カンジダというカビの一種が感染することで発症する「鵞口瘡(がこうそう)」。あまり聞きなれない名前かもしれませんが、生まれてすぐの赤ちゃんがかかることもある病気として知られています。そこで今回は、鵞口瘡とはどんな病気なのか、原因や症状、治療法や予防法、感染したら何科の病院に連れて行けばいいのかなどを、ご紹介します。
鵞口瘡とは?新生児もかかるの?
鵞口瘡とは、カンジダが口のなかの粘膜に感染すると発症する病気で、新生児のおよそ2~5%がかかります(※1)。早いと、生後7~10日の赤ちゃんでもかかることがあります。
1歳以上の子供が感染することは少ないですが、病気の治療で抗菌薬を使っている場合は、5~6歳の子供でもかかることがあります(※1)。また、まれに免疫力が低下している大人が感染することもあります。
赤ちゃんが鵞口瘡を発症すると、舌や上顎、ほっぺの内側の粘膜などに、白いミルクのカスのようなものが現れます。このカスは、こすってもなかなか取れないのが特徴です。
鵞口瘡の原因は?ママからうつる?
鵞口瘡の原因となるカンジダは、年齢にかかわらず腸や腟で増殖する菌です。
そのため、出産時に産道を通るときに感染したり、カンジダの菌が付着したママの乳頭や手指などから感染したりするケースもあります(※1)。
また、喘息などの治療に使われる吸入ステロイド薬や、感染症の治療に使われる広域抗菌薬の副作用としても現れることがあります。これは、ステロイドでは免疫が低下するため、また抗菌薬は使用することでカンジダの感染力を抑えている菌が減ってしまい、カンジダが異常に増殖するためです。
鵞口瘡は免疫力が落ちている場合にもかかりやすく、抗菌薬を使っていないにもかかわらず、治療を行っても改善されない場合や、何度も再発する場合などは、免疫不全症の可能性もあるため、病院で検査を受けることをおすすめします(※1)。
鵞口瘡の症状は?
赤ちゃんが鵞口瘡に感染すると、口のなかが痛くなる、機嫌が悪くなる、ミルクを飲む量が減るなどの症状が現れます。
これらの症状が長く続くと、栄養が十分に摂取できず、栄養失調や脱水症状が引き起こされることもあります。
鵞口瘡の治療法は?薬で治る?
鵞口瘡の治療には、ナイスタチンという抗真菌薬の外用薬が使われることが多くあります。また、ナイスタチンを使っても長引いていたり、再発したりする場合は、フルコナゾールという抗真菌薬を1回だけ服用することもあります(※1)。
また、母乳育児の場合は、赤ちゃんだけでなく、ママもナイスタチンやフルコナゾールでの治療が必要になる場合があります。薬を使って治療を行うと、1週間ほどで治ることが多いようです。
ミルクをしっかり飲めているなど症状が軽い場合は、薬での治療を行わず、自然治癒させることもあります。
鵞口瘡の予防法は?
上述したように、鵞口瘡の原因となるカンジダは出産時に感染することもありますが、普段の生活で感染することもあります。
赤ちゃんのカンジダ感染を予防するためには、授乳前に乳頭を消毒綿などで消毒する、哺乳瓶やおしゃぶりなどを消毒する、手をこまめに洗うなどの方法が有効です。
また、カンジダ菌は抗菌薬の副作用としても現れることがあるので、他の病気の治療で抗菌薬を処方された際は、事前に医師に相談しておくと安心です。
鵞口瘡になったら何科に連れて行く?
鵞口瘡は主に赤ちゃんが発症する病気です。
そのため、赤ちゃんの口のなかに取れにくいミルクカスのようなものが付いていたり、ミルクを飲むのを嫌がったりするようなら、小児科の病院に連れて行きましょう。
鵞口瘡だと保育園に行けない?
鵞口瘡は、特に登園規定が設けられていないため、感染していても基本的には保育園に行くことができます(※2)。
ただし、機嫌が悪かったり、痛がってミルクや食事が摂れなかったりする場合は、赤ちゃんを安心させる意味でも、自宅でケアしてあげることをおすすめします。
鵞口瘡が赤ちゃんに出たら早めに小児科へ
鵞口瘡の原因となるカンジダは、ママから赤ちゃんに感染することもある真菌です。
しかしカンジダは誰の体内にでも存在しうる菌ですし、鵞口瘡を発症しても重症化するケースはそこまで多くありません。もし赤ちゃんに鵞口瘡のような症状が見られたときは、自分を責めるのではなく、できるだけ早く小児科の病院を受診し、少しでも早く治してあげてください。
また、感染しないように、授乳期であれば、ママの乳頭や手指、哺乳瓶などを清潔にしておくことも大切ですよ。