赤ちゃんのジュースはいつから・どのくらいの量ならOK?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

外出時など、静かにしてほしいときに赤ちゃんにジュースを与えると、ぴたっと泣きやんだり、ぐずりが治まったりすることも。しかし、いくらぐずりに効果があるといえど、どのくらいあげていいものなのかは気になるところですよね。そこで今回は、赤ちゃんのジュースはいつからあげていいのか、どのくらいの量ならあげていいのかなどをご紹介します。

赤ちゃんのジュースはいつから?

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厚生労働省は2007年に発表した資料の中で、離乳食を始める前に果汁を与えることについては、「栄養学的に必要ない」という旨の発表をしています。

理由として、果汁を摂ることによって、母乳やミルクを飲む量が減ることや、たんぱく質、脂質、ビタミン類、鉄・カルシウム・亜鉛などのミネラル類を摂取する量も低下するおそれがあることを挙げています(※1)。

また、2017年には米国小児科学会も、生後1年までは果汁100%ジュースを赤ちゃんが飲むメリットはないとした提言を発表しています(※2)

そのため、赤ちゃんにジュースを与えるのは1歳以降からにして、大人用ではなく、赤ちゃん用の野菜ジュースや果汁100%ジュースをあげるようにしたほうがいいでしょう。

赤ちゃんにジュースを飲ませるときの量は?

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赤ちゃんは大人に比べて胃や腸などの消化器官が未発達です。そのため、果汁や糖分の多いジュースを一度にたくさん飲むと、血糖の急激な上昇や、胃腸への負担などで下痢をしやすいなど、体に負担がかかって体調を崩すおそれがあります。

米国小児科学会は、赤ちゃんに果汁100%ジュースを飲ませる量の基準について、1日あたり118ml以内に抑えることを推奨しています(※2)。しかしこれはあくまでもアメリカの指標なので、参考程度にして、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ与えてみてください。

また、キウイ、りんご、もも、メロンなどの果物はアレルギーの原因となることもあるため、それらを材料にしているジュースは特に少量ずつ、様子を見ながら与えるようにしましょう(※3)。

赤ちゃんにジュースを飲ませるメリットは?

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赤ちゃんにジュースを飲ませるメリットは何と言ってもぐずりを落ち着かせられることでしょう。

湯冷ましや麦茶など、普段は甘くない飲み物しか飲まない赤ちゃんにとって、ジュースは興味津々。いつもと違う「特別な飲み物」を飲むことは赤ちゃんの気分転換にもつながり、機嫌が良くなるきっかけになります。

また、パック入りのジュースをストローで飲むことにより、ジュース以外を飲むときでもストローが使えるようになったというママもいます。

赤ちゃんのジュースはデメリットもある?

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赤ちゃんのジュースには、下記のようなデメリットもあります。デメリットを知ったうえで、飲ませる頻度や量を考えたいですね。

虫歯

赤ちゃんの歯は、生えた後に唾液中のカルシウムによって徐々に硬くなっていきます。そのため、生えて間もない赤ちゃんの歯は硬さが不十分で、虫歯になりやすいという特徴があります(※4)。糖分(ショ糖、スクロース)を多く含むジュースを飲むときは、虫歯に十分な注意が必要です。

また、酸味を多く含むジュースは歯が溶ける酸蝕症という症状になりやすくなります。

肥満

大人でも同じですが、糖分の摂りすぎは肥満につながるおそれがあります。果汁100%のジュースでも、果物をそのまま食べる場合と違って満腹感が得られないので、どうしても飲みすぎてしまうこともあるようです。

食物アレルギー

前述のとおり、アレルギー物質を含む果物や野菜を使ったジュースでは、発疹などの食物アレルギーと考えられる症状が現れる可能性があります。

癖になる

甘い飲み物は癖になってしまうため、ジュースを飲みすぎてお腹いっぱいになってしまい、他の食事を摂る量が減ってしまうということもあります。

栄養のバランスが崩れてしまうことで、体調を崩しやすくなったり、成長に悪影響が出たりする可能性もあります。

赤ちゃんにジュースを飲ませるときはデメリット対策をしっかりと

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ジュースは赤ちゃんのご機嫌をとってくれる、ママ・パパとしてもありがたい飲み物です。しかし、そのデメリットも多く、特に虫歯は一生付き合うことになるため、できるだけ回避したいところです。

外出時は難しいかもしれませんが、赤ちゃんにジュースを飲ませたら、できるだけ歯を磨いてあげましょう。

また、ストローや飲み口付きのマグ、哺乳瓶などで長時間ジュースを飲ませていると、酸が歯に接している時間が長くなり、酸蝕が起きやすくなります。

飲み終わるタイミングもわかりにくく、だらだらと長く飲むことになってしまうことも考えられるため、コップで少量ずつ与えるなど工夫して、長時間飲ませないようにしましょう。

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