妊娠24週以降の妊婦健診は2週に1回に!内容はどう変わる?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

産婦人科や助産院で定期的に受ける妊婦健診は、妊娠24週を迎えるタイミングで4週間に1回から2週間に1回のペースに変わります。

今回は、妊娠24週からの妊婦健診の頻度が増える理由や健診内容について説明します。

妊婦健診の頻度は?

カレンダー ペン

厚生労働省は妊婦健診の標準的な回数を14回として、次のようなスケジュール例を示しています(※1)。

● 妊娠初期~23週:合計4回(4週間に1回)
● 妊娠24週~35週:合計6回(2週間に1回)
● 妊娠36週~出産:合計4回(1週間に1回)

ただし、病院によっては妊娠23週目まで2週間に1回の頻度だったり、初産・経産、年齢、妊娠の状況によって妊婦健診の頻度が変わったりすることもあります。

妊娠24週から妊婦健診の頻度が増える理由は?

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妊娠24週は妊娠7ヶ月最初の週。体調は比較的安定している時期ですが、出産に向けて体が変化することでママの負担も増えてきます。

この時期に妊婦健診が2週に1回の頻度に増えるのは、ママの体調の変化はもちろん、この時期に注意が必要な「切迫早産」や「妊娠高血圧症候群」の兆候をいち早く発見することも理由の1つです。妊娠高血圧症候群を発症すると、赤ちゃんの発育遅れ、早産、常位胎盤早期剥離などのリスクが高まります。

妊婦健診で早期発見することで適切な処置をうけることができますよ。

妊娠24週からの妊婦健診は何が変わるの?

相談 病院 健診

妊娠24週からの妊婦健診は、これまで通りの健診内容に加えて「血液検査」「超音波検査」「GBSチェック」を行います。

妊娠24週以降に追加して行う検査

妊娠24週以降に追加して行う検査の概要は以下の通りです。

血液検査

血液検査では血糖や貧血などを調べて、妊婦さんや赤ちゃんの状態をチェックします。

妊娠糖尿病のチェックのため、ブドウ糖入りの検査用ジュースを飲んで血糖検査をする「グルコースチャレンジテスト」を行う場合もあります(※2)。

GBSチェック

GBSとは、B群溶血性レンサ球菌という細菌のこと。出産時に赤ちゃんが産道感染すると、新生児GBS感染症という疾患になる恐れがあるため、この検査が行われます。

GBSチェックは綿棒でおりものを採取してGBSがいるかどうかを調べる検査で、妊娠33~37週の期間に必要に応じて行われます(※3)。

これまで通り行う基本的検査

以下の検査は、これまでと同様に健診のたびに行われます。

● 問診
体調や妊娠経過について医師から質問されます。妊娠に関することで疑問や心配があるときは、問診時に相談してみましょう。

● 超音波またはドップラー検査
超音波またはドップラー装置を使って赤ちゃんの心拍数、健康状態や発育状態を調べます。また、胎盤の位置、羊水の量などもあわせてチェックします。

● 尿検査
尿中に尿たんぱくや尿糖が出ているかを検査して、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクがあるかどうかをみます(※3)。

● 体重測定
妊娠による体重の増減を確認して、リスクがない範囲かを確認します。

妊娠中の急激な体重増加やつわりなどによる体重減少は、妊娠トラブルのリスクを高めることにもつながります。ただし健診の際に医師から指摘されなければ、気にし過ぎる必要はありません。

妊娠中の適正な体重増加量は、こちらの表を目安としてください(※4)。

妊婦 体重増加目安 2021年3月改定 BMI値

● 血圧測定
妊婦さんの血圧を測定して、正常な範囲内にあるかを調べます。妊娠20週以降に最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上だと、妊娠高血圧症候群の可能性があります(※3)。

● 外診
妊婦さんのお腹を触って、おなかの張り(子宮の固さ)や赤ちゃんの位置や向きなどを調べます。

● 浮腫検査
妊婦さんの体にむくみ(浮腫)が出ているかを検査するため、足のすねを押し、そのへこみ具合をみます。むくみがひどいときは妊娠高血圧症候群の可能性が考えられます(※2)。

● 腹囲測定
妊婦さんの体重増加具合や、赤ちゃんの成長度をチェックするため、メジャーでお腹の周囲を測定します。

● 子宮底長測定
恥骨の上から子宮の一番上までの長さである子宮底長を測定し、赤ちゃんの発育が順調に進んでいるかや、羊水がどれくらいあるかをチェックします。

必要に応じて行う検査

● 内診
腟の中に指を入れて、子宮の状態や早産の心配がないかどうか診ます。

● クラミジア検査
クラミジアとは、性器クラミジア感染症を引き起こす細菌のことです。腟内に綿棒のようなものを入れて子宮頸管の表皮細胞を取り出すクラミジア検査は、必要に応じて妊娠30週までに行われ、クラミジア感染の有無を調べます(※3)。

クラミジアが進行すると、絨毛膜羊膜炎や子宮頸管炎が起こったり、最悪の場合流産や早産に至ったりするリスクが生じます。

また、出産時に新生児が産道感染して、結膜炎や肺炎を引き起こす恐れもあるので、早期に発見して治療してもらいましょう(※2)。

● ノンストレステスト(NST)
ママにも赤ちゃんにも負担がかからない方法で、胎児心拍モニターをつけて、お腹の赤ちゃんの健康状態を確認します。

一般的に、ノンストレステストは30週〜出産までに行います。ただし、ハイリスク妊娠(高齢妊娠や多胎妊娠、妊娠高血圧症など)の妊婦さんは、医師の判断でそれよりも前から行うこともあります(※2)。

妊婦健診の頻度が増えるのは
安心して出産を迎えるため!

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4週に1回に受けていた妊婦健診が、妊娠24週から2週に1回へと倍のペースに変わることを事前に把握しておけば、スケジュール調整もしやすいですね。

検査内容も少し増えて、より細かく赤ちゃんの様子とママの健康状態をチェックする妊婦健診は、必ず受けましょう。そして、不安なことやちょっとした疑問は、その都度医師や助産師に相談してくださいね。

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