妊活中のカップルにとっては、妊娠しやすい体づくりを目指したいですよね。妊娠のしやすさは女性の体だけでなく、男性の精子の質にも影響されます。そこで今回は、精子の質に悪影響を及ぼす生活習慣についてご紹介します。
精子の質とは?
妊娠には卵子と精子の受精が必要になるため、精子の質は妊娠の成功率を上げるためにも重要な要因になります。
精子は一度の射精で2億〜3億個もの数が排出されますが、卵子に近づく頃には数百個まで減少するといわれています(※1)。そのため、濃度や運動率も高いほうが質の良い精子だといえます。
精子の質は生活習慣と関係があるの?
女性が胎児期から卵巣の中に卵子のもとになる細胞を持っているのとは異なり、男性の精子は毎日精巣内で作られています。精巣の中にある精細管という部分に精子のもとになる細胞があり、ホルモンの指令によって成長していきます。
精子のもとになる細胞から精子になるまでには70日前後かかるといわれており、生活習慣の良し悪しはこの成長過程に影響を与えると考えられています。
精子の質は生活習慣の改善でよくなる?
生活習慣が影響するとはいえ、実際に精子の質が生活習慣の改善で良くなるかは、まだまだ不明な点も多いようです。
ただ、喫煙は男性の精子の変形や運動性の低下、精子の数が減少させる可能性があると考えられています(※2)。
また、肥満や飲酒量が多いことは、精子の質の低下を招くという研究結果もあります(※3)。
妊活中に限らず、健康的な生活をするうえでも、喫煙や肥満、飲みすぎには気をつけておくのがいいでしょう。
精子の質に悪影響を及ぼす生活習慣とは?
精子の質に悪影響を及ぼす生活習慣には、一般的に次のようなものが知られています。パートナーの妊娠を目指す男性としては、自身も生活習慣を変える努力をしていきましょう。
精巣を温める行為
精子は熱に弱いため、熱いお風呂やサウナに長時間入る、事務仕事で長時間座っている、ノートパソコンをひざ上にのせて仕事するなどの行為は避ける必要があります。陰嚢の温度を上昇させることは、精子に悪影響を及ぼすと考えられています。
陰嚢を圧迫する行為
陰嚢を圧迫すると温度が上がったり、血流が悪くなったりすることで、精子が劣化するといわれています。自転車やバイクに長時間乗りすぎない、ブリーフではなくトランクスをはくなどで精子の劣化を防ぎましょう。
長期間の禁欲
禁欲期間が長すぎると、精子運動率、正常形態精子数がともに低下すると実証されています。
3日以上禁欲して溜めても死滅精子(非運動精子)の数が増えてしまい、運動力のある精子の進行を妨げてしまうと考えられています。
栄養が偏った食事や過度な飲酒
肉類や甘味料が多く含まれた食品・高カロリー飲料・加工品などの過剰摂取や、過度の飲酒は精子の質が低下する可能性が高くなります。
喫煙
たばこに含まれている有害物質が血液に含まれることで、精子の数が減ったり運動率が低下するおそれがあります。
また、精子のDNA構造を傷つけてしまうため受精しづらくなる可能性や、受精卵の質が悪く流産しやすくなる可能性もあります。
肥満
BMI値が高くなるにつれて精液の状態は悪くなり、特に運動率の低下が著しいという報告もされています。
精子の質は見た目でわかるの?
射精時の精液の色や匂いが日によって違うと、「精子の数が減っていたりしないかな?」と感じる人も多いようです。ただ、精子は顕微鏡で見なければならないほど小さいので、数や運動率による違いはないとされています。
実際に、色や見た目が変わるのは、男性の体調や射精時のオーガズムによって、精液を構成している前立腺液と精嚢分泌液の混ざり方が違うためです。
不妊の疑いがあるときには、匂いや色ではなく、きちんと検査を受けて判断するようにしましょう。
精液検査では何がわかるの?
精子の質を判断するには、精液検査を受ける必要があります。精液は、基本的には男性自身が自宅や病院で精子を採取して、提出します。
精液検査では、精液中に血液や膿が混ざっていないか、色や精液の量、濃度、精子の数、運動率、奇形率などといった数値から質を確かめます。
検査結果によっては、妊娠を望む場合には、漢方薬やホルモン療法を取り入れながら、人工授精や体外受精といった不妊治療を検討することになります。
精液の質が悪いと、どうなるの?
精子の質が悪い、というのには、運動率が低いことや数が少ないこと、逆に多すぎて正常でないことが挙げられます。精子が原因となる男性不妊には、下記のような症状があります(※1)。
- ● 無精子症:精液の中に精子がない
- ● 乏精子症:精液の中の精子の数が少ない
- ● 精子無力症:精子の運動率が悪い
- ● 精子死滅症:精子がほとんど動いておらず、受精能力がない
- ● 奇形精子症:精液の中に奇形の精子が多い
生活習慣の改善で精子の質を高めよう
妊娠を目指しているのになかなか妊娠できない、というカップルは、女性だけでなく男性に原因があることも。生活習慣の改善は女性だけでなく男性も行う必要があります。
妊活は一人で行うのではなく、カップルで生活習慣を良くすることから始めてみましょう。