【妊婦の栄養ドリンク】飲んでもいい?妊娠中にリポビタンDはOK?

監修専門家 管理栄養士 渡辺 亜里夏
渡辺 亜里夏 神奈川県立保健福祉大学卒業後、予防医学に興味を持ちドラッグストアへ就職。その後独立し、現在はフリーランスの管理栄養士として特定保健指導、ダイエット指導、コラムの執筆、企業様での研修などを中心に活動。い... 監修記事一覧へ

妊娠週数が進んでお腹が大きくなってくると、何をするのも大変で、一日が終わる頃にはぐったりしてしまう人も多いのではないでしょうか?そんなときは、リポビタンDなどの栄養ドリンクを飲みたいと思っても、栄養ドリンクにはいろいろな成分が含まれていて、妊娠中に飲むと胎児に悪影響を与えるのではないのかと気になると思います。そこで今回は、妊婦さんは栄養ドリンクを飲めるのか、飲んでいいもの・ダメなものをご紹介します。

そもそも栄養ドリンクってどんなもの?

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栄養ドリンクとは、体が疲れているときの「滋養強壮&栄養補給」を目的とした飲み物をいいます。ビタミンやアミノ酸、生薬由来のエキスなどが配合され、疲労回復の効果が期待できるのが特徴です。

体に作用する成分が配合されているので、第三類医薬品に分類されるものもありますが、医薬部外品として扱われているものがほとんどです。具体的な商品では「ユンケル」「リポビタンD」「チョコラBB」などがよく知られていますね。最近では「レッドブル」のような、いわゆるエナジードリンクも栄養ドリンクとして扱われています。

妊婦は栄養ドリンクを飲んでいいの?

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体に作用があると聞くと、妊婦さんは飲んではいけないと反射的に思ってしまうかもしれませんが、きちんと注意書きを読んで、用法・用量を守っていれば妊婦さんも栄養ドリンクを飲むことはできます。

むしろ栄養ドリンクのなかには「産前産後の栄養補給に」や「妊娠・授乳期の栄養補給に」と記載されているものもあるくらいなので、妊婦さんが飲んでも問題はありません。

ただし、栄養ドリンクのなかには妊娠中は控えたほうがいい成分を含むものもあるので、妊娠中でも飲んでいい栄養ドリンクの選び方を知っておくことが大切です。

妊娠中に飲める栄養ドリンクを選ぶポイントは?

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妊娠中に飲んでもいい栄養ドリンクを選ぶときは、何よりもまずラベルの注意書きを確認してください。「妊娠中・授乳中の栄養補給に」という表記があれば、基本的に問題はありません。

ただ、なかには妊婦さんが飲めるかどうか表記のないものもあるので、その場合は以下の注意点をチェックしてみてください。

以下の項目に該当していなくても、不安があるときは飲む前にかかりつけの産婦人科医に相談してくださいね。

ポイント1. カフェインを含んでいないか?

栄養ドリンクにはカフェインが多く含まれているものがあります。

妊娠中のカフェイン摂取は絶対にダメというわけではありませんが、海外では妊娠中のカフェイン摂取量は200〜300mg以内とされているので(※1)、普段からコーヒーや紅茶などを飲んでいる人はノンカフェインの栄養ドリンクを選んだほうが安心ですよ。

ちなみに、エナジードリンクの代表的な商品である「レッドブル」にはコーヒー約1杯分相当の80mgのカフェインが含まれているので、妊婦さんは摂取量に気をつけましょう(※2)

ポイント2. カロリー、糖質は高くないか?

妊娠後期になるとお腹が大きくなって体力を消耗しやすくなるため、栄養ドリンクにも頼りたくなる時期です。しかし妊婦さんは体重が増えやすいので、カロリーや糖分の摂取量には注意が必要です。

栄養ドリンクは栄養補給をうたっているだけあって高カロリーで糖質が高いのものが多いので、栄養ドリンクを飲んで1日の摂取カロリー量の上限を超えないようにしてくださいね。

また、妊娠中に糖質を摂りすぎると「妊娠糖尿病」のリスクが高まります。妊婦さんが糖質の高い栄養ドリンクを飲むときは、他の食事などで糖分量を調整するようにしましょう。

ポイント3. アレルギー成分は含まれていないか?

栄養ドリンクには多様な食物のエキスが入っています。アレルギー体質の妊婦さんは、アレルゲンになる物質が混ざっていないか成分表示を確認してくださいね。

ポイント4. アルコール成分は含まれていないか?

一般的な栄養ドリンクには、微量ですがアルコールが含まれています。妊娠中の赤ちゃんに悪影響を与えるほどではありませんが、アルコールに特に弱い人やアルコール過敏症の人は控えたほうが安心です。

妊婦が飲めるおすすめの栄養ドリンクは?

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妊娠経過が順調で、前述の点をしっかり守って選べば、妊婦さんが栄養ドリンクを飲んでも構いません。しかし、どれを飲んだらよいかと悩む人もいると思うので、妊娠中にも飲めるおすすめの栄養ドリンクをいくつかご紹介します。

以下はどれも「効果・効能」として「妊娠・授乳期の栄養補給」が記載されているものなので、安心してくださいね。

「チョコラBB ドリンクビット」エーザイ

ノンカフェインでカロリー控えめな栄養ドリンクです。ビタミンB群がバランスよく配合されているので、妊娠中や授乳中の疲れにおすすめです。

「リポビタン ノンカフェ」大正製薬

栄養ドリンクのなかでも知名度が高い「リポビタンD」のノンカフェインタイプです。つわりがひどくて食事量が減っているときの栄養補給に活用できますよ。

「アルフェ ネオ」大正製薬

頑張る女性向けに作られた栄養ドリンク「アルフェ」シリーズのノンカフェインタイプ。鉄分が多く含まれているので、貧血が気になる方におすすめです。

ただし、貧血のために病院から鉄剤を処方されている妊婦さんは、鉄分の過剰摂取になる可能性があるので飲む前に医師に確認しましょう。

「ビタシーローヤル3000ZERO」常盤薬品工業

カフェインと糖類がどちらもゼロの栄養ドリンクです。滋養強壮に有効なタウリンやローヤルゼリー配合なので、妊娠中ぐったり疲れたときに飲むと良さそうですよ。

妊娠中に栄養ドリンクを飲む場合に注意すべきことは?

チェックリスト

栄養ドリンクを飲むときは、翌日に妊婦健診がないかどうかを確認しておきましょう。

栄養ドリンクを飲んだあとに尿が真っ黄色になった経験があると思いますが、これは栄養ドリンクで摂取したビタミンB2などの栄養素のうち、余分なものが排泄されるからです。

妊娠中も、栄養ドリンクを飲むと尿に含まれる栄養素が普段とは違ってきて、尿検査や血液検査の数値に影響を与える可能性があります。もし妊婦健診の前日に栄養ドリンクを飲んだときには、検査を受ける前に事前に栄養ドリンクを飲んだことを報告しておきましょう。

妊娠中の栄養ドリンクは「補助」と考えよう

栄養ドリンクは、妊娠中に不足しがちな栄養素を手軽に補給でき、疲労回復を助ける栄養素も含まれるので、妊婦さんにとって頼もしい存在ですね。ただ、栄養ドリンクはあくまでも足りない栄養を補う「補助食品」であることを忘れないでください。

基本は食事で栄養をとることが大切なので、三度の食事をとってもどうしても栄養素が不足してしまう、あるいは固形物を食べるのがつらいという場合に栄養ドリンクの助けを借りましょう。頼って飲み過ぎていると特定の栄養素を過剰に摂取してしまう可能性もあるので、「いざというときの栄養ドリンク」と考えて付き合ってくださいね。

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