乳糖不耐症の赤ちゃんは下痢が続く!?症状や治療法、検査法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

乳糖不耐症とは、母乳やミルク、そのほか乳製品などに含まれる乳糖が十分に分解できないために、下痢などが長引く消化器官の病気です。母乳やミルクしか飲めない赤ちゃんにとっては決して軽い病気ではありません。ママも何をあげたらいいのか困ってしまいますよね。そこで今回は、赤ちゃんが乳糖不耐症になってしまったとしても慌てないために、乳糖不耐症の症状や治療法、検査法などを紹介します。

乳糖不耐症とは?

赤ちゃん ミルク 泣く

乳糖不耐症とは、牛乳やミルクなどに含まれる乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼという酵素が働かず、乳糖をうまく消化吸収できない病気です。

乳糖不耐症には、ラクターゼを生まれつき持たないことで発症する先天性のものと、胃腸炎の感染など何らかの理由でラクターゼの効き目が弱くなって発症する二次性のものがあります。赤ちゃんの乳糖不耐症は、ほぼ二次性のものです。

先天性の乳糖不耐症は稀で、日本における発生頻度などはよくわかっていません。もっとも発生頻度が高いとされるフィンランドでは、6万人に1人の割合で乳糖不耐症の赤ちゃんが生まれるとされています(※1)。

乳糖不耐症の赤ちゃんに出る症状は?下痢が続くと要注意?

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乳糖不耐症の赤ちゃんは、母乳やミルクを飲んで数時間から数日のうちに激しい下痢をします。ただし症状が現れるまでの時間や症状の重さは、お腹の中のラクターゼがどの程度働いているかによって変わります。また栄養をうまく吸収できないため、体重が増えにくい傾向があります。

乳糖不耐症でも、そうでなくても、ラクターゼは歳を取るにつれて自然に減少していきます。

そのため、赤ちゃんのときから乳糖不耐症だった人が大人になると、少ししか乳糖を含んでいない食べ物を食べたり飲んだりするだけで水っぽい下痢や腹鳴(お腹がゴロゴロ鳴る)やお腹の張りを感じ、ときにはひきつるようなお腹の痛みを繰り返すようになります。

ただし乳糖の摂取をやめると、下痢や腹痛などは数時間から1日程度で治ります(※1)。

乳糖不耐症が赤ちゃんに起こる原因は?

染色体 遺伝子 

先天性の乳糖不耐症は、ラクターゼを作る遺伝子の異常が原因で引き起こされます。遺伝子に異常があるとラクターゼを体の中で作ることができなかったり、作れてもうまく働かなかったりするため、乳糖不耐症になってしまうのです。

一方、二次性の乳糖不耐症は、歳を取ったことによってラクターゼが少なくなってしまうことや、感染性の胃腸炎などが原因で引き起こされます。感染性の胃腸炎が原因の乳糖不耐症は一時的で、おおむね1〜2週間程度と長引きますが基本的にはその後ラクターゼの働きは正常に戻ります(※1)。

乳糖不耐症の赤ちゃんの検査方法は?どうチェックするの?

検査 実験 感染症

赤ちゃんに乳糖不耐症の症状が出て、乳糖を取り除いたミルクを与えたら症状が改善されたときに乳糖不耐症が疑われます。無乳糖ミルクは、ネット通販などで購入することができます。

頻度は低いですが、先天性の乳糖不耐症が疑われた赤ちゃんには以下の検査を行うことが望ましいとされています(※1)。

● 経口乳糖負荷試験
● 血糖値の検査
● 呼気中水素ガス濃度の検査
● 経口ブドウ糖負荷試験

乳糖不耐症の赤ちゃんの治療法は?ミルクや母乳は飲めない?薬で治せるの?

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残念ながら、先天性の乳糖不耐症を治療することはできません。ラクターゼの働きを補助してくれる「β-ガラクトシダーゼ製剤」という薬もありますが、先天性の乳糖不耐症には効き目があまりありません。

赤ちゃんが先天性の乳糖不耐症だった場合は、母乳や通常のミルクによる授乳を中止し、乳糖を含まないミルクによる授乳に切り替える必要があります。また、授乳期を終えても乳糖不耐症が治るわけではないので、乳糖や乳製品を与えることはできません。

ただし、乳糖不耐症は乳糖を取り除いた食事を心がけていれば、他に問題が出ることはありません(※1)。

乳糖不耐症の赤ちゃんはヨーグルトや牛乳もダメ?

ヨーグルト スプーン 白 

前述のとおり、乳糖不耐症の赤ちゃんの治療では、ヨーグルトなどの乳製品や牛乳などの乳糖を含む食品を与えてはいけないことになっています。

幼稚園や保育園の給食で乳糖や乳製品を取り除いてもらうには、自治体や園によっては医師による診断書の提出が必要な場合もあります(※2)。乳糖不耐症の赤ちゃんや子供の給食から乳糖や乳製品を取り除いてもらいたいときは、お住まいの自治体などに問い合わせてください。

赤ちゃんが乳糖不耐症かもと思ったら病院へ

赤ちゃん ママ 親子 笑顔

母乳やミルクを赤ちゃんに与えると下痢などをする場合は乳糖不耐症かもしれません。放置せず、すぐに病院へ行って診てもらいましょう。

先天性の乳糖不耐症は一生付き合っていく必要がありますが、治療をすれば日常生活を問題なく送れるようになるので、あまり悲観しないでくださいね。医師の指示に従って、赤ちゃんがしっかり育つよう見守ってあげたいですね。

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