生理前の腰痛の原因は?腰の痛みがひどいときの対処法は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

普段はなんともないのに、生理前になると決まって腰が痛くなることはありませんか?生理前は腰痛が起こりやすい時期で、痛みがひどくなって日常生活に支障をきたすという人もいます。今回は生理前の腰痛について、原因や腰の痛みがひどいときの対処法をご説明します。

生理前の腰痛の原因は?

女性 腰痛

生理前に腰痛が現れるのには様々な体の仕組みが影響しています。特に代表的なのが、以下の3つです。

月経前症候群(PMS)の影響

月経前症候群は、生理の3~10日前から起こる様々な不快症状のことです(※1)。代表的な症状は、腰痛のほか、胸の張りや頭痛、イライラ、不安感などで、これらの症状は生理が始まるとともに軽くなります。

原因はよくわかっていませんが、ホルモンバランスの乱れやカルシウムの不足、精神的な葛藤などがあるのではないかと考えられています。

プロスタグランジンの影響

生理中は、経血をスムーズに排出するために、子宮収縮を促す「プロスタグランジン」という物質が分泌されます。

プロスタグランジンは、生理中に突然分泌が始まるわけではなく、生理前から少しずつ分泌量が増えていきます。そのため生理前にも子宮が収縮し、腰やお腹の周りに痛みを感じることがあります。

また、プロスタグランジンは痛みを感じやすくさせる作用もあるので、普段から腰痛持ちの人は、その痛みが強くなることもあります。

血行不良の影響

生理前になると、血液は優先的に子宮へと送られます。その結果、体全体や骨盤内の血行が悪くなり、腰周辺の血行も悪くなることがあります。

血行不良になると、筋肉が強張り、痛みを引き起こす可能性があります。

生理前の腰痛がひどいときの対処法は?

アロマ

生理前の腰痛がひどいときは、以下のような方法で対処してみてください。

体を温める

体の冷えは血行不良を招きます。生理前は、できるだけ体を冷やしすぎないようにしましょう。

冷たい飲み物を飲むのは極力控えて、常温か、温かい飲み物を選ぶようにしましょう。生姜やゆずなどの体を温めてくれる成分が入った飲み物もおすすめです。

また、腹巻やカイロでお腹や腰部分を温めると、痛みがやわらぐこともあります。

リラックスする

疲労やストレスでホルモンバランスが乱れている可能性もあるので、生理前はできるだけリラックスして過ごすことが大切です。

リラックスの仕方は人それぞれなので、自分なりの方法がある人はそれを行いましょう。特に無いという人は、部屋やお風呂でアロマを使うのがおすすめです。リラックスできると同時に、体の疲れもとれますよ。

アロマのなかでも、ゼラニウムやクラリセージなどは、ホルモンバランスを整える効果があります。血流をよくするローズマリーや、鎮痛作用があるラベンダーなどもいいですね。

姿勢を良くする

姿勢が悪かったり、同じ姿勢で長い時間座っていたりすると、腰の血流が悪くなるうえに、骨盤のゆがみにもつながります。

長時間同じ姿勢でいることは避けて、立っているときも座っているときも正しい姿勢を心がけましょう。デスクワークの人は、1時間に1回ほどでもいいので立ち上がって、腰回りを少しほぐすのもいいですね。

薬を服用する

痛みがあまりにもひどいときは、鎮痛剤を服用するのも一つの方法です。服用の際は、用法・用量をきちんと守るようにしてください。

また、月経前症候群で痛みがひどいときは、低用量ピルや漢方薬などを服用することで、痛みが緩和されることもあります。腰痛だけでなく様々な不快症状が現れるという人は、婦人科で医師に相談すると楽になるかもしれません。

生理前の腰痛の予防法は?

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生理前の腰痛を予防するには、生活習慣を見直しましょう。

普段から体を温める習慣を心がければ血行が改善されますし、規則正しい生活でホルモンバランスが整えば、腰痛以外にも生理前の様々な不快症状がやわらぐこともあります。

適度な運動にバランスのとれた食事、たっぷりの睡眠など、できるだけ自分の体をいたわる生活を送ってくださいね。

生理前の腰痛がひどいときは婦人科へ

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生理前の腰痛は、体の変化による自然なものであることが多いのですが、痛みがひどければ婦人科を受診しましょう。症状に応じて、腰の痛みをやわらげる鎮痛剤や、ホルモンバランスを整える低用量ピルを処方されることもあります。

また、腰痛があまりにもひどい場合は、子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科系の病気が隠れている可能性もあります(※2)。生理がきても痛みがひかない、またはどんどん痛くなっていくというようなときは、一度婦人科できちんと検査をするようにしてください。

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