生理不順やホルモン不足などが原因の不妊症がある場合、治療薬として「ルトラール」が処方されることがあります。妊娠を望んでいる人は特に、正しく飲むことで最大限の効果を得たいですよね。今回は、ルトラールの効果や飲み方のポイントについてご説明します。
ルトラールとは？
「ルトラール」とは、経口タイプ（飲み薬）の黄体ホルモン製剤のひとつです。不妊治療の一環で処方されることが多く、女性ホルモンの「黄体ホルモン（プロゲステロン）」を補う作用があります。
黄体ホルモンは卵巣から分泌されるホルモンで、排卵後に子宮内膜の厚さを維持し、基礎体温を上げる働きがあります。
しかし、卵巣の機能が低下しているなどの理由で黄体ホルモンの分泌が不足すると、子宮内膜の厚さが維持されずに剥がれ落ちてしまい、生理不順が起きる、生理のときの出血量が多くなる、生理痛がひどくなる、生理ではないときに不正出血が起きる、といったトラブルが起きることがあります(※1）。
ルトラールは、これらの症状が見られ、不妊の原因になっていると考えられる場合に、不足している黄体ホルモンを補うために処方されます。
ルトラールの効果は？
前述のように、ルトラールを服用することで、黄体ホルモンの作用が補うことが期待できるため、次のような原因で見られる不妊に対して効果が期待できます（※2）。
生理不順や月経異常
月経が起こらなくなる「無月経」、生理周期が長い「稀発月経」や短い「頻発月経」などの生理不順、経血量が極端に少ない「過少月経」や多すぎる「過多月経」などに効果が期待できます。
また、下腹部痛や腰痛、頭痛、吐き気など、日常生活に支障をきたすほどの重い生理痛（月経困難症）が改善されることもあります。
機能性子宮出血（不正出血）
女性ホルモンがうまく分泌されていないと、子宮内膜が生理ではないときに剥がれ落ちてしまい、「機能性子宮出血（不正出血）」が起きることもあります。
ルトラールを継続的に飲むことで子宮内膜が剥がれにくくなり、機能性子宮出血が改善されることが期待できます。
卵巣機能不全や黄体機能不全
卵巣がうまく機能しない「卵巣機能不全」や、排卵後に卵胞が変化してできる黄体の機能が低下する「黄体機能不全」など、黄体ホルモンの分泌が不足する原因となる病気に対しても、ルトラールが効果を発揮することがあります。
特に、黄体機能不全があると基礎体温が上がりにくくなるため、高温期が短くなる傾向にあります。このような場合、ルトラールを飲むことで基礎体温が正常な状態になることが期待されます。
ルトラールの効果的な飲み方は？
ルトラールは1錠あたり2mgの経口薬です。通常、成人女性は1日2～12mg（1～6錠）を1～3回に分けて飲みます（※2）。
1日に飲む量や回数、飲み続ける期間は症状によって異なるため、医師の指示に従い、用量・用法を正しく守って服用しましょう。自己判断で飲み方を変えたりやめたりしないようにしてくださいね。
もし飲み忘れてしまったときは、気づいた時点ですぐに飲むのが基本ですが、次に飲む時間が近い場合は1回ぶん飛ばした方がいいこともあります。飲み忘れたときの対応についても、あらかじめ医師に確認しておく方が安心です。
なお、ルトラールを飲んでいる期間は、黄体ホルモンの作用が補われ、基礎体温は「高温期」のまま保たれます。服用をやめると黄体ホルモンが減り、数日後に子宮内膜が剥がれ落ちて生理が来ます。
ルトラールは効果だけでなく副作用もある
ルトラールの製造販売元によると、副作用が起きる頻度は10～15％とされています（※1）。
主な副作用として、食欲不振や吐き気、下痢、胸の張り、むくみなどの症状が見られることもあります（※2）。この場合、ルトラールを飲む量を減らしたり、しばらく服用を休んだりした方がいいこともあるので、我慢してやり過ごさず、早めに担当医に相談しましょう。
また、発症する確率は0.1%未満と低いものの、脳や手足などの血管が詰まる「血栓症」が起こるリスクもあります（※2）。心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす恐れもあるので、ふくらはぎの痛みや激しい頭痛などの前兆が現れたときは、すぐにかかりつけの医師に連絡してくださいね。
ルトラールで妊娠率を高めよう
ルトラールは、過多月経や月経困難症、機能性子宮出血、卵巣機能不全などの病気に対して、約85%の有効性が認められている合成黄体ホルモン剤です（※2）。これらの病気が不妊の原因になっている場合、ルトラールを飲むことで妊娠の可能性が高まることが期待できます。
ルトラールは人工的にホルモンバランスを調整する薬なので、一時的に副作用が出ることもある、ということは覚えておきつつ、医師の指示どおり適切に服用するようにしましょう。
