子供の歯科矯正は何歳からできる?治療方法や費用、注意点は?

監修医師 歯科医師 茂山 久夫
茂山 久夫 九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Compre... 監修記事一覧へ

子供の乳歯が生え揃うと、歯並びや噛み合わせが気になることがありますよね。食べものを噛みにくそうにしていたり、口の中を気にしていたり、子供本人が違和感を覚えている場合は、永久歯のために矯正が必要なこともあります。そこで今回は、子供の歯科矯正について、何歳から始めるものなのか、治療方法や費用、注意点をまとめました。

子供の歯科矯正とは?何歳から始める?

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子供の歯科矯正とは、歯並びだけでなく、顎の大きさやバランスを整える治療方法で、ヨーロッパをはじめ欧米で古くから取り入れられています。3歳頃からはじまる歯科検診などで、「不正咬合」や「歯並び」を指摘され、再度詳しい検査をした上で必要と判断された場合、1~1年半ほどかけて治療します。

子供の歯科矯正は、1期治療で3歳~12歳の間に骨格矯正を行い、2期治療で10歳~成人の間に歯列矯正を行いますが、特に、永久歯に生え変わるか、顎などが成長する6~14歳で始めるのが適しているといわれています。1期治療でしっかりと永久歯が並ぶ土台ができると、2期治療が必要ないことや、部分的な歯列矯正で済むことも。治療内容によっては、永久歯が生え揃ってからの方がいい場合もあります。

「不正咬合」の種類

● 叢生
顎の骨が狭く、歯全体が押し合って、歯列がでこぼこになっている状態。
● 反対咬合(受け口)
下の歯が上の歯の前に出て、咬み合わせが反対になっている状態。
● 開咬
奥歯を噛んでも前歯や横の歯の上下に隙間ができ、咬み合わせることができない状態。
● 上顎前突(出っ歯)
上の前歯が前に突き出ている状態や、上顎全体が前に傾いている状態。
● 下の前歯の重複萌出
顎の骨が狭く下の前の乳歯がうまく抜けず、後ろから永久歯がはえて歯並びがデコボコになっている状態。
● 緊密歯列
乳歯は4~5歳くらいだと隙間があるのが正常であるのに対し、隙間がない状態。乳歯より1.3~1.5倍の永久歯が生えるときに隙間がなく、叢生になる可能性が高い。
● 側方交叉咬合
上下の顎の大きさが合わず噛み合わせが横にずれてしまう状態。放置すると顔がゆがむことも。
● 過蓋咬合
下の前歯が上の歯の後ろの歯肉に当たるほど、噛み合わせが深くなってしまう状態。
● 前歯の交叉咬合
上の前歯が下の前歯の後ろにずれている状態。顎関節に負担がかかり痛めてしまうことも。
● 空隙歯列
上の前歯の隙間が2mm以上開いている状態。
● 萌出異常
乳歯の虫歯などで、永久歯が正しい位置に生えてこない状態。歯の全体の噛み合わせが悪くなることもある。
● 永久歯の叢生・位置異常
永久歯に生えかわった後の叢生や位置異常。

子供の歯科矯正の治療方法は?

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子供の歯科矯正の方法は、初診でしっかりと子供の状況を伝え、口内をくまなく検査するところから始まります。矯正が必要となった場合は、治療に入る前に治療方法の説明と支払い方法などが説明されることがほとんどです。治療の緊急性、必要性を納得するまで話し合ったのちに、先生と親が一緒に治療計画を立てていきます。

矯正には歯並びや顎の調整をするために、それぞれに適した装置を使用して行います。以下に、子供の歯科矯正で主に使用する装置をまとめたので、参考にしてください。

子供の歯科矯正の種類

●ブラケット矯正(プラスチック又はセラミック)
歯の表面に、1本ずつプラスチックやセラミックでできたブラケットという装置を付けてワイヤーで繋いだもの。装置が透明や白色なので、目立ちにくいのが特徴。

●リンガルブラケット
歯科矯正をしているのを目立たせないよう、歯の裏側にブラケットという装置を付けてワイヤーで繋いだもの。特に目立つ上の歯だけリンガルブラケットにする方法もあります。

●メタルブラケット(金属)
比較的治療費を抑えられるのが、メタルブラケット。耐久性が高く、変形したり、すり減ったりしないことが特徴。金属を使用するので、会話中に目立つことが気になる人も。

●アライナー矯正
マウスピースのような形で、0.5mmほどの薄くて透明な矯正装置。自分の歯型を元に矯正する位置を計算して作られるので、違和感が少ないのが特徴。周りから見ても、矯正していると気付かれにくいのが特長。食事や歯磨き、寝るときに取り外すことができるので、汚れが付きにくく、痛みがあるときも外せて負担が少ないが長時間外すと矯正に意味がなくなってしまうので、子供が勝手に外していないか管理が必要。

●プレート型(床矯正/取り外し可能)
口の裏側、床下粘膜部につけるプラスチック製の床部分と表側の歯を支える金属でできた装置。主に第1期に使われます。

●バイオネーター・FKO(取り外し可能)
下あごの成長を促す「機能的矯正装置」。下顎の発達がまだ見込める成長期に使うと効果的。1日10時間以上の着用が必要な場合も。

●ムーシールド
主に反対咬合(受け口)の治療で使われます。3~6歳くらいの乳歯列期に使われることが多い、透明のマウスピース型の矯正装置。

子供の歯科矯正の費用は?

子供の歯科矯正の費用は、治療の度合いや使用する装置によって大きく異なりますが、乳歯だけの場合は、3~20万円、乳歯と永久歯が混ざっている場合は15~60万円が一般的だといわれています(※1)。ただし、金額は自由に設定できるので、医院によって大きく差があるもの。事前にホームページや電話などで確認すると安心ですね。

歯科矯正は、基本的に健康保険の適用外です。大きなお金が必要になることから、デンタルローンを利用する人も少なくないようです。医師の診断で歯科矯正の必要性が高い場合は、歯科矯正でも医療控除の対象となる場合もあるので、確認してみましょう。

歯科矯正は高額ではありますが、とても大切な治療です。歯の噛み合わせが悪いだけで後々体に不調が出ることもあります。また、大人になってから治療するよりも、比較的安く治療することができるので、早期の治療を検討してみるのもいいですね。

子供の歯科矯正の注意点は?

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子供の歯科矯正の注意点は、ママやパパがしっかりと治療中や治療後のメンテナンスをしてあげることが第一です。歯科矯正に使用する装置はとても複雑で、食後に食べものが挟まってしまったり、歯磨きをしてもなかなか取れなかったり、汚れが残ってしまうことがよくあります。仕上げの歯磨きチェックをすることや、汚れを発見する液でチェックすることも大切。放っておくと、矯正装置のせいで虫歯になってしまうこともあります。

また、装置を付けた直後は痛みを伴うことも。歯の移動に伴う痛みは慣れるしかありませんが、傷などが着いている場合は対処が必要です。口内はよくチェックしてあげましょう。治療中はもちろん、治療後もしばらくは定期健診で経過をみるようにしましょう。

ママやパパがしっかりサポートしてあげましょう

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子供の歯科矯正は、子供にとって大きな負担に感じるもの。口の中の違和感からイライラしてしまったり、集中力が切れたりすることもあるので、慣れるまではしばらく様子をみましょう。あまり気になるようであれば医師に相談するだけでなく、幼稚園や保育園、小学校に通っている場合は、担任の先生に一言伝えておいても良いかもしれません。こまめに声をかけて、不安や不満を溜めないようにしてあげましょう。日々の口内のケアとモチベーションの維持が、子供の歯科矯正には一番大切なことかもしれませんね。

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