ロタウイルスワクチンの基礎知識!効果や副反応などまとめ

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

ロタウイルスワクチンの基本情報について、以下にまとめました。気になる項目がある方は目次のリンクから見てみてくださいね。

ロタウイルスワクチン・基本情報まとめ

予防できる病気 ロタウイルス胃腸炎
定期接種/任意接種 定期接種
接種費用 無料
接種時期・回数 (1価)生後6週〜24週0日までに2回
(5価)生後6週〜32週0日までに3回
同時接種可能な
ワクチン
B型肝炎ワクチン、小児用肺炎球菌、五種混合ワクチン
副反応 嘔吐、下痢、まれに腸重積症
生/不活化ワクチン 生ワクチン

予防できる病気

ロタウイルスワクチンを接種することで、ロタウイルスの感染による胃腸炎を予防したり、脳炎・腎不全・心筋炎などの重い合併症を防いだりすることができます。

ロタウイルス胃腸炎は、短時間での激しい下痢や嘔吐、腹痛、発熱などが主な症状で、脱水症状を引き起こしやすい病気です(※1)。

生後6ヶ月〜2歳までにかかることが多く、特に注意が必要な病気といえます。

ワクチンの接種によって、全てのロタウイルス胃腸炎を約80%予防し、重症のものに限れば約90%予防できるとされており、予防効果は3〜5年続きます(※1)。

ワクチンの種類

ロタウイルスワクチンには、「1価(ロタリックス®)」と、「5価(ロタテック®)」の2種類があります。どちらも口から飲むワクチンで、赤ちゃんが飲みやすいように甘い味がついています。

含んでいる成分は違うものの、予防効果は同じとされています(※2)。

病院によって、どちらかを選ぶことができたり、片方を指定されたりすることがあります。詳しくは接種予定の病院に確認してくださいね。

定期/任意接種・費用

定期/任意接種

ロタウイルスワクチンは、予防接種法に基づく「定期接種」に分類されるため、無料で接種できます。

ロタウイルスワクチンは、安全性の面から接種対象となる期間が限定されているため、接種対象となる期間を超えた場合には受けることができないので注意しましょう。

接種時期・回数

ロタウイルスワクチン スケジュール

ロタウイルスワクチンは、その種類によって接種回数と時期が異なります(※3)。

1価(ロタリックス®)の場合

1価ワクチン(ロタリックス®)の場合は、2回接種する必要があります。

標準スケジュール(全2回)

1回目 生後6週0日〜生後14週6日までに
2回目 初回から4週間以上あけて、かつ生後24週0日までに

標準的なスケジュールは上記の通りです。

日本小児科学会は、生後2ヶ月を迎えたら1回目、生後3ヶ月に2回目を接種することを推奨しています(※3)。

1回目と2回目は、4週間以上間隔を空けて接種するようにしてください(※1)。

また、初回接種は生後14週6日までに済ませる必要があります。

生後15週以降に初回接種を受けることはできないという訳ではありませんが、繰り返す嘔吐や腹痛などの症状が起こる「腸重積症」の発症リスクが増えるため、安全性の観点から推奨されていません(※4)。

2回目の接種は生後24週0日までに済ませるようにしてください。24週0日を過ぎてしまうと、ワクチンを接種することができなくなるので、特に気をつけましょう。

5価(ロタテック®)の場合

5価ワクチン(ロタテック®)の場合は、3回接種する必要があります。

標準スケジュール(全3回)

1回目 生後6週0日〜生後14週6日までに
2回目 初回から4週間以上あけて
3回目 2回目から4週間以上あけて、かつ生後32週0日までに

標準的なスケジュールは以上の通りです。

日本小児科学会は、生後2ヶ月を迎えたら1回目、生後3ヶ月に2回目、生後4ヶ月に3回目を接種することを推奨しています(※3)。

1〜2回目、2〜3回目は、それぞれ4週間以上間隔を空けて接種するようにしてください(※1)。

また、初回接種は生後14週6日までに済ませる必要があります。

生後15週以降に初回接種を受けることはできないという訳ではありませんが、腸重積症の発症リスクが増えるため、安全性の観点から推奨されていません(※4)。

3回目の接種は生後32週0日までに済ませるようにしてください。32週0日を過ぎてしまうと、ワクチンを接種することができなくなるので、特に気をつけましょう。

同時に接種できるワクチン一覧

ロタウイルスワクチンは、2種類とも他のワクチンと同時に接種することができます。

1価(ロタリックス®)の場合

1回目 B型肝炎ワクチン(1回目)
小児用肺炎球菌ワクチン(1回目)
五種混合ワクチン(1回目)
2回目 B型肝炎ワクチン(2回目)
小児用肺炎球菌ワクチン(2回目)
五種混合ワクチン(2回目)

5価(ロタテック®)の場合

1回目 B型肝炎ワクチン(1回目)
小児用肺炎球菌ワクチン(1回目)
五種混合ワクチン(1回目)
2回目 B型肝炎ワクチン(2回目)
小児用肺炎球菌ワクチン(2回目)
五種混合ワクチン(2回目)
3回目 小児用肺炎球菌ワクチン(3回目)
五種混合ワクチン(3回目)

初回を五種混合ワクチンではなく、四種混合ワクチンとヒブワクチンで接種した人も同じタイミングで同時接種ができます。

同時接種によって、病院に行く回数が減りスケジュール管理がしやすくなって、接種し忘れを防ぐことができます。ぜひ活用してみてくださいね。

副反応・注意点

副反応

ロタウイルスワクチンを接種後、副反応として以下の症状が現れることがあります。

  • 嘔吐、下痢

注意が必要なのは、「腸重積症」の症状が出ることです。小腸が大腸へ入り込んでしまうなど、腸と腸がはまりあってしまう病気で、数万接種に1例くらいの割合で報告されています(※1)。特に初回接種後7日以内に起こったという報告が多くあります。

接種後、「機嫌が悪かったり、良い悪いを繰り返したりする」「嘔吐」「激しく泣く」「泣き止まない」「顔色が悪い」「お腹が膨れる」「便に血が混じる」といった症状が現れている場合は、すぐに病院で診てもらうようにしてください。

その際、「ロタウイルスワクチンを接種した」ということを忘れずに伝えるようにしましょう。

注意点

ワクチン接種の際には、以下の点に注意してください(※1)。

  • 接種日に「明らかな発熱」などがある場合、ワクチンを接種することはできません。

  • これまでの予防接種で、接種後2日以内に発熱や全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を認めた人、過去にけいれんの既往がある人などは、接種前にかかりつけ医によく相談してくださいね。

その他、わからないことがあれば、かかりつけ医に相談すると安心です。

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