円形脱毛症は誰でもなる可能性のある病気ですが、とくに15歳以下の子供が発症しやすいことが知られています。症状は毛が抜けるだけなので生活に支障はないものの、見た目が原因で子供の心に大きな負担を強いることがあります。それだけにママやパパとしては一刻も早く治ってほしいですよね。そこで今回は、子供が円形脱毛症になる原因と治療法、なぜ病院は皮膚科にすべきなのかを紹介します。
円形脱毛症とは?症状は?
円形脱毛症は脱毛症の一つで、コインのように丸く髪の毛が抜けるのが特徴です。1箇所だけとは限らず、いくつも現れることがあります。頭全体や全身の毛が抜けたり、髪の毛の生え際で帯状に毛が抜ける場合もあります(※1)。
円形脱毛症の発生頻度は人口の1〜2%と考えられています。発症に男女差はなく、どんな年齢でも円形脱毛症を発症しますが、患者の1/4は15歳以下で発症しています。
合併症はなく、症状は基本的に毛が抜けるだけです。ただし円形脱毛症患者の1/4には、爪に小さなくぼみや横の溝ができるなど、爪の変化が現れます(※2)。
子供の円形脱毛症の原因は?ストレスでなる?
子供の円形脱毛症の原因はストレスだということがよくいわれますが、それは直接的な原因ではありません。
円形脱毛症の直接的な原因は、毛の細胞が本来であれば攻撃しないはずのリンパ球に攻撃されてしまい、壊れてしまうことです。ストレスはそれを引き起こす間接的な原因に過ぎません。むしろ、ストレスに関係なく円形脱毛症を発症する子供の方が多いと考えられています。
子供が円形脱毛症になる間接的な原因としては、遺伝の要素もあります。円形脱毛症患者の約2割には家族に円形脱毛症の人がいるため、円形脱毛症になりやすい素質が遺伝している可能性があります(※2)。
子供の円形脱毛症は治る?自然治癒する?
脱毛箇所が少ない円形脱毛症は、ほとんどが自然に治り、治療も必要ありません。一方、抜けている範囲が広い円形脱毛症は、元に戻るまで時間がかかります。頭全体や全身にまで脱毛が及んでいると、再び髪の毛が生えそろうまでに数年以上かかる子供もいます。
ただし、たとえ何年も円形脱毛症が続いていても、その部分が永遠に毛が生えないわけではありません。治療が成功すれば毛が生えますし、治療とは関係なく自然に生えてくる子供もいます(※3)。
子供の円形脱毛症の治療法は?薬で治る?
円形脱毛症の治療法はいくつかありますが、子供の場合は大人よりも治療の選択肢が少なくなります。
以下に、日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドラインで取り上げられている子供にも適用できる治療法を紹介します(※4,5)。
発症したばかりで脱毛範囲が小さい場合
円形脱毛症が発症したばかりで脱毛範囲が小さい場合は、塩化カルプロニウムなどの塗り薬やグリチルリチン、セファランチンといった飲み薬で様子をみます。円形脱毛症が長引くようなら、ドライアイスで脱毛しているところを冷やしたりすることもあります。
脱毛範囲が広く、6ヶ月以上治らない場合
脱毛範囲が広く、6ヶ月以上も治らずにいる円形脱毛症の子供には、局所免疫療法という治療を行うことがあります。
局所免疫療法は、かぶれを起こす特殊な薬品を脱毛部に塗って、弱いかぶれの皮膚炎を繰り返し起こさせる治療法で、1~2週間に1回行います。効く確率は60%以上で、現在最も有効な円形脱毛症の治療法です。
ただし途中で治療を中止すると再び脱毛してしまうため、治療を繰り返し何年も行うことがあります。副作用でひどいかぶれを起こすこともあります。
局所免疫療法は健康保険の適用外なので、子供の円形脱毛症をこの方法で治療する場合は、念のため事前に費用を確認しておきましょう。
子供の円形脱毛症は何科の病院に行くべき?
円形脱毛症は病気なので、発症したら医療機関で専門医に診察してもらうのが一番です。
その際は皮膚科を受診するようにしましょう。症状の程度を診て適切な治療を行ってくれるはずですよ。
子供の円形脱毛症は専門医に相談しましょう
子供が円形脱毛症になったのは家庭や学校の環境に問題があるからでは?と悩むママもいますが、思いつめ過ぎる必要はありませんよ。
円形脱毛症はストレスが原因だと思われがちですが、あくまでいくつかある間接的原因の1つに過ぎません。たいていの円形脱毛症はストレス以外が原因です。
円形脱毛症はまだわからないことが多い病気だからこそ家庭内で悩むのではなく、皮膚科の専門医に相談しましょう。子供がつらい思いをしないように寄り添ってあげてくださいね。