子宮の大きさ・重さの平均は?妊娠中や産後はどうなるの?

監修専門家 助産師 鶴町 はるな
鶴町 はるな 茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、クリニックでのフリースタイル分娩や無痛分娩にも携わってきました。現在は産後ケアや母乳外来を中心に活動しています... 監修記事一覧へ

子宮は、女性の体のなかでも特に大切な臓器で、妊娠や出産と深く関係しています。婦人科検診などで「子宮が少し大きくなっていますね」などと言われると、何か異常があるのか、平均的な大きさはどのくらいなのか気になるのではないでしょうか。そこで今回は、子宮の役割や大きさ、妊娠・出産、病気による変化などについてご説明します。

子宮の大きさと仕組みは?

子宮 正面 横

子宮は、西洋梨を逆さにしたような形をしていて、ニワトリの卵ほどの大きさです。膀胱と直腸のあいだに位置しています。

平滑筋という筋肉でできていて、内側は子宮内膜で覆われています。

普段は、子宮の縦の長さは7cmほどで、重さは約60~70gですが、妊娠してお腹の赤ちゃんが大きくなるにつれて、子宮も大きく、重くなっていきます(※1,2)。

子宮の役割とは?

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子宮の主な役割は、「妊娠に備えた環境をつくること」と、「赤ちゃんを守り、育てること」の2つです。それぞれ具体的に見ていきましょう。

妊娠に備えた環境をつくる

子宮の内側を覆う子宮内膜は、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という2つの女性ホルモンの作用によって増殖し、厚くなります。

子宮内膜は「受精卵のベッド」のような役割で、厚さを維持することで受精卵が着床しやすいように準備をしています。受精卵が無事に着床すると、妊娠が成立します。

妊娠しなかった場合、不要となった子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に体外に排出されます。これが毎月の「月経(生理)」です。

赤ちゃんを守り、育てる

受精卵が子宮内膜に着床すると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が続き、妊娠が継続されます。

順調に行くと、受精卵は成長して胎芽、そして胎児となり、さまざまな器官が作られていきます。出産までの約10ヶ月間、赤ちゃんは子宮のなかで少しずつ成長していきます。

子宮のなかは羊水で満たされており、この羊水が赤ちゃんを守ります。また、妊娠7週くらいから子宮内に胎盤が作られはじめ、胎盤を通じて赤ちゃんに酸素や栄養が送られます。

やがてお産のときがくると、赤ちゃんを産み出すために子宮が収縮します。このときの痛みが「陣痛」です。

妊娠中の子宮の大きさ・重さは?

インフォグラフィック 子宮底長 恥骨結合

先述のとおり、普段の子宮の大きさは縦に約7cm(ニワトリの卵くらい)、重さは約60~70g。子宮の容量は10mlほどしかありません(※1,2)。

妊娠すると、赤ちゃんの成長とともに子宮も大きくなり、安定期(妊娠5ヶ月)に入る頃には子供の頭と同じくらいの大きさになります。

妊娠後期には、子宮の大きさは約36cm、赤ちゃんを除いた重さは約1,000gにまで変化し、容量は約5lに達します(※1)。

妊娠中に行う妊婦健診では「子宮底長」(恥骨の上から子宮の一番上までの長さ)を測ることもありますが、これが「子宮の大きさ」です。

そのほか、子宮の位置が右方向に傾いたり、胎盤の血液量が増えたりと、子宮には妊娠によって様々な変化が現れます。

産後、子宮の大きさは戻るの?

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妊娠によって大きくなった子宮は、産後に強く収縮し、元の状態に戻ろうとします。これを「子宮復古」といいます。子宮復古は、産後約2~3日間続く「後陣痛」や、赤ちゃんに母乳をあげることなどで進みます。

子宮復古をとおして、子宮は産後1週間で出産時の半分ほどの大きさ(約500g)になり、そのあと5週間ほどかけて妊娠前の大きさに戻っていきます(※1)。

子宮の大きさが元に戻っても、妊娠によって伸びたお腹の皮膚や筋肉はしばらくそのままなので、お腹がたるみやすくなっています。産後の体型が気になるときには、出産して2ヶ月くらい経ってから、骨盤矯正やお腹周りの筋肉をつける運動を始めましょう。

子宮の大きさで病気がわかる?

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妊娠しているわけではないのに子宮が大きくなっている場合、「子宮腺筋症」や「子宮筋腫」など婦人科系の病気が隠れている可能性もあります。できるだけ早く病気を発見するためにも、定期的に婦人科検診を受けてくださいね。

子宮腺筋症

すでに妊娠を経験している30代後半~40代の女性に多く見られる病気です(※2)。何らかの原因により、子宮内膜に似た組織が子宮筋層に入りこみ、炎症を起こすことで子宮が大きく腫れあがります。

子宮腺筋症の特徴として、生理がくるたびに生理痛がひどくなったり、生理の出血量が増えたり、生理期間が長引いたりするという症状が見られます。

子宮筋腫

婦人科系の病気のなかで最も多く起こり、30~40代の女性によく見られる病気です(※2)。子宮筋層にできる良性の筋腫で、原因としてエストロゲンの分泌が関係していると考えられています。

悪性化してガンになることはまれですが、生理の経血量が増えたり不正出血があったりすることで、貧血を引き起こすこともあります。

また、不妊につながる恐れもあるので、妊娠を希望する場合は早めの治療が必要です。

子宮の大きさは妊娠や病気によって変わる

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女性にとって、妊娠・出産で大きな役割を果たす子宮は、特に大切な器官のひとつです。外から見えるものではないので、普段は子宮の大きさを意識することは少ないかもしれませんが、定期的に婦人科検診を受けてチェックしたいですね。

また、子宮とつながっている卵巣も、排卵などの重要な役割を担っています。卵巣の大きさや状態についても、検診で診てもらうと安心ですよ。

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