子どもがかかるものというイメージのある「りんご病」ですが、大人が発症することもあり症状が重くなる危険性も。特に妊娠中にりんご病を発症すると、お腹の赤ちゃんにも悪影響を与える恐れがあります。
現在、りんご病の感染が増加し、過去5年間の同じ時期と比べて患者数がかなり多くなっています(※1)。また、2025年は全国的な流行が危惧されていて引き続き注意が必要です(※2)。
今回は、りんご病はどのような病気か、妊娠中に感染したときのお腹の赤ちゃんへの影響や予防法などをご説明します。
りんご病とは?大人も感染する?

りんご病は、正式名称は「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」という感染症です。ほっぺたに蝶の羽のような紅斑が現れるのが特徴で、その様子がりんごのように見えることから、この名前がつけられました。
りんご病の特徴は潜伏期間が長いことで、感染から症状まで10~20日ほどかかります(※3)。症状が現れる前のこの潜伏期間が一番感染力が強いので、りんご病に感染していることに気づかないまま、感染が拡大するケースがよくあります。
また、りんご病は5〜9歳の子どもがもっとも感染しやすい病気ですが、一度も感染したことがない人や、かかってもきちんと免疫が作られなかった人は、大人になってからでも感染することがあります(※3)。
大人のりんご病は症状が重くなる?

子どものりんご病の症状
顔や体に紅斑が出るのが特徴で、微熱や倦怠感など風邪のような症状を伴いますが、それほど重い症状は現れません。
大人のりんご病の症状
紅斑は出ないことが多く、子どもと同じように軽い微熱程度ですむことがほとんど。しかし、まれに重症化すると、倦怠感や関節痛、頭痛などが現れることがあります。関節痛はひどくなると、数日間歩けなくなるほどの痛みを感じることもあります。
妊婦のりんご病は胎児に影響がある?

妊娠中にりんご病に感染すると、妊婦さん自身は紅斑が出たり、風邪の諸症状が現れたりするだけで問題はありません。しかし、お腹の赤ちゃんに「胎児貧血」や「胎児水腫」と呼ばれる深刻なトラブルを引き起こす恐れがあります(※3)。
おなかの赤ちゃんが胎児水腫になると、自然に治る場合もありますが、最悪の場合には流産や死産を招くこともあります。生まれることができても、呼吸器や循環器系に障害が残り、予後が悪くなることが多いため注意が必要です。
妊婦のりんご病が胎児に感染する確率は?

妊婦がりんご病に初めて感染した場合、約20%の割合でウイルスが胎盤を通過して胎児感染を起こし、そのうち約20%で胎児の貧血や胎児水腫を引き起こします。これは、りんご病に初めて感染した全妊婦の約4%にあたるとされていました(※4)。
一方、2011年に行われた厚生労働省の調査では、りんご病が胎児に感染した妊婦のうち約70%が、流産や死産に至ったという報告もあります(※4)。
妊娠中はりんご病の感染予防を心がけて
りんご病自体は感染力がそれほど強いものではないので、外出時にマスクをする、家に帰ったら手洗い・うがいを徹底する、子どもが多く集まる場所に近づかないなど、継続的な予防が大切。
また家庭内では、感染した人と接触すると約50%の確率で感染するといわれているので、2人目、3人目を妊娠中のママは、上の子が風邪っぽいなと感じたら、食器や食事、タオルを別にするなど、できるかぎり感染しないように気をつけましょう(※5)。
赤ちゃんに感染する可能性があると思うと不安が募るかもしれませんが、あまり不安に思いすぎず、健康的な生活を心がけることが、お腹の赤ちゃんを守ることにつながりますよ。