中から外の世界に出たばかりで環境が大きく変化しています。呼吸・循環がとても不安定な状態で、前述のような利点がある反面、危険性を伴うことも事実です。

そのため、カンガルーケアをするときは赤ちゃんやママの状態が安定していることを優先し、機械でモニタリングをしながら、熟練した医師、看護師、助産師が、ケアの前後時間も含めて観察するよう勧告されています。

こういった環境を整えたうえでカンガルーケアを行わなければ、形だけのカンガルーケアになってしまい、本来の効果を発揮しにくくなるともいわれています。

カンガルーケアを望んでいるママやパパは、希望するときにしっかりと医師や看護師から説明を受け、当日の対応や注意点を理解したうえで行うようにしましょう。

カンガルーケアにガイドラインはあるの?注意することは?

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カンガルーケアについては、2009年に、新生児医療に携わる医師を中心にしたカンガルーケア・ガイドライン ワーキンググループによって「カンガルーケアのガイドライン」が発行されています。

2010年に一部改訂され、現在はそれを元に実施する病院や、改めて病院内独自のガイドラインを作っているところもありますよ。

カンガルーケアのガイドラインには、主に携わる医師や助産師を対象としていますが、その内容を元に、ママが実施時に認識しておくと良いことを以下にご紹介します。

カンガルーケアをする際にママが認識しておくこと

● 生まれて間もない赤ちゃんは呼吸・循環を胎盤から肺で行えるように変化しているところであり、不安定な状態でいるということを認識する
● カンガルーケアの説明をしっかりと聞き、気になることは質問しておく
● 赤ちゃんの様子をよく見る、同じ部屋に付き添える人がいるときは一緒に様子を見てもらう
● 気になることがあればすぐに医療スタッフを呼ぶ(ナースコールが近くにあるか確認)
● 希望していたとしても、分娩時の状態によっては赤ちゃんを第一優先とした判断がとられることもある

カンガルーケアを行うときは医師の説明をしっかりと受けよう

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最近は、多くの産院でカンガルーケアが実施されるようになりましたが、どこでも実施しているわけではありません。カンガルーケアを希望している場合は、分娩予定の病産院で実施しているかどうかを確認してくださいね。

また、事前にカンガルーケアについての説明を医師から受けたうえで、家族にも相談しながら判断するようにしましょう。

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