生理前にさまざまな不快症状が起こる月経前症候群、通称「PMS」は、年代に関係なく多くの女性が悩まされています。症状の緩和方法には食事や漢方での体質改善もありますが、サプリメントを利用する人も少なくありません。そこで今回は、PMSの症状緩和に効果があるとされる栄養素や、サプリメントによく含まれている成分についてご説明します。
PMS(月経前症候群)とは?
PMS(月経前症候群)とは、生理の3~10日前くらいから現れることがある、次のような症状を指します(※1)。
精神的な症状
● わけもなくイライラする
● 気分がふさぐ
● なんとなく不安感がある
● 興奮しやすい
身体的な症状
● 胸の張り、痛みがある
● 下腹部の張り、痛みがある
● 頭が重い、頭痛がする
● 眠気がある
● 便秘気味である
● 肩こり、腰痛がある
● 足がむくむ
症状が出る期間については、生理がくる直前だけという人もいれば、排卵後あたりから生理が始まるまでという人も。個人差が大きいですが、生理が始まると不快症状が消える、もしくは軽くなるというのが特徴です(※1)。
PMSが起こる原因は?
なぜPMSが起こるのか、原因ははっきりわかっていません。
日本産科婦人科学会によると、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌バランスが生理前に崩れることで、脳内のホルモンや神経伝達物質が正常に働かなくなり、それがPMSにつながるのではないか、とされています(※1)。
ただし、脳内のホルモンや神経伝達物質は、ホルモンバランスの乱れだけでなく、精神的ストレスなど外的な要因による影響も受けます。また、PMSにカルシウム不足が関係している、という説もあります(※2)。
このように、様々な原因が組み合わさってPMSが引き起こされると考えられています。
PMSに効果的なサプリメントの栄養素は?
先ほどPMSの原因として挙げた、「ホルモンバランスの乱れ」「精神的なストレス」「カルシウム不足」に対して改善効果がある主な栄養素は、次のとおりです(※3)。
これらの栄養素を含むサプリメントは、PMSの症状緩和に役立つ可能性があります。
ビタミンB6
ビタミンB6は、女性ホルモンのうち「エストロゲン」の分泌を促進させ、ホルモンバランスを整える作用があるとされます。
またビタミンB6は、精神を安定させる「セロトニン」や、喜びや快楽を感じる「ドーパミン」などの神経伝達物質が体内で作られるのを助けてくれるため、生理前の情緒不安定の緩和につながります。
ビタミンE
ビタミンEにも女性ホルモンの代謝を良くする作用があり、PMSだけでなく生理痛や生理不順の改善にも効果があるとされます。
また、ビタミンEは末梢血管を広げて血行を促進し、自律神経を整える働きも。血流が良くなることで、PMSによる腰痛が改善されたり、体の冷えから来るむくみを和らげたりしてくれます。
カルシウム
先述のとおり、カルシウム不足がPMSの原因のひとつと考えられています。
「カルシウムが足りないと、歯や骨が弱くなる」というイメージが強いかもしれませんが、それだけでなく、カルシウム不足はイライラや肩こり、腰痛にもつながるので、生理前にこれらの症状がある人は、サプリメントで補うと良いかもしれません。
PMS対策の複合サプリに含まれる成分は?
薬局などに行くと、PMSに効果がある様々な栄養素を組み合わせた複合サプリメントも販売されています。
複合サプリメントは商品によって成分が異なりますが、先にご紹介した栄養素に加え、次に挙げる3つはよく含まれている成分です。サプリメント選びの参考にしてくださいね。
大豆イソフラボン
納豆や豆腐などの大豆製品に多く含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることから、ホルモンバランスを整え、PMSの症状を緩和すると考えられています(※3)。
また、大豆イソフラボンを適度に摂ることで、カルシウムの働きも活発になります。
チェストツリー(チェストベリー)
PMSの症状を緩和する西洋ハーブとして、チェストツリーやその実であるチェストベリーが使われることがあります。
チェストツリー(チェストベリー)には、女性ホルモンのバランスを整える働きがあり、生理前の胸の痛みやイライラといった症状を緩和するだけでなく、生理痛や更年期障害の改善にも効果が期待されています。
ピクノジェノール
ピクノジェノールは、フランス海岸松の樹皮からとれる天然の抗酸化成分で、痛みや炎症を起こす酵素の働きをブロックし、鎮痛効果を発揮すると考えられています。
ただし、ピクノジェノールの作用は比較的おだやかなので、サプリメントで効果を感じるには、数ヶ月続間服用し続ける必要があるとされています。
PMSをサプリメント以外で改善するには?
日本産科婦人科学会によると、PMSの症状を抑える方法には、サプリメントの摂取以外にも次のようなものがあります(※4)。
基礎体温表をつけて症状を把握する
PMSの改善には、基礎体温表をつけて、自分の体のリズムや症状をしっかり把握しておくことが効果的です。
生理周期と、PMSが出るタイミング・症状をあらかじめわかっておくことで、体調に無理のないスケジュールを立てられたり、「いまはPMSがある時期だからイライラしてしまっても仕方ない」と割り切れたりして、少し気持ちが楽になることもあります。
食べ物・飲み物を工夫する
先ほどPMSの改善に効果があると説明したビタミンB6、ビタミンE、カルシウムなどを適度に摂ることを意識し、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
また、カフェインなどの刺激物や、アルコールを摂りすぎると、血行不良を引き起こし、ホルモンバランスの乱れや冷えにつながる恐れがあるので、生理前はほどほどにしておきましょう。
適度な運動を行う
PMSを悪化させないためには、うまくストレスを発散させることが大切です。
おすすめは、ウォーキングやヨガなどの有酸素運動。ストレスが発散できるだけでなく、全身の血行が良くなって肩こりや腰痛などの症状が改善されることも期待できます。
ただし、PMSの症状がつらいときには無理をせず、ゆっくり休んでくださいね。
低用量ピルや漢方薬を使用する
PMSの主な要因はホルモンバランスの乱れなので、低用量ピルを継続的に飲むことで人工的にホルモンバランスを整えると、PMSの症状が緩和されることがあります。
また、血の巡りを良くしたり、婦人科系トラブルを改善したりするために漢方薬が効果を発揮することもあります。
低用量ピルも漢方薬も、個人の体質や症状にあわせて適切に使うことが大切です。まずは産婦人科や漢方医のいる漢方薬局で相談してみましょう。
PMSの改善にサプリメントを試してみよう
PMSは女性特有の症状のため、体調が悪くても周りに相談しにくく、つらい思いをしながら我慢している人は少なくありません。毎月のことなので、できるだけ症状を楽にしたいですよね。
サプリメントの服用は、自分でできる対処法のひとつです。ただし、サプリメントの効果にも個人差があり、体質によっては合わないこともあります。
サプリメントは薬ではないため、3~4ヶ月間飲み続けて様子を見てみましょう。しばらく試してみてもあまり効果が感じられないようであれば、婦人科などで治療方法を相談してみてくださいね。