EDに悩んでいる人は日本国内で約1130万人。40歳以上の男性では、3人に1人がEDだといわれています(※1)。ED自体の認知度は高くなりましたが、その実態についてはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。妊活中の夫婦なら、男性不妊の原因の一つとして、EDを正しく理解しておきたいところですね。今回は、EDの症状や原因、治療方法や治療にかかる費用など、気になる点をまとめました。
EDとは?勃起不全・勃起障害のこと?
EDとは、性行為時の勃起機能が低下している状態をいい、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態」と定義されています(※2)。
正式には「Erectile Dysfunction」といい、「勃起不全」や「勃起障害」と訳されます。男性不妊の原因の一つです。
ED(勃起不全・勃起障害)の症状は?
ED(勃起不全・勃起障害)というと「勃起しない状態」だけを指すと思うかもしれませんが、下記のような状態もEDに含まれます。
● 勃起までに時間がかかる
● 勃起時の硬さが不十分
● 勃起が維持できない
また、たとえマスターベーションで勃起や射精ができていても、性交ができない場合は、EDかもしれません。性行為の際に勃起が持続しない状態が続くようなら、一度泌尿器科や不妊治療専門のクリニックを受診することをおすすめします。
たまに勃起しないのもED(勃起不全・勃起障害)の可能性がある?
ED(勃起不全・勃起障害)は、重症度で大きく下記の3段階にわけられます(※2)。
軽度ED
たまに勃起できない、または維持できないことがあるが、大抵の場合は性交に十分な勃起が維持できる状態。
中等度ED
時々は、性交に十分な勃起ができ、維持もできる状態。
完全ED
性交時に毎回勃起ができない、または維持ができない状態。
うまくできないことがあっても、ほとんどの人は「今回はたまたまだ」と軽く考えがちです。しかし、そのまま放置しておくと重症度が上がって、完全EDになってしまうこともあります。
治療をすれば改善するものなので、勃起がうまくいかないと感じることがあれば、早めに専門医に相談してください。
ED(勃起不全・勃起障害)の原因は?
そもそも勃起は、性的な興奮を感じて、その刺激が伝達されることで男性器に血液が集まり起こります。そして、性行為が終わるまで、その血液が流れ出ないように溜め込んでおくことで、勃起が維持できます。
EDは、上記の過程になんらか不具合が生じて起こると考えられます。原因には、主に以下の3種類があります。
心因性ED
精神的なストレスが引き金になって起こるEDです。仕事や夫婦関係でのネガティブな感情やトラウマなどによって、勃起が難しくなります。
一度性行為がうまくいかず、「またうまくできなかったらどうしよう」という不安が原因で発症することもあります。
器質性ED
神経や血管などの障害で起こるEDです。年齢を重ねるだけでも神経や血管は弱くなっていきますが、高血圧や糖尿病、肥満、または喫煙の習慣などがあると、陰部の血流が悪くなってEDが起こりやすくなるといわれています。
また、下部尿路症状・前立腺肥大症といった泌尿器科系の疾患、前立腺癌や膀胱癌の手術の影響なども原因になることがあります。
薬剤性ED
中枢神経などに作用する薬、循環器・消化管に作用する薬など、特定の薬の副作用でEDになることがあります。具体的には解熱・鎮痛剤、抗うつ薬、血管拡張剤などが挙げられます。
一昔前は、EDの原因はほとんどが心因性だと考えられていましたが、診断法の進歩にしたがって器質性や薬剤性、器質性と心因性の両方を伴う混合性があることもわかっています(※2)。
ED(勃起不全・勃起障害)の治療法は?薬で治るの?
ED(勃起不全・勃起障害)の治療には、薬を使うのが基本です。勃起しない、または勃起が持続しない原因は、主に陰部の血流量なので、薬を使って血管を拡張し、十分な血液が流れるようにします。
この薬は「PDE5選択的阻害薬」といわれ、日本国内には「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類があります。
症状などによってどの薬が処方されるかは異なりますが、性行為を行う1時間くらい前に、1錠服用するのが基本です(※1)。薬の効果を最大限に発揮させるには、十分な睡眠をとって体を健康な状態にしておき、空腹時に服用しましょう(ただしシアリスは、食事の影響を受けません)。飲み過ぎは逆効果ですが、程よい飲酒も助けになります。
EDの原因が精神的なものである場合は、心理的なカウンセリングを併用することもあります。
多くのEDは薬で治りますが、なかには効かないこともあります。その場合は陰圧式勃起補助具を付ける、陰茎に直接プロスタグランジン注射を打つ、外科的な手術をするなどで勃起機能をサポートすることもあります。
また、勃起は性的な刺激がなければ起こりません。治療には、夫婦で協力して臨むことが大切です。
ED(勃起不全・勃起障害)の治療薬に副作用はある?
EDの治療薬は副作用が強いのでは?と心配する人もいると思いますが、用法用量を守っていれば、基本的には危険性が高いものではありません。血圧が少し低下したり、軽い頭痛が現れたりすることはありますが、一時的なものがほとんどです。
ただし、持病のために血圧を下げる降圧薬や、狭心症の治療薬のニトログリセリン製剤などと併用すると、重大な副作用をもたらす危険性もあります。持病がある場合はきちんと医師に告げ、指示にしたがって服用してください。
また、医師に処方された薬であれば安心ですが、インターネット通販で購入できる薬には、効果的な成分が含まれていないもの、汚染物質が含まれているもの、健康被害をもたらすものなどがあると報告されています。
2008~2009年に行われた調査によると、ウェブサイトを通じて入手されたPDE5選択的阻害薬について、日本で販売されている43.6%が偽物だったことがわかっています(※2)。
EDの治療を行うために薬を服用する際は、医師から処方してもらいましょう。
ED(勃起不全・勃起障害)の治療費用は?
ED治療全般は、あくまでも「生活の質を高めるため」と判断されるため、健康保険が適用されません。そのため、薬などはすべて自己負担になります。
検査などでお金がかかるうえ、どの薬も1錠あたり1,500~2,000円ほどするので、治療が長引くと費用がかさんでしまいます。外科的な手術が行われると数万円かかることもあります。
治療の前に、医師やパートナーと費用についてもきちんと相談することをおすすめします。
ED(勃起不全・勃起障害)の治療は早期対応が大切
EDは、男性としてなかなか認めたくないものかもしれません。しかしEDの状態が続けば、自分だけではなく、パートナーも悩ませてしまううえ、妊娠を希望する場合にも障害となり得ます。
EDは、早期発見・早期治療を行えば、スムーズに回復しやすい疾患です。EDの可能性があれば、恥ずかしがらずにできるだけ早く治療を始めましょう。泌尿器科や泌尿器専門クリニックだけでなく、EDの治療薬を処方してもらえる内科もあります。少しでも不安があれば、まずは病院を訪れて、気軽に相談してくださいね。