最近性欲がない、疲れやすい、太ってきた、などの症状がある場合、多くの男性は「年のせいだ」と高を括ることでしょう。しかし、そう判断するのは早いかもしれません。可能性のある病名は「LOH症候群」。今回はあまり聞きなれないこのLOH症候群がどんな症状なのか、検査や治療法、治療費用などについてご紹介します。
LOH症候群とは?症状は?
LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)とは、男性更年期障害とも呼ばれる病気の一種です。
発症すると、下記のような症状が現れます(※1)。
● 性欲や勃起力が弱くなる
● 集中力や記憶力が低下する
● 疲労感、抑うつ症状が現れる
● 睡眠障害が起こる
● 筋力が低下する
● 内臓脂肪が増える
● 体毛が濃くなる
● 骨粗鬆症になる
LOH症候群の原因は?
LOH症候群は、男性ホルモンのひとつであるテストステロンが減少することで起こると考えられています(※2)。
このテストステロンは20歳代をピークに年々減少する傾向にあり、その後大きく増えることはほとんどありません。また、ストレスによっても減少すると考えられています。
女性の更年期障害は、女性ホルモンが急激に減少する閉経の後に起こることが多いですが、男性にはテストステロンの急激な変化のタイミングがないため、LOH症候群を発症する年齢には個人差があります。
LOH症候群の検査方法とは?
LOH症候群は、その症状の多さから、うつ病やEDなど、他の病気と間違われることが多くあります。
そのため、判別には男性ホルモン量を測定する検査や血液検査、精巣の大きさなどを測る検査やカウンセリングなど、多種多様な検査が行われます(※1)。
LOH症候群の治療法とは?
LOH症候群を発症した場合、自然治癒は難しいと考えられています。LOH症候群の治療法には、下記のようなものがあります(※2)。
テストステロン補充療法
テストステロンの補充療法は、体内のテストステロンが著しく低下しているときに用いられます。
数週間ごとの注射によってテストステロンを体内に取り込む方法や、男性ホルモン軟膏を陰嚢の皮膚に塗る方法があります。
しかし、この治療法では、体内のテストステロンが増えることにより、血液中の赤血球が増えるために起こる心筋梗塞や狭心症、多血症なども発症しやすくなると考えられています(※2)。
漢方療法
LOH症候群の治療には、漢方薬が用いられることもあります。
治療に使われるのは八味地黄丸(はちみじおうがん)や牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)といった漢方薬で、記憶力や性機能・性欲の低下に効果があります(※3)。
カウンセリング
LOH症候群は、ストレスによってテストステロンが減少することでも発症します。発症しやすい年代の男性は仕事や家庭などでストレスを抱えることも少なくありません。
そのため、ストレスを取り除く目的で、治療の一環としてカウンセリングが行われることがあります。
勃起治療薬
LOH症候群の症状の一つである勃起障害の治療のために、勃起治療薬が処方されることがあります。
勃起治療薬には、バイアグラやシアリス、レビトラなどの種類があります。
LOH症候群の治療費の目安はどれくらい?
LOH症候群の治療費は、病院によって健康保険が効く場合と効かない場合があります。受診の前に問い合わせておくと安心ですね。
初診の場合、血液検査やカウンセリングが行われることが多く、初診費用も含めると、保険の効かない病院でおよそ1~5万円ほど、保険が効いて5千円~1万円ほどかかるケースが多いようです。
また、ED治療のためにバイアグラなどの勃起治療薬が処方される場合は、さらにその価格が上乗せされます。
LOH症候群に対する治療は長期間にわたって行われることが多く、テストステロン補充療法の場合は、治療が始まって1年間は少なくとも3ヶ月ごとに経過観察が行われます(※1)。
LOH症候群になっても焦らず治療しよう
性欲減退や肥満などは「年だからしょうがない」と諦められがちな症状ともいえます。しかし、それらの症状は、実はLOH症候群という病気によるものの可能性があるため、一度は諦めた人でも症状が改善するかもしれません。
LOH症候群の治療にはある程度時間がかかりますが、最近では専門外来のある病院もあり、病院によっては診察や治療に健康保険が適用されることもあります。
もし今回紹介したLOH症候群の症状が自分に当てはまる場合は、まず病院を受診してみることをおすすめします。