子供が成長する過程で起こりやすい「成長痛」。子供の頃になった覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。成長に伴う現象として軽く見られがちですが、成長痛には様々な特徴があり、「成長痛かと思っていたら病気が隠れていた」ということも。そこで今回は、成長痛について、痛みの特徴や症状、原因、対処法などをご紹介します。
成長痛とは?膝以外の場所にも現れる?
成長痛とは、成長期の子供に起こる足の痛みのうち、炎症などが見られないものを指します。成長痛は、足が急激に成長する4~8歳を発症のピークに、子供の10~20%に起こります(※1)。
痛みは主に、太ももの前側や膝の後ろ、ふくらはぎの筋肉に生じます。片側だけでなく、両方の足に同時に起こることもあります。
子供の成長痛の症状の特徴は?
成長痛の痛みは、夕方や夜間に現れるのが特徴です。寝ているときに痛くなり、夜中に泣き出すこともあります。
しかし痛みは30~60分しか続かず、夜中に起きてもしばらくするとまた寝てしまい、翌朝は痛みを全く感じず元気にしていることもよくあります。歩行や運動も普通に行えます。
痛みは月に1~3回程度起こり、それが1~2年間続くことも多くあります(※2)。また、足の痛みの他に、頭痛や腹痛などを感じることがあります。
成長痛の原因は?
成長痛の原因は、はっきりと分かっていませんが、下記のようなものが考えられます。
骨が成長することによる痛み
急激に身長が伸びる成長期には、その分、骨も急激に成長します。そのとき、骨を覆う「骨膜」という組織が伸ばされて、痛みを感じることがあります。
足の使いすぎ
成長痛は、全身の関節が緩い(関節弛緩性が高い)子供に多く見られます。その場合、運動などで足を使いすぎることが負担になって、痛みが生じていることがあります。
疲労
足の疲労感を言葉にできない子供が、「足が痛い」と言っている可能性もあります。
ストレス
子供は自分のストレスに気づきにくく、気持ちを言葉で上手に表せません。成長痛を訴える子供の様子がいつもと違ったら、心が不安定になっているかもしれません。
ストレスが溜まっていないか、寂しがっていないかなど、子供の心も気にかけてあげましょう。
成長痛は病院を受診した方がいいの?
成長痛自体は重篤な病気ではありませんが、歩けないほど痛かったり、痛みが続いたりする場合は、関節炎、骨髄炎、ペルテス病など、成長痛に似たような症状の病気の可能性もあります。成長痛と他の病気を自分で見分けることは難しいので、子供が痛みを訴えていたら、まず病院を受診しましょう。
成長痛の疑いで病院を受診すると、他の病気が隠れていないかを調べるための検査を受けることができます。基本的にはまず問診で、痛みの頻度や持続性を確かめます。その後必要に応じて、X線検査やMRIを行い、骨の様子を見ます。
成長痛の対処法は?治し方はある?
成長痛はほとんどが一過性のもので、自然に治ります。しかし、痛みを放置しておくのはつらいもの。下記のような対処法で、痛みを緩和してあげられるといいですね。
マッサージをする
痛みを感じている部分を、優しくさすったり、揉んだりしてあげましょう。ママの手の温もりを感じられるだけでも安心できそうですね。
あたためる
痛い部分をあたためるのも効果的です。熱くなりすぎないように、タオルでくるんだ湯たんぽや、蒸しタオルなどを使って、優しくあたためましょう。
抱っこする
痛みが強いときは、ママやパパが抱っこをし、なだめてあげるのもいいでしょう。気持ちが落ち着くと、いつの間にか痛みも忘れているかもしれません。
眠りやすい環境を整える
子供が夜や夜中に痛みを訴えるときは、ぐっすりと眠れるように環境を整えてあげるのもいいですね。寝心地が良い布団を用意する、室温を整えるなどの工夫をしてみましょう。
鎮痛剤を服用する
あまりにも痛みがひどいときは、鎮痛剤を服用することもあります。ただし、自己判断で飲ませるのはおすすめできません。医師の処方に従って飲ませるようにしてくださいね。
心理カウンセリングを受ける
成長痛がなかなか改善しないときは、心理的な要因が関係している可能性もあります。専門家のカウンセリングを受けるなどして、気持ちを楽にしてあげることも治療方法のひとつですよ。
成長痛は子供の気持ちに向き合おう
子供はちょっとした環境の変化にも敏感で、親の様子もよく見ています。成長痛は心理的な要因が大きいとされているので、いつもよりスキンシップを増やしたり、優しく話を聞いてあげたりと、子供に寄り添ってあげてくださいね。
また、スポーツをしているときに子供が痛みを訴える場合は、成長痛の一種である「オスグッド病」の可能性もあります。ひどくなると手術をする必要も出てくるので、早めに病院を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。