赤ちゃん・新生児の中耳炎!症状は?1歳でも薬や手術が必要なの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

風邪をこじらせて中耳炎を発症する新生児・赤ちゃんが多くいます。ただ、新生児・赤ちゃんは喋ることができないので、中耳炎の症状を訴えることができず、ママ・パパはなかなか気づいてあげることができません。できるだけ早く発見して対処できるよう、今回は新生児・赤ちゃんの中耳炎について、原因と症状、薬や手術による治療が必要なのか、予防法などをご紹介します。

そもそも中耳炎とは?どんな症状が出る?

赤ちゃん 耳 寝る

中耳炎とは、細菌やウイルスが中耳に侵入し、炎症を起こしている状態のことです。耳の構造には外耳、中耳、内耳という3つの部分があり、中耳は鼓室という空気で満たされた空間と鼓膜でできています。

中耳炎には、主に急性中耳炎と滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)の2種類があります。急性中耳炎は、風邪によって起きることが多く、短期間で治る傾向にあります。

多くの場合、滲出性中耳炎は、急性中耳炎が十分に治らず、鼓膜の内側に滲出液という液体が溜まって起こります。

滲出性中耳炎の症状は耳が痛い、発熱といったものではなく、聴力が低下したり、耳が詰まった感じがしたりという症状のため、かかったことに気づきにくいという特徴があります。

特に赤ちゃん・新生児は自身がその症状を訴えることができないので、早期発見が難しい病気です。また、なかなか治りにくく、ときには治療に数年を要することもあります。

赤ちゃん・新生児が中耳炎になる原因は?1歳でなりやすい?

赤ちゃん 耳

中耳炎は大人もかかるものの、特に赤ちゃんや新生児で発症することが多い病気です。3歳までに80%以上の子供がかかり、最も発症率が高いのは生後6~20ヶ月の赤ちゃんです(※1)。

赤ちゃんや新生児が中耳炎になりやすい原因は主に2つあります。一つは耳の構造です。赤ちゃんや新生児は耳と鼻をつなぐ管が大人より短く、水平に近い構造になっているため、中耳にウイルスや菌が入りやすいのです。

もう一つの原因は免疫力です。赤ちゃんや新生児は免疫力が低いので、風邪をこじらせやすく、中耳炎になりやすくなっています。生まれた直後はまだ母親から受け継いだ免疫力が効いて病気にかかりにくいものの、特に生後6ヶ月頃にはその効力も切れて、風邪などを引きやすくなります。

赤ちゃん・新生児の中耳炎を見分ける方法は?

赤ちゃん 泣く 生後3ヶ月

急性中耳炎にかかった場合、耳が痛い、発熱する、耳だれが出るといった症状が現れます。滲出性中耳炎の場合は、難聴や耳の閉塞感といった症状が現れます。

しかし、赤ちゃんや新生児はしゃべれないので、「耳の奥が痛い」「物音が聞こえにくくなった」とママ・パパに伝えることができず、中耳炎にかかったのかを判断するのが困難です。

発熱や耳だれといった分かりやすい症状が出なくても、鼻水や咳があり泣き止まない、耳を引っ張る、耳をいじるなどの行動があれば、中耳炎の可能性を疑いましょう。

風邪が治まってきたのに、おむつを替えても、授乳をしても、しっかり睡眠をとってもずっとグズって泣き続けているときは要注意です。

赤ちゃん・新生児の中耳炎はどうやって診断するの?

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中耳炎の診断は、基本的に問診と視診で行われます。赤ちゃん・新生児の様子を具体的に医師に伝えられるよう、どんな症状が出ているかメモをしておきましょう。

視診は、耳鏡という器具で耳の中を見て鼓膜の状態を確認し、鼓膜が赤くなっていないか、水が溜まっていないか、耳漏が無いかどうかなどをチェックします。

鼓膜の状態は耳の中に空気を送り、それによって鼓膜が動くかどうかによって判断することがあります。もし鼓膜の動きがない、もしくはほとんどないと、中耳炎の感染が疑われます(※1)。

赤ちゃん・新生児の中耳炎の治療法は?1歳でも薬や手術が必要なの?

女の子 治療 耳

急性中耳炎・滲出性中耳炎の治療は、基本的に薬を使って行われます。症状が軽い場合、医師が処方した解熱鎮痛薬だけで治ることが多いですが、そうではないときには抗生物質の内服で治療が行われます。

抗生物質は新生児から1歳くらいまでの赤ちゃんにも使用可能ですが、年齢や体重によって、用量や投与回数が変わってきます(※1)。

このほかにも、滲出性中耳炎の治療には、鼓膜切開術とチューブ留置術という手術療法があります。

鼓膜切開術は、文字通り赤ちゃん・新生児の鼓膜を切開して、中耳に溜まっている膿や液体を取り出す方法のことです。切開した鼓膜は再生するので、手術後に音が聴こえなくなるということはありません。

チューブ留置術は、鼓膜の内側に溜まった液体を出すために、鼓膜切開をして換気チューブをはめ込み、中耳内の空気の出入りを作り出します。チューブは数ヶ月以上そのままにし、経過観察を行います。

どのような治療を行うかは赤ちゃんの月齢や症状によって医師が判断しますが、医師の指示に最後まで従うようにしましょう。

治療を始めて、症状が軽くなってきたからといって、医師に指示されたことを中断してしまうと、中耳炎がなかなか治らなかったり、急性中耳炎が滲出性中耳炎になったりする恐れがあります。

新生児は中耳炎で入院することもある?

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前述の治療を行ってもなかなか中耳炎が治らないことがあり、入院することになる赤ちゃんもいます。特に新生児は、中耳炎の有無に関わらず、発熱をしていたら入院するべきと考えている医師・病院が多いようです。

新生児の入院の場合、ママが一緒に入院することもできます。入院中は、抗生物質の点滴や、それと並行して前述の治療も一緒に行われることがあります。入院期間は症状や治療の効き具合などによって変わります。

赤ちゃん・新生児の中耳炎の予防法は?

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中耳炎は風邪を引いたときに起きやすいので、風邪を予防することが大切です。赤ちゃん・新生児は体温調節が難しいため、エアコンによる室内の温度調整や着ているものには常に注意を払ってくださいね。

風邪の症状があれば、小児科・耳鼻科を受診しましょう。そして、風邪を引いてしまっていたら、赤ちゃん・新生児の鼻水をこまめに吸ってあげることが中耳炎予防の一つになります。

鼻水吸引器を使うのも効果的ですが、何度も繰り返すと赤ちゃん・新生児のストレスになるので、1日3〜4回くらいがよいでしょう。

また、哺乳瓶を使って授乳するとき、赤ちゃんや新生児が水平になる体勢で飲ませてしまうと、ミルクが細菌と一緒に耳管を通して中耳に入って、急性中耳炎を起こすことがあります。

おっぱいをあげるときのように、なるべく頭を起こした体勢で哺乳瓶のミルクもあげるようにしてください。

赤ちゃん・新生児の中耳炎は風邪予防から

親子 ママ 赤ちゃん ベッド

急性中耳炎がなかなか治らず、滲出性中耳炎に移行すると、赤ちゃん・新生児の耳の聞こえが悪くなることがあります。赤ちゃん・新生児の健康のためにも、まずは風邪予防をしましょう。

もし風邪を引いてしまったら、すぐに小児科か耳鼻科を受診して中耳炎を予防してあげてくださいね。

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