子供のかかと・膝に痛み!原因や対処法は?病院へ行くべき?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

元気よく遊んでいた子供が、ある日突然、かかとや膝など足の痛みを訴えることがあります。単なる疲労によって起こっていることもありますが、足の病気が原因で痛みが出ていることもあるので、注意が必要です。それでは、どのように対処すれば良いのでしょうか?今回は子供のかかとや膝の痛みについて、原因や病院へ行く目安、対処法などをご紹介します。

子供のかかとや膝の痛みの原因は?

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子供のかかとや膝に痛みがある場合、疲労が蓄積して起きていることもありますが、以下のような原因によって生じていることもあります。

成長痛

成長痛とは、主に2歳~10歳くらいの成長期の子供が夕方から夜にかけて、足を痛がる状態をいいます(※1)。泣いて痛みを訴える場合もありますが、痛みがある部位が腫れていたり、炎症を起こしていたりすることはなく、翌日には何事もなかったかのように歩き回ります。

月に数回起こり、子供によっては1~2年くらい続くこともあります。昔から「成長痛の症状が出ると背が伸びる」といわれていますが、成長痛を経験せずに身長が伸びる子供もいるため、身長の伸びと成長痛に明確な相関関係があるわけではありません。

シーバー病

シーバー病は、足に負荷がかかることで、かかとの軟骨部である踵骨骨端核(しょうこつこったんかく)が炎症を起こす病気です。踵骨骨端症とも呼ばれています。

10歳くらいの男の子がなりやすく、主な症状はかかとの圧痛(押すと痛みが出ること)や腫れです。

多くの場合、激しい運動をした後に症状が現れます。かかとの痛みが原因で、つま先歩きをするようになることもあります(※2)。

ペルテス病

ペルテス病は、太ももの骨の頭である大腿骨骨頭が壊死する病気で、発症率は1万人に1人程度です。

3歳~13歳頃、痩せていて、低身長で、元気な子供が発症する傾向にあり、男の子は女の子より4~5倍多く発症が見られます(※3)。

ペルテス病を発症すると、主な症状として股関節から膝にかけての痛みと、足をひきずっての歩行が見られます。発症したての頃は、歩けないほどの強い痛みを感じることはあまりなく、病気になっていることに気づかないこともあります。

治療が遅れてしまうと、壊死の範囲が大きくなってしまうので、早期治療が肝心です。

子供のかかとや膝の痛みで病院へ行くべき?

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子供のかかとや膝の痛みは、一時的な疲労で起きている可能性があります。痛みがひどくなければ、激しい運動を控え、安静にしてしばらく様子を見てみましょう。

運動を控えても、痛みが回復せずに続く、痛みが激しい、明らかな腫れがあるといった場合には、足に何らかの問題が起きている可能性があるので、整形外科のある病院を受診してください。

子供のかかとや膝の痛みの治療法は?

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子供のかかとや膝の痛みの治療法は、その原因によって異なります。

成長痛

成長痛の原因については明らかになっておらず、「これをすれば治る」という対処法があるわけではありません。

子供がうまく足の疲労を言葉で現せず、「痛い」と表現で足の症状を訴えているときがあります。また、親や周囲の人に構ってもらいたいという気持ちの表れで成長痛が起きている可能性も指摘されています。

成長痛が見られたときは、足に大きな負担がかかるような運動を控え、「大丈夫だよ」と優しく声をかけたり、足をさすったりしてあげましょう。

お風呂に入ったときに足のマッサージをしてあげたり、子供の話をゆっくり聞いてあげたりして、愛されているという安心感を子供に与えると、症状が治まることがあります。

成長痛が長期間にわたって続き、心理的要因によって起きていると医師が判断した場合は、専門医の心理カウンセリングを受けて、成長痛の解消を試みます(※1)。痛みが強ければ、痛み止めを飲むこともありますよ。

シーバー病

シーバー病の治療では、激しい運動を控え、痛みがある部分を安静にして過ごします。強い痛みが長期間にわたって続く場合は、松葉杖や足底挿板と呼ばれる靴の中敷きを使用します。

症状が治まるまでに、数年かかることもあります(※2)。

ペルテス病

壊死した大腿骨骨頭は吸収され、なくなっていき、新しい骨が1~2年かけて再生されていきます。しかし、再生されたばかりの骨は柔らかいので、治療用の装具をつけて、骨にかかる負荷を減らします。

ペルテス病の治療では、骨成長が完了する10歳代後半まで経過観察を行うのが一般的です(※3)。骨の再生がうまくいかないときには、外科的手術を行うことがあります。

子供のかかとや膝の痛みはストレッチで予防

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かかとや膝を痛めないようにするには、ストレッチを行うことが大切です。

体の柔軟性が低下していると、かかとや膝を痛めやすいので、運動前はしっかりと体を動かす「動的ストレッチ」を行うよう子供に教えましょう。そして、運動後は呼吸を整えながらゆっくり行う「静的ストレッチ」で、体に疲労が溜まらないようにします。入浴後にも静的ストレッチは効果的ですよ。

子供は早く遊びたい気持ちが先行して、ストレッチせずに運動しがちです。まずはママやパパと一緒にストレッチをして、準備運動することの大切さと楽しさを教えてあげてください。

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