赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクを吐いてしまうことはよくありますよね。ただし、5分以内に噴水のようにピューッと勢いよく吐き出したり、繰り返し吐いたりする場合は注意が必要です。今回は、赤ちゃんが噴水のように吐くときの原因や症状、対処法についてご紹介します。
新生児・赤ちゃんが噴水のように吐いたら、病気の可能性もある?
新生児期から生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんの胃は、入り口を締める筋肉が弱く、蓋のないとっくりのような形をしているため、胃の中のものが逆流しやすく、ミルクや母乳を飲んだ後すぐに吐くことがよくあります。
口元から垂れるように吐き戻す、ゲップと一緒にゴホっと吐く、といったことがあっても、機嫌や顔色がよければ問題ありません。
ただし、授乳後5分以内に赤ちゃんが噴水のように吐いたときは、「幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)」の可能性があるため注意が必要です。
幽門狭窄症は、正式には「肥厚性幽門狭窄症」と呼びます。胃の出口で腸とつながる部分を「幽門」といいますが、この幽門の筋肉(幽門筋)が厚くなって出口を狭くしてしまい、胃から腸への通りが悪くなってしまう病気です。
赤ちゃんが噴水のように嘔吐するのは、いつ頃に起こるの?
赤ちゃんが噴水のように吐く幽門狭窄症は、生後2~3週目から生後3ヶ月頃までの赤ちゃんに発症することがほとんどです。
特に、第一子の男の子に発症しやすい傾向にあります(※1)。また、日本では1万人に5~7人の割合で発症するといわれています。
赤ちゃんが噴水状に吐く原因は?
赤ちゃんが幽門狭窄症を発症する原因は、今のところ明確には分かっていません。幽門筋が肥大する原因は先天的なものであるとも、ホルモンが影響しているともいわれていますが、はっきりしていないのが現状です。
赤ちゃんが噴水のように吐くと、「母乳やミルクを与えすぎたせいかも」「げっぷをさせなかったからかも」などと原因を探ってしまうかもしれませんが、幽門狭窄症の場合はそういった理由で起こるわけでもありません。
赤ちゃん・新生児が噴水のように吐くのは、どんな状態?
幽門狭窄症の場合、生後2~3週を過ぎた頃から吐き始め、最初は口からタラタラとこぼれるような嘔吐ですが、次第に症状が強くなり、生後1ヶ月頃になると、授乳後5分以内に、噴水のように勢いよく吐く症状が見られて繰り返すことが特徴です。
胃に充満した母乳やミルクを腸に送り出そうとしても、幽門筋が分厚いため上手く出ていかず、胃に溜まってしまいます。すると、最後には逆流して噴水のように口から吐き出してしまうのです。ときには、逆流した母乳やミルクが鼻から出ることもあります。
吐いた後も赤ちゃんは母乳やミルクを欲しがりますが、繰り返し吐くようになるので少しずつ体重が減少し、放置しておくと栄養不足や脱水症状となり、顔色が悪くなったり活気がなくなったりします。
幽門狭窄症の疑いがあるときは、すぐに病院を受診するようにしましょう。
赤ちゃんが噴水のように吐いたときの診断方法は?
前述のように、赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクを吐くのはよくあることなので見極めが難しいですが、5分以内に必ず吐く、噴水のように勢いがよく吐く、顔色が悪い、といった場合には、一度小児科を受診してください。
嘔吐の勢いが強くなくても、1日に何度も吐く、授乳のたびに吐き出すようであれば、医師に相談するのが安心です。
病院では、痛みを伴わない腹部超音波検査で、幽門筋の厚さや幽門の長さを計測して幽門狭窄症の診断を行うことが一般的です。
赤ちゃんが噴水のように嘔吐するときの治療法は?
赤ちゃんが噴水のように吐いて幽門狭窄症と診断された場合、治療法は手術となります。
幽門狭窄症の手術では、嘔吐で弱っている赤ちゃんに、まずは点滴をしてミネラルのバランスを調節します。赤ちゃんの体力が回復したら、全身麻酔を施し、厚くなった幽門筋を体の表面から一部切り開きます。
最近では、美容的な面を考慮して、へそのまわりを小さく切開して手術が行わることが多いので、術後の傷跡はほとんど目立ちません。それほど大がかりな手術ではなく、手術翌日には母乳やミルクを飲めるようになります。1週間以内に退院することがほとんどです。
赤ちゃんが噴水のように吐くときは早めに受診しよう
赤ちゃんが吐くと、ママやパパは心配になってしまうもの。初めての育児なら、なおさらです。しかし、赤ちゃんの嘔吐はよくあることなので、あまり心配しすぎないでくださいね。
ただし、赤ちゃんが噴水のように吐き出したり繰り返し吐いたりするとき、顔色が悪いときは、幽門狭窄症の可能性があるので、すぐに小児科を受診しましょう。赤ちゃんが吐いたときは慌てずに、吐き方や吐いたものを観察しておくと、その後の診察や治療がスムーズに進められますよ。
普段から赤ちゃんの様子をよくみて、いつもと違うと感じたときはママやパパが落ち着いて対応してあげてくださいね。