男性が射精するときに頭痛になるのは、実は珍しいことではありません。しかし射精のたびに頭が痛くなると、次第に射精自体がいやになってしまい、妊活にも影響が及んでしまう恐れもあるので、男性のみならず女性にとっても、気になる症状といえます。そこで今回は、射精後に頭痛がする原因や治療法をご紹介します。
射精後の頭痛とは?起こる割合は?
射精するときの頭痛は、医学的には「性行為に伴う一次性頭痛」「性交時頭痛」などと呼ばれることもあります。
実は男性だけでなく女性も性交時に頭痛が起こることがありますが、男性の方が女性より症状があることが多いようです(※1)。
また射精後の頭痛はパートナーとの性交時だけでなく、マスターベーションの際にも起こります。
射精時の頭痛をうったえる人は、頭痛患者のうち0.2~1.3%を占めるという調査結果があります(※2)。
しかし射精時の頭痛で病院を受診することを躊躇するケースが多いと予想されるため、実際にはもっと多くの人に症状があると考えられています。
射精時に頭痛がする原因と症状は?
射精時の頭痛の症状は、主に3つに分けられます(※2)。
オルガスム前頭痛
● 首周辺の筋肉の収縮を自覚し、頭が鈍く痛む
● 性行為中に起こり、性的興奮の上昇と比例して痛みが増す
オルガスム時頭痛
● 突発的に頭痛が起こる
● オルガスムのときに痛む
体位性頭痛
● 性行為のあとに体勢を変えたときに起こる
オルガスム前頭痛、オルガスム時頭痛は、特に後頭部が痛みます。その原因は、オルガスム前頭痛は首回りの筋肉の収縮が影響していること、オルガスム時頭痛は急激に血圧が上昇したり、心拍数が増えたことであるとされています。
頭痛は5分ほどでなくなる場合もありますが、数時間、あるいは一日続いてしまうこともあります(※2)。なお発症事例は、オルガスム時頭痛の方がオルガスム前頭痛より4倍ほど多くなっています(※2)
一方、体位性頭痛は性交時頭痛とは切り離されて「特発性低頭蓋内圧性頭痛」というタイプに分類されます。これは脳の髄液の圧力が一時的に低くなることで起こります。低い姿勢から立った直後などに頭が痛くなり、しゃがんだり寝たりすると頭痛が消えることが多いようです。
また、これらの3つの頭痛の他に、緊張型頭痛(ストレスを感じたときに起きやすい頭痛)や片頭痛(ストレスから解放したときに起きやすい頭痛)も併発していることもあります。
射精時の頭痛は薬の副作用によることもある?
射精時の頭痛は、上でご紹介した原因のほかに薬の副作用によるものもあることが考えられます。
特にED(勃起障害)の治療薬と知られるバイアグラを服用した際は、副作用として、軽い頭痛が起こることもあります(※4)。性交中は感じなくても、射精後に頭痛を自覚する、ということもあります。
射精時の頭痛に対する治療法は?
これまでに挙げたようなことが原因で起こる頭痛に関しては、大きな不安はありません。たとえば「射精の後に一度だけ頭痛が起こったけれど、症状は軽かった」というのであれば、特に治療の必要はないでしょう。
放っておけば頭痛が収まることがほとんどで、オルガスム前頭痛は性行為を途中で止めることで頭痛が収まることも多いようです。
ただし何度も射精時に頭が痛くなるようであれば、性交前にインドメタシン、トリプタン、エルゴタミンなどの鎮痛薬を服用することで頭痛を防ぐことができる場合もあります。
射精時の頭痛は危険な病気のサイン?
あくまでも可能性のひとつですが、頭痛は重大な病気のサインであることがあります。くも膜下出血や脳動脈瘤などは、頭痛がきっかけで判明することが多い病気なので、その可能性も疑うべきかもしれません。
性行為の最中は運動量が増え、心拍数が上がったり血圧が上がるため、こうした病気を引き起こしてしまうこともあるのです。もし突然バットで殴られたような激しい痛みがしたら、できるだけ早く病院で診断を受けましょう。
射精時の頭痛は、まず原因を探してみよう
射精時に頭痛があるからといって、不妊の可能性があるのではないか、重い病にかかっているのではないかと心配しすぎる必要はありません。
そもそも頭痛とは心理的な原因で起こることも多いため、射精時の頭痛は本人とパートナーとの関係性に起因する可能性もあります。もし男性が頭痛に悩んでいたら、パートナーの女性もその原因を探ってみるといいかもしれません。
疲れているときにも頭痛が起こりやすいので、睡眠をよくとったり、体を休めることも有効な場合もありますよ。ただし、これまでに感じたことのない痛みであれば、早めに病院で診てもらいましょう。