赤ちゃんが吐血する原因と対処法は?新生児でも血を吐くことがある?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「吐血」というと、大人だけに起こること…と思われがちですが、実は生後間もない新生児にも起こることがあります。でも実際に赤ちゃんが目の前で血を吐いたら、とても驚いてしまいますよね。今回は、なぜ赤ちゃんが血を吐くのか、その原因や対処法をご紹介します。

赤ちゃんが吐血!原因は?

赤ちゃん 泣き顔 泣く 悲しい

ママやパパですら、血を吐いた経験がある…という人は、あまりいないのではないでしょうか。赤ちゃんが突然血を吐いたら、パニックになってしまいそうですよね。

赤ちゃんが吐血する原因はいくつかありますが、それほど心配する必要がないときと、病院に診てもらわなければいけない病気であるときがあります。

ママの乳首から出血がある

授乳で赤ちゃんがママの乳首を吸うとき、乳首が痛いと感じた経験のあるママは多いのではないでしょうか。赤ちゃんの吸い方やママの乳頭の形により、授乳時に乳首に負担がかかり、痛みだけでなく時には出血してしまうこともあります。

その血を赤ちゃんが母乳と一緒に飲み込んだあと、吐き出すことがあります。このとき、赤ちゃんが血を吐いたように見えることがあるのです。

赤ちゃんに歯が生えてくると、乳首を噛んで痛い、という経験があるママも多いことでしょう。この場合の吐血は、特に問題があるわけではありません。

赤ちゃんが母乳と一緒に血を吐いたときは、まずママの乳首に傷がないか、血が出ていないかなどを確認してみましょう。

食道、胃、十二指腸からの出血

出血は消化管のどこからも起こりえます。特に上方の食道、胃、十二指腸からの出血は、ストレスなどが原因で吐血となって外に出ることも多いものです(※1,2)。これらが原因の場合は、病院に診てもらう必要があります。具体的には、以下のような病気が考えられます。

胃食道逆流症

赤ちゃんがミルクを飲んだ直後に吐きだしてしまうのは、よくあることですよね。これは消化器官が未熟なため、生理的に逆流してしまって起こります。ただし繰り返し吐くと食道の粘膜を痛めてしまうこともあります(※3)。

悪化すると炎症の部分に潰瘍ができ、それができたり治ったりを繰り返しているうちに固くなってしまいます。そうすることで潰瘍から出血して吐血したり、食道の通りが悪くなります。

また逆流した胃の内容物を気管に吸い込むと、急激な呼吸困難などから気管支炎や肺炎を引き起こしてしまうこともあります。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍

胃潰瘍や十二指腸潰瘍というと、ストレスの多いサラリーマンにありがちな病気と思いがちですが、実は赤ちゃんもなることがあります。

原因は生まれるときのストレスや低酸素などで、吐血だけでなく下血(便に血が混ざったり、血だけが肛門から出る)が見られる場合もあります。また嘔吐や下痢の症状が同時に起こることもあります(※2)。

新生児でも血を吐くことがあるの?

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生後2~4日に発症することが多いのが、ビタミンKの不足による吐血の特徴です。ビタミンKは、胎盤を通りにくいという性質があります。また母乳にもビタミンKがあまり含まれないので、生まれたばかりの赤ちゃんがビタミンK不足になってしまうことがあります(※4)。

ビタミンKには血を固める作用があるためビタミンKが不足すると、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなり、消化管から出血することで、吐血してしまうのです。また血便や肛門から血が出る症状が同時に起こることもあります。

ただし最近は、産院で新生児にビタミンKを補充する処置がとられているため、このような症状はあまり見られなくなっています。

赤ちゃんの吐血の原因はどうやって診断する?

赤ちゃんが吐いた血が、ママの血なのか赤ちゃんの血なのかがわからないときは、アプト試験というもので検査します(※1)。これは吐いた血に水酸化ナトリウムを混ぜて色の変化をみるもので、ママの血であればすぐに色が濃くなりますが、赤ちゃんの血であればその変化が穏やかになります。

また、吐いた血の色からも出血した場所を推測できます。胃液や腸液にさらされると血が黒くなるため、色が濃い場合は胃や十二指腸からの出血が疑われます(※5)。ただし、大量に出血した際は、胃や十二指腸からの出血でも血が赤いこともあります。

赤ちゃんが吐血したら、どう治療する?

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ビタミンK不足の場合は薬で補ったり、ママの食生活を見直すことが必要となります。また逆流性食道炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍が原因のときは、病院で薬を処方してもらい、胃酸を抑えるのが主な治療法です(※2,3)。

ただし大量に吐血、下血したり、症状が続くようであれば、輸血を行ったり、外科的な手術を行うこともあります(※5)。

赤ちゃんが血を吐いても、まず冷静に

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今回ご説明したように、赤ちゃんの吐血は、緊急度の高いものから経過観察だけでいいものまで対応がさまざまです。少量の出血でも、心配なときは小児科で相談すると安心です。

また大量に血を吐いたときは、原因そのものに緊急性はなかったとしても、体が小さく血の量も少なめな赤ちゃんにとっては一大事となりかねないので、救急で病院に行きましょう。

血を吐くというのは、大人でもショックなこと。まして赤ちゃんが急に血を吐いたら、周りの大人はパニックになりますね。しかし、赤ちゃんの顔色や呼吸などの全身の状態を判断して、的確な対応をすることが大切です。吐血があったらまず落ち着いて、適切な対処法を見つけてあげてくださいね。

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