生理不順の改善や不妊治療のために「ルトラール」が処方されることがあります。妊娠を望んでいる人は特に、基礎体温の高温期が続くかどうかが気になるところですよね。今回はルトラールによる基礎体温の変化や、飲み忘れたときの対処法などをご説明します。
ルトラールにはどんな作用がある?
「ルトラール」は、黄体ホルモン製剤のひとつです。
黄体ホルモンは、排卵を終えた卵胞が変化した「黄体」から分泌されるホルモンです。排卵後に基礎体温を上昇させ、子宮内膜の良好な状態を維持するなど、妊娠しやすい体の状態を整える作用があります。
ルトラールを飲んで黄体ホルモンの作用を補うことで、ホルモンバランスを整えて生理周期を正常な状態にしたり、不妊を改善する効果が期待できます(※1)。
ルトラールで基礎体温が上がる?高温期が続く理由は?
ルトラールを服用している間は、黄体ホルモンが一時的に補充されます。黄体ホルモンの働きによって基礎体温が上昇するため、安定的に高温期が継続されます。
普段から基礎体温をつけている人は、ルトラールを飲んだことでいつもより体温が上がったことに驚くかもしれませんが、これは薬の作用として正常なことなので、心配しすぎる必要はありません。
医師から指示された量のルトラールを飲みきったあとは、ふたたび体温が下がっていき、厚さを維持できなくなった子宮内膜が剥がれることで、生理がきます。
ルトラールで高温期が長く続くのは、妊娠?
通常、排卵後から生理が来るまで、高温期は12~16日間ほどです(※1)。しかし、ルトラールを飲み終えてしばらく経っても生理がなく、これより長く高温期が続くこともあります。
高温期が続き、生理がこないと「妊娠したかも?」と考えてしまうかもしれませんが、ルトラールを飲んだことで生理周期が調整され、生理が遅れているだけという可能性もあります。また、「基礎体温が下がらないまま生理がきた」というケースも少なからずあるようです。
不妊治療に取り組んでいる場合は特に、「妊娠しているかどうか早く知りたい」という気持ちもあるかもしれませんが、妊娠検査薬を使うのが早すぎると、正確な結果が出ない場合もあるので注意が必要です。
医師にルトラールを処方してもらうときに、「高温期が何日くらい続いた場合に、妊娠検査薬を使って調べるべきか」の目安を聞いておくと良いですね。
ルトラールで基礎体温が上がらないことも?
先述のとおり、ルトラールが十分に効果を発揮すると、黄体ホルモンの作用が補充され、高温期が安定的に持続します。
しかし、もともと卵巣や黄体の機能が著しく低下している場合、ルトラールを1周期飲んだだけではホルモンバランスが整わず、基礎体温が上がらないこともあります。
このような場合、次の周期ではルトラールを飲む量を増やしたり、何周期か服用を繰り返したりすることで改善を目指すことになります。
ルトラールを飲んでいる間も飲み終わったあとも、基礎体温を自分で記録し、なかなか体温が上がらないときは、治療の進め方について医師と相談してみましょう。
ルトラールを飲み忘れたらどうする?
ルトラールは通常、1日に2~12mg(1~6錠)を1~3回に分けて飲みます(※2)。
ルトラールを飲む量や期間は、生理不順や黄体機能不全など改善したい状態によって異なります。5日分処方される人もいれば、14日間飲み続けるよう医師から言われることもあります。
もし、途中で飲み忘れてしまったら、「気づいたタイミングですぐに服用する」のが基本ですが、次の服用時間が近いときは「飲み忘れた分は飛ばし、次の服用タイミングから再開する」方が望ましいこともあります。
万が一飲み忘れたときは、自己判断に頼らず、担当医に連絡して指示を仰ぐ方が安心です。慌てて2回分を一度に飲むようなことはしないでくださいね。
ルトラール服用中は基礎体温をつけましょう
ルトラールを服用しているあいだ、基礎体温が上がり、高温期が安定的に継続することが期待できます。しかし、最初の1周期では効果が見られないこともあるので、治療の続け方について医師とよく相談しましょう。
ルトラールを処方されたあと、基礎体温がどう変化するかを記録ができるのは自分だけです。毎朝基礎体温を測るのは大変かもしれませんが、ルトラールの効果がきちんと出ているかどうか見るために大切なデータなので、根気強く続けてくださいね。