下痢や嘔吐など、感染するとさまざまな症状を引き起こすロタウイルス。その症状の一つに「発熱」があります。下痢や嘔吐などの症状だけでも大変なのに、高熱まで出たら本人もつらいですよね。そこで今回は、ロタウイルスに感染することでどれくらいの高熱が出るのか、高熱が下がらないときに座薬を使ってもいいのかなどをご紹介します。
ロタウイルスとは?発熱するの?
ロタウイルスは3~4月の春のシーズンに流行のピークを迎えるウイルスで、感染すると急性胃腸炎を引き起こします(※1)。
症状は?
ロタウイルスに感染すると、嘔吐、水っぽい下痢、発熱などの症状が現れます。感染者の便は、白色や、黄色っぽい白色になることがあります(※2)。
乳幼児が初めてロタウイルスに感染したときには、特に強い症状が出ることが多く、脱水症状になることもあります。けいれんや肝機能異常、重症化するとまれに急性腎不全、脳症、心筋炎といった合併症を引き起こし、可能性は低いものの、死に至ることもあるので注意が必要です。
一方、感染するたびに現れる症状が弱くなるという特徴もあるため、大人が感染しても目立った症状が出ないまま終わることが多いと考えられています。
感染しやすい年齢は?
ロタウイルスに感染することで発症する急性胃腸炎の患者は、0~6歳の子供が多く、5歳までにはほとんどの子供がロタウイルスに感染するとされています(※3)。
ロタウイルスによる全国の年間入院患者数は、推計26,500~78,000人で、その70~80%は2歳以下というデータもあります(※4)。
感染力は?
ロタウイルスの感染力は非常に強く、感染している子供と接触した大人のうち、30~50%の人が感染すると考えられているほどです(※4)。
ロタウイルスの感染は、感染者の便と一緒に排泄されたウイルスが口から入って感染する、経口感染によって広がります。
ロタウイルスに感染している人の便には、1gあたり1,000億から1兆個のウイルスが含まれています(※3)。保育園や学校、老人福祉施設などの集団生活の場で、トイレの後に手を洗わずにドアノブに触ることなどで、急激に感染が拡大することがあります。
ロタウイルスで高熱が出ることもある?
ロタウイルスに感染し、急性胃腸炎を発症すると、下痢などの症状に先駆けて、発熱と嘔吐が現れます。
発熱は、ロタウイルスの感染者の82%で見られ、感染した子供のうち、およそ3人に1人が39度以上の高熱を出します(※1,4)。
ロタウイルスで熱が下がらないときは座薬を使ってもいい?
ロタウイルスによる発熱は、発症から2日間のうちに治まることがほとんどです(※5)。
しかし、他の病気などの影響で免疫力や体力が低下している子供が感染した場合、まれに長期間にわたって症状が続くことがあります。
一般的に38.5度以上の発熱が見られ、熱により本人がつらそうにしている場合には、解熱剤の座薬を使用してもいいとされています。しかしロタウイルスに感染すると、下痢の症状が5~7日程度続くため、座薬を入れても便と一緒に排泄される可能性が高く、適切な効果が見込めません(※5)。
そもそも熱が出ることは、ウイルスの増殖を抑えるための体の防衛機能なので、熱を下げること自体がよくないという見方もあります。
ただし、子供が高熱で眠れなかったり、不機嫌で水分も摂れなかったりするようなときは、脱水症状などになる恐れがあります。そのような場合や、高熱が下がらずに3日以上続くときには、病院を受診し、医師に相談することをおすすめします。
ロタウイルスの高熱が3日以上続くようなら医師に相談を
嘔吐や下痢の症状だけでも大変なロタウイルス。さらに高熱まで出たら、子供本人は当然ですが、看病するママ・パパも大変ですよね。
ロタウイルスの熱は基本的には発症から2日間のうちに治まることがほとんどなので、もし子供の熱が3日、4日と下がらないで続くようなら、それは合併症や他のウイルス・細菌感染などのサインかもしれません。
そんなときに頼りたくなるのが熱を下げる座薬ですが、ロタウイルスは下痢が続くことが多く、便と一緒に排泄されてしまい、意味をなしません。
子供が熱でつらそうなときは、家にある座薬を使用するのではなく、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。合併症にかかっているかどうかも併せて聞いてみると、ママ・パパも安心できるのではないでしょうか。