子供が急に下痢になって発熱すると、不安になってしまいますよね。ただの風邪であれば、様子を見ていると自然と治まることもありますが、症状がひどくなったときは、原因を見分け、適切に対処してあげたいところ。今回は、多くのママやパパが悩む発熱を伴なう下痢の原因と対処法についてご紹介します。
子供が下痢や発熱を起こす仕組みは?
下痢は、腸の水分調整機能がうまくいかないときに起こります。私たちが食べた物は通常、腸で水分が吸収され、ほどよい水分を含んだ状態で排出されます。
しかし、なんらかの原因で水分量を調整する腸の機能がおかしくなると、水分を多く含んだまま便が排出され、下痢になります。
一方発熱は、視床下部の指令によって皮膚の血管が収縮したり、筋肉が震えたりすることで起こります。発熱すると、白血球の働きが活発になったり病原菌の増殖が抑えられたりするとされており、発熱は体を守る大切な機能です。
子供が下痢になって熱が出る原因は?対処法は?
子供が発熱を伴う下痢を起こしたら、ウイルスや細菌に感染している可能性が考えられます。落ち着いて対処し、原因究明のためにも、医師に診てもらうようにしましょう。
ウイルス性胃腸炎
ウイルス性胃腸炎とは、ウイルス感染によって、胃や腸に炎症を起こす病気のことです。原因となるウイルスのなかでも代表的なものがノロウイルス・ロタウイルスで、秋〜冬に感染することが多い病気です。ロタウイルスは乳児でよく見られ、また感染力が強く、家族内で感染が広がることがあります。
ウイルス性胃腸炎になると、白っぽい下痢便や黄色っぽい下痢便が出て、嘔吐するのが特徴的な症状です。1~2日、発熱を伴うこともあります。
ウイルス性胃腸炎に効く特別な薬はなく、症状を軽減させる対症療法を行うのが一般的です。ウイルス性胃腸炎による下痢と嘔吐が原因で、子供が脱水症状に陥ることがあるので、こまめに少しずつ水分と塩分を与えてあげてください。
ウイルス性胃腸炎は、子供の便や嘔吐物を介して他の人に感染が広がる可能性があるので、子供の便や嘔吐物を処理した際は石鹸で手を洗うように心がけましょう。
胃腸炎の症状を引き起こすウイルス性感染症としては、以下の病気があります。
ノロウイルス感染症
ノロウイルスに汚染された食べ物やノロウイルスに感染した人から出た飛沫などを介して感染し、下痢や嘔吐、腹痛のほか、頭痛や熱微熱が出ることもあります。
治療をしなくても、通常は2~3日で解熱することが多いものの、脱水にならないよう注意してください症状が軽くなります(※1)。
ロタウイルス感染症
ノロウイルスと同様、ウイルスに汚染された食べ物や感染者の飛沫に含まれるウイルスを体内に取り込むことで感染します。
子供の下痢が重症化する原因の多くはロタウイルスとされています。生後3~35ヶ月の子供が特に重症化しやすく、下痢と発熱、嘔吐が伴って脱水になることもあります(※2)。
アデノウイルス感染症
アデノウイルスはいくつもの血清型があるため、一度かかっても免疫ができず何度も感染します(※3)。発熱や下痢の他にも、咳、鼻水、結膜炎、嘔吐、腹痛など、様々な症状が現れることがあります。
インフルエンザ
インフルエンザの特徴は38度以上の高熱が出ることですが、嘔吐や下痢を伴うこともあります(※4)。その他、頭痛や咳、喉の痛み、鼻水、筋肉痛、関節痛などの症状が現れることも多くあります。
細菌性胃腸炎
細菌性胃腸炎とは、細菌感染によって、胃や腸に炎症を起こす病気のことです。原因となる細菌には、カンピロバクター菌やサルモネラ菌、ブドウ球菌などがあります。
細菌性胃腸炎の主な症状としては下痢や発熱、頭痛、嘔吐があり、血便が出ることもあります。細菌性胃腸炎の症状は、腸の一部が腸の中に潜り込んでしまう病気である「腸重積」の症状と似ており、判別が難しいことがあります。
そんなときは医師に診てもらう際に、下痢便がついたおむつや下痢便を撮影した写真を見せると、症状を引き起こしている原因を特定しやすくなります。
細菌性胃腸炎の治療は、抗生物質を整腸剤と合わせて内服します。症状がひどいと、入院が必要になることもあるので注意が必要です。
子供が下痢になって発熱したら病院を受診しよう
子供が発熱を伴なう下痢を起こしたら、病気が原因で起こっている可能性があるので、病院を受診するようにしましょう。もし下痢と発熱以外に「元気がなく顔色が悪い」「苦しそうにしており呼吸が速い」といった症状が出ているのなら、小児救急(♯8000)に相談し、必要であれば診察時間外でも医師に診てもらいましょう。
迅速に対処して、子供が早く元気になるのをサポートしてあげてください。