インフルエンザに解熱剤は効くの?効果や注意点は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

毎年冬に流行を繰り返すインフルエンザは、高熱が出る病気です。高熱に伴い頭痛や全身のだるさなどもあらわれるので、子供がかかるとママやパパも心配ですよね。今回は、子供がインフルエンザになったとき、解熱剤を使えるのか、どんな効果があるのかについてご紹介します。

インフルエンザの症状は?

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インフルエンザは冬を中心に流行する病気です。インフルエンザウイルスが感染することで発症します。

インフルエンザウイルスにはさまざまな種類があるうえに、ウイルスが変異するため、生涯のうちに何度もかかってしまいます。

インフルエンザウイルスに感染すると、1~3日間ほどの潜伏期間を経て、38度以上の発熱が突然あらわれます(※1)。そのほかにも、頭痛や全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛、咳、鼻水など、さまざまな症状がみられます。

インフルエンザは、子供から高齢者まで年齢を問わずかかる病気ですが、特に子供の場合は、中耳炎を合併したり、熱性けいれんや気管支喘息を誘発したりしてしまうことがあります。

インフルエンザの合併症で特に怖いのが、インフルエンザ脳症です。熱性けいれんとは異なる、15分以上続くけいれんや、意識障害、嘔吐などが見られた場合には、インフルエンザ脳症の疑いがあります(※2)。

毎年50~200人がインフルエンザ脳症になり、約10~30%が死亡しているとされており、特に乳幼児は注意が必要です(※1)。

インフルエンザに解熱剤は効く?効かない?

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インフルエンザは、発症すると高熱がみられます。特に子供や高齢者は、高熱が続くと体力が奪われ、回復が遅れてしまうこともあります。

インフルエンザの発熱に対して解熱剤を使用すると、熱を一時的に下げ、体力が回復する場合もあります。解熱剤には飲み薬や座薬などがあり、医師から処方される薬だけでなく、市販の薬もあります。

ただし、インフルエンザで熱が上がっている最中に解熱剤を使用しても、熱が下がらないことがあります。インフルエンザウイルスが増殖することに対して体が反応して熱が上昇するため、ウイルスが増殖している間は、薬の解熱効果が打ち消されてしまうからです。

このように、インフルエンザへの解熱剤はいつでも効くわけではなく、効果があるときと、無いときがあります。

インフルエンザへの解熱剤は子供に使える?市販薬も効果がある?

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一般に、子供に使える解熱剤は、成分や量が大人用の解熱剤とは異なります。

子供に使える解熱剤のうち、インフルエンザのときに使える薬もあります。ただし、インフルエンザのときには使ってはいけない解熱剤もあるので、注意が必要です。

市販の解熱剤で使用可能な薬もありますが、成分が確実に安全とわかっていない限りは、使わないようにしましょう。

子供のインフルエンザにはどの解熱剤が使用でき、どの解熱剤が使用できないかについて、このあと詳しくご説明していきます。

子供のインフルエンザに解熱剤のアセトアミノフェンは使える?

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子供がインフルエンザにかかった際に使う解熱剤として推奨されているのは、「アセトアミノフェン」という成分を含んだものです(※3)。

アセトアミノフェンは安全性が高く、副作用もほとんどないとされています。

アセトアミノフェンを主成分とする市販の解熱剤には、「カロナール」、「小児用バファリン」、「小中学生用ノーシンピュア」などがあります。

子供のインフルエンザに解熱剤のイブプロフェンは使える?

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欧米では、非ステロイド系消炎剤のイブプロフェンという成分を含んだ解熱剤が、インフルエンザにかかった子供によく使われています。

ただし日本においては、「非ステロイド系消炎剤がインフルエンザ脳症の合併に関わっている可能性があるため、子供への使用は控えた方がいい」とされています(※3)。

インフルエンザの子供に使ってはいけないとされる解熱剤は?

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インフルエンザの子供に対し、使ってはいけないとされる解熱剤があります。

次の成分には、注意が必要です。

● アスピリン
● ジクロフェナクナトリウム
● メフェナム酸

これらの成分を含んだ解熱剤を子供に使用すると、けいれんなどの中枢神経の症状が発症しやすくなる可能性があります。

上記の成分が含まれた解熱剤が家にあっても、インフルエンザの子供には決して使用しないようにしてください(※1,3)。

インフルエンザにかかったとき、解熱剤は慎重に使用しましょう

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インフルエンザで高熱になったときは、十分に休養や水分をとること、熱が上がっている最中には体を温め、熱が上がり切ったら首の後ろやわきの下を冷やすことなど、基本的な対処が大切です。

しかし高熱が出ると、解熱剤を使って熱を下げたい気持ちが生まれるのは当然のことです。もし高熱により、水分や睡眠をとれないほどつらい状態であれば、解熱剤を使って熱を一時的に下げた方がいいでしょう。

ただし、インフルエンザの子供には使ってはいけない解熱剤があります。別の風邪で処方してもらった解熱剤を使ったり、成分をよく調べずに市販の解熱剤を使ったりするのは避けてくださいね。

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