下痢や嘔吐を引き起こす感染症として、ロタウイルス感染症があります。ロタウイルスは感染力が強く、かかってしまうと、周りの子供や大人に感染をうつしてしまう恐れがあります。それでは、ロタウイルスに感染したら、どう対処すればいいのでしょうか?今回はロタウイルスの潜伏期間や感染経路、感染したときの症状や治療法などについてご紹介します。
ロタウイルスとは?
ロタウイルスとは、感染すると胃腸炎を引き起こすウイルスです。冬から春にかけて流行する傾向にあり、ほとんどの子供が5歳までに感染するといわれます(※1)。
ロタウイルスに感染すると、合併症としてけいれんや脳炎などを起こすことがあるので、感染しないように予防することが大切です。
ロタウイルスの潜伏期間は?どんな症状が現れる?
ロタウイルスに感染すると、2~4日程度の潜伏期間を経た後に、下痢や嘔吐が続きます(※1)。場合によっては、発熱を伴うことも。
下痢は米のとぎ汁のような白色の水様便で、何度も繰り返します。そのような状態が続くと、お尻がただれたり、脱水症状になったりします。
また、けいれんや脳炎といった合併症を起こす可能性もあり、最悪の場合、命に危険が及んでしまいます。
ロタウイルスの感染経路は?
ロタウイルスは、主に感染者の下痢便に含まれたウイルスで二次感染を起こします。感染者の便を処理をした後に手を洗っても、数十億個のウイルスが残っていることもあり、ロタウイルスがついた手などを介して感染が広がります(※1)。
ロタウイルスは感染力が強いため、保育園や幼稚園など集団生活の場で1人でも感染者が出れば、大流行する恐れがあります。
ロタウイルス感染症の診断方法は?
ロタウイルス感染症の診断は、一般的に便の検査によって行われます。5~10分程度という短い時間で結果が判明するというメリットがある一方で、ロタウイルスに感染していても、陽性の結果が出ないことがあるというデメリットがあります(※2)。
ロタウイルス感染症の治療法は?
ロタウイルスの特効薬はないため、感染したら、脱水症状にならないように水分補給をしっかり行いながら、安静にします。下痢で電解質を失っているので、与える水分は塩分や糖分などの電解質を含んだものが理想です。現時点ではOS-1などの経口補水液がおすすめです。
一度にたくさん飲ませると嘔吐を起こすことがあるので、少しずつ水分を与えるようにしてください。嘔吐がひどく水分補給ができないときは、医療機関で点滴を行います。
下痢がひどいと、下痢止めの薬を飲ませたくなるかもしれませんが、薬で下痢を止めてしまうと、ウイルスが体から排出されず症状が長引くことがあります。自己判断で飲ませず、必ず医師に相談するようにしましょう。
合併症を起こさなければ、嘔吐は1~2日、下痢は1週間ほどで治まります(※3)。
ロタウイルスに感染!保育園や幼稚園はいつから?
厚生労働省が定める「保育所における感染症対策ガイドライン」では、ロタウイルスに感染した場合の保育園や幼稚園への登園について、明確な日数が指定されていません。ただ、ウイルスは下痢が安定するまでは多く排泄されており、二次感染を起こすリスクがあります。
登園の目安としては「嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること」と記載されており、登園日については医師と相談したうえで決めましょう(※4)。
ただし、保育園や幼稚園のなかには、独自の規定を設けているところがあります。園によっては、医師の診断にしたがい保護者が登園届に記入して、提出しなければならないことがあるので、事前に園の方針を確認しておきましょう。
ロタウイルス感染症の予防法は?
ロタウイルスは、ワクチン接種を受けておくことで症状を軽減し、また脳炎など重症な合併症を予防することができます。
2020年8月以降に生まれた赤ちゃんは、ロタウイルスの予防接種を定期接種として受けられるようになりました。
2020年7月31日までに生まれた赤ちゃんは任意接種ですが、自治体によっては助成金を出してくれることもあるので、住んでいる自治体のHPなどで確認してみましょう。
また、ロタウイルスに感染した子供のお世話をしているなかで、大人にも感染することがあるので、感染が広がらないようにする心がけも必要です。
感染した子供のオムツは使い捨てのゴム手袋をつけて交換し、汚れたオムツはポリ袋に入れて捨てます。服に下痢便や嘔吐物が付着したときは、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤)でつけ置き消毒したうえで、個別に洗濯しましょう(※1)。
ロタウイルスに感染したら水分補給をしっかり
ロタウイルスに感染し、下痢や嘔吐に悩まされている子供を見ると、動揺してしまうかもしれませんが、落ち着いて対処しましょう。脱水症状を起こさないように、しっかり水分補給を行ってあげることが大切です。
しかし、いくら注意していても、脱水症状になってしまうことがあります。「半日以上おしっこが出ていない」「唇がかなり乾燥している」「顔色や活気が悪い」などの脱水症状が見られるときは、すぐに医師に診てもらいましょう。