子宮内膜増殖症とは?原因や症状、検査・治療方法は?妊娠できる?

監修医師 産婦人科医 中村 絵里
中村 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

「子宮内膜増殖症」という病気があるのをご存知ですか? まれに子宮体がんに進行することがある病気で、女性は日頃から気をつけておきたい病気の1つです。今回は、子宮内膜増殖症について、原因や症状、検査・治療方法のほか、妊娠に与える影響などをご紹介します。

子宮内膜増殖症とは?

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子宮内膜増殖症とは、子宮の内側を覆う粘膜である「子宮内膜」が過剰に増え、異常に厚くなってしまう病気です。

子宮内膜の腺細胞が正常な状態で、数だけが増加している場合を子宮内膜増殖症と呼び、細胞が正常ではない「異型」に変化している場合を「子宮内膜異型増殖症」と呼んで分類されています。

どちらも増殖する過程で子宮内膜の細胞が癌(がん)化して、「子宮体がん(子宮内膜がん)」へと進行する可能性があります。子宮内膜増殖症が癌に進展する確率が約1~3%であるのに対し、子宮内膜異型増殖症では、単純型で約8%、複雑型で約20〜30%と高いため、早期発見・早期治療が必要な病気です(※1)。

なお、名前は似ているものの「子宮内膜症」とは異なる病気です。子宮内膜症については、下記の関連記事を参考にしてくださいね。

子宮内膜増殖症の原因は?

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女性ホルモンには、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2つがあり、バランス良く分泌されることにより生理周期が作り出されています。

子宮内膜は、月経終了後から排卵までの期間に、卵巣から分泌されるエストロゲンの影響を受けて、受精卵が着床しやすいように適度に分厚くなります。

プロゲステロンと比べてエストロゲンによる刺激が強くなりすぎてしまうと、子宮内膜が過剰に増殖してしまうのです(※2)。

エストロゲンによる過剰刺激が起こる原因としては、ホルモン療法におけるエストロゲン製剤の長期投与や、肥満、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、黄体機能不全などが挙げられます。

子宮内膜増殖症の症状は?妊娠はできる?

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子宮内膜増殖症になると、生理のときの経血量が多くなる「過多月経」や、生理とは関係ない時期に出血がある「不正性器出血」、「無排卵」や「月経不順」などを引き起こします。また、出血量が増えることで、動悸や倦怠感などの貧血症状が現れる場合もあります。

子宮内膜増殖症になると、症状の重さによっては、受精卵が着床することが難しい「着床障害」になる可能性があります。また、無排卵や月経不順などで自然妊娠の可能性は減少してしまうため、不妊につながる恐れもあります。子宮体がんに移行してしまうと子宮摘出などの手術が必要になる場合もあります。

将来、妊娠を希望する場合は特に、子宮内膜増殖症の早期発見が大切です。

子宮内膜増殖症の検査方法は?

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まず、「経腟超音波検査」により子宮内膜が異常に厚くなっていることがわかった場合、子宮内膜増殖症の可能性を疑います。これは、膣の中に器具を入れて子宮内部や卵巣などを診る検査です。

さらに子宮内膜の細胞と組織を採取して調べる「子宮内膜細胞診」「子宮内膜組織診」という検査を行います。子宮内膜腺の過剰増殖が見られた場合、子宮内膜増殖症の確定診断が下されます。

どちらの検査も外来で受けることができ、短時間で終わります。膣内や子宮口に器具を入れて診る検査なので、人によっては痛みを感じるかもしれませんが、基本的には麻酔なしで受けられる検査です。

月経時の出血量の増加や不正出血などの自覚症状があれば、念のため婦人科を受診しておくと安心です。

子宮内膜増殖症の治療法は?

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子宮内膜増殖症の治療方法は、「腺細胞の異型があるかどうか」「妊娠を希望しているか」などの条件により、次のように異なります(※1,2)。

子宮内膜増殖症(異型なし)

異型がないタイプの子宮内膜増殖症で、症状が軽い場合、定期検査で経過観察をしていきます。

しばらく様子を見て、病変がなくならないときには「酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)」を投与します。これにより、女性ホルモンのプロゲステロンを補い、過剰増殖した子宮内膜の状態を正常に戻します。また、症状によっては手術が行われる場合もあります。

子宮内膜異型増殖症(異型あり)

先ほどもご説明したとおり、子宮内膜異型増殖症は子宮体がんになる確率が高いので、手術や保存療法が行われます。

病気がかなり進行していたり、妊娠を希望しない場合には、子宮を全部取り除く「単純子宮全摘出術」と、両方の卵巣と卵管を摘出する「両側付属器切除術」が行われます。

一方、妊娠の希望がある場合は、専用の器具で子宮内膜の組織を削り取る「子宮内膜全面掻爬(そうは)術」を定期的に繰り返します。施設にもよりますが、基本的には日帰りでできる手術で、ほとんどの場合は静脈麻酔をしたうえで行います。

また、抗エストロゲン作用がある「高用量MPA」を投与したり、低用量の黄体ホルモン療法が行われたりして病気の進行を抑える方法もあります。

症状によっても治療法が異なるため、担当医とよく相談してください。

子宮内膜増殖症の症状を見過ごさないで

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子宮内膜増殖症の80%は悪化しないままとどまるか、小さくなっていきますが、稀に子宮体がんに進行するものもあるので、軽視はできません(※2)。

自覚症状が少ない病気ですが、子宮内膜増殖症の時点で発見・対処しておけば癌への移行を防げる可能性があります。過多月経が見られたり、不正出血が続いたりした場合は、早めに婦人科を受診して検査を受けるようにしましょう。

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