授乳中に寿司や刺身を食べてもいいの?注意点は?

監修専門家 管理栄養士 渡辺 亜里夏
渡辺 亜里夏 神奈川県立保健福祉大学卒業後、予防医学に興味を持ちドラッグストアへ就職。その後独立し、現在はフリーランスの管理栄養士として特定保健指導、ダイエット指導、コラムの執筆、企業様での研修などを中心に活動。い... 監修記事一覧へ

妊娠中、医師から「魚には水銀を多く含むものもあるから、寿司や刺身には気をつけて」と言われたことがあるママもいますよね。そこで気になるのが、授乳中は寿司や刺身を食べていいのかどうかということ。妊娠中に我慢した分、思いっきり食べたいという人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、授乳中に寿司や刺身を食べてもいいのか、食べる際の注意点などをご紹介します。

授乳中に寿司や刺身は食べてもいいの?

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授乳中に寿司や刺身を食べていいのかどうか悩む人のなかには、母乳を通じて赤ちゃんに水銀が摂取されるのではないかと心配している人もいるでしょう。

実際のところ、ママが食べた魚に含まれる水銀は、母乳を通じて赤ちゃんの口に入るのでしょうか。

厚生労働省が平成17年に発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて」という資料によると、母乳に水銀は含まれるものの、ごく微量のため、乳児に健康被害が出るほどのものではないとしています(※1)。

むしろ、この資料では魚介類には良質なタンパク質やEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が他の食品より多く含まれていることから、摂取することを推奨しています。

このEPA、DHAは不飽和脂肪酸と呼ばれ、血管障害やアレルギー反応を抑制する働きがあります。

授乳中に寿司や刺身を食べる際の注意点は?

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上記のように、授乳中に寿司や刺身を食べても、赤ちゃんに水銀による健康被害は起こらないとされています。しかし、水銀以外にも、いくつか気をつけなくてはいけない問題があります。

それが、魚を原因として起こる食中毒と、味や匂いの変化などの母乳への影響です。ここからは、この2点について詳しくご説明していきます。

授乳中に寿司や刺身を食べる際の注意点1:食中毒

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授乳中に寿司や刺身を食べる際、気をつけたいのが食中毒。授乳中のママが食中毒になると、自分がつらいだけでなく、赤ちゃんのお世話もままならなくなってしまいます。

魚介類を食べることで起こる食中毒の原因として代表的なものに、腸炎ビブリオなどの菌によるもの、アニサキスなどの寄生虫によるもの、ヒスタミンという化学物質によるものがあります。

腸炎ビブリオによる食中毒

腸炎ビブリオによる食中毒は7~9月に起こることが多く、原因のほとんどが魚介類かその加工品を食べることです(※2)。

感染すると、12時間前後の潜伏期間を経て、腹痛や下痢、発熱、嘔吐、吐き気などの症状が現れます。下痢や嘔吐などで脱水症状を起こした場合は点滴による治療を行う場合がありますが、特別な治療を行わなくても治ることが多いです(※2)。

腸炎ビブリオは10度以下では増えず、熱に弱いという特徴があるため、原因となる魚介類を低温で保存しておくことや、調理の際に食品の中心部分を10分以上、60度を超えるように加熱することで、感染を予防することができます(※3)。

アニサキスによる食中毒

アニサキスによる食中毒は、季節を問わず起こります。感染の原因は、アニサキスに寄生されたサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類を生で食べることです。

感染すると、食後数時間から数日後に胃の激しい痛みや吐き気、嘔吐や下腹部の痛みなどの症状が現れます。

アニサキスは長さが2~3cmほどと目に見える大きさなので、寿司や刺身を食べる前に見つけたら手で取り除くことや、マイナス20度以下で24時間以上冷凍、または60度以上で1分以上加熱することで感染を防ぐことができます(※4)。

ヒスタミンによる食中毒

ヒスタミンによる食中毒は、カジキ、マグロ、ブリなどの赤身魚や、その加工品に多く含まれる「ヒスチジン」というアミノ酸が、魚に付着している菌の働きによってヒスタミンに変わり、それを100mg以上食べることで発症します(※5)。

ヒスタミンの食中毒になると、食べてから1時間以内に口周りや耳たぶが赤くなり、じんましんや頭痛、嘔吐や下痢などの症状が現れます。

冷蔵庫のなかでも、長期間保存しているとヒスタミンは増えることがあるため、赤身の魚はできるだけ早く食べてしまうことをおすすめします。

また、ヒスタミンが大量に含まれている魚を口に入れると、舌がピリピリすることもあるので、そのような刺激を感じたら食べるのをやめましょう。

授乳中に寿司や刺身を食べる際の注意点2:母乳への影響

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母乳と食事の関係について、現時点で詳しい調査報告があるわけではなく、母乳にママが食べたものの匂いや味が移るというような影響があるかどうかについては、医学的に明らかになっていません。

一方で、母乳育児相談室や母乳外来の食事指導では、脂肪分や糖分の高い食事は乳腺をつまらせたり、母乳の質を下げたりするため、できるだけ避けるようにと注意されることもあります。

授乳中に食べる寿司や刺身のなかで、サンマやサバ、ハマチやマグロのトロ、ウナギなど、脂質を多く含む魚は、母乳の味が悪くなるため、避けたほうがいいとする意見もあります。

また、サバなどの臭みが強い魚の場合は、母乳に匂いが移り、赤ちゃんが母乳を飲みにくくなる可能性もあるのではないかといわれています。

授乳中にこれらの魚を食べたからといって、100%母乳に影響が出るわけではありませんが、赤ちゃんの様子を見て、何か影響がありそうだと感じたら、摂取しすぎないことをおすすめします。

授乳中に寿司や刺身を食べる際は、赤ちゃんへの影響を考えて

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妊娠中と違い、母乳から赤ちゃんの口に入る水銀はごくわずか。そのため、基本的に授乳中に寿司や刺身を食べること自体は問題ありません。むしろ魚に含まれるEPAやDHAなどは、赤ちゃんの脳の発達にいい影響を及ぼす栄養素です。

しかし、鮮度や魚の管理温度、食べる量によっては、食中毒のおそれがあったり、母乳の味や匂いを赤ちゃんが飲みにくいものへと変えてしまったりする可能性も指摘されています。ママが食中毒になってしまったら、授乳どころではなくなってしまいますよね。

そのため、授乳中に寿司や刺身を食べる場合には、刺身なら鮮度のいいもの、寿司ならかっぱ巻きやかんぴょう巻きなどの巻物や、煮アナゴなどの火が通ったネタを選んだほうがいいかもしれませんね。

授乳中は、バランスのとれた食事が必要です。寿司や刺身だけでなく、大豆製品や野菜なども意識して摂るようにして、赤ちゃんに栄養たっぷりの母乳を飲ませてあげましょう。

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