乳歯が抜けない原因は?生え変わらないときは病院へ行くべき?

監修医師 歯科医師 茂山 久夫
茂山 久夫 九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Compre... 監修記事一覧へ

子供の乳歯がなかなか抜けないと、ママとしてはとても心配になりますよね。乳歯が生える時期と同様に、抜ける時期にも個人差があるもの。しかし、なかには乳歯が抜けないのに永久歯が生えてくることもあり、対処法や歯並びへの影響が気になりますよね。そこで今回は、乳歯が抜けない原因、同時に永久歯が生えてしまうケースや歯並への影響についてまとめました。

乳歯から永久歯に生え変わる時期は?

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乳歯が抜けて永久歯に生え変わるのは6歳前後から。その後、6〜7年かけて12歳頃までに徐々に永久歯へと生え変わります(※1)。親知らずは20歳頃に生えることも。

乳歯は全部で20本あり、食事をしっかりと咀嚼して摂ることで栄養を吸収しやすくするほか、自分で食べる力を身につけたり、顎や顔の形を整えると同時に永久歯が生える場所を確保したりする大切な役割があります。

顔の骨格の変化や顎の発育に伴い、乳歯が抜けた部分から28本(親知らずを含めると32本)の永久歯が生えてきます(※2)。

乳歯が抜けない・生え変わらない原因は?

疑問 クエスチョン

成長につれて乳歯が抜けていくのは当たり前、と思うかもしれませんが、なかにはなかなか抜けずに生え変わらない場合もあります。

乳歯が抜けない、生え変わらないといった場合は、一度歯医者でレントゲンをとってもらい、永久歯が乳歯の下で成長しているかを確認する必要があります。

抜ける時期に関しては成長の個人差もありますが、まったく抜ける気配や生え変わる様子がみられず、以下のような状態であれば、歯医者を受診しましょう。

歯と顎の大きさが合わない

乳歯が抜けない原因として、あごのスペースが不足していることが考えられます。

顎の大きさは遺伝も影響していますが、特に最近は、柔らかい食べものが増えて噛む回数が減り、顎がしっかりと発達しないことがあります(※4)。

乳歯が癒合歯になっている

癒合歯とは2本の歯がくっついて、1本になっている状態の歯を指します。癒合歯の場合、永久歯が1本欠如し、生えてこない可能性もあります(※5)。癒合歯の歯根が溶けにくく、乳歯が残ってしまうことも。

癒合でくぼみがあれば虫歯にならないよう日々のケアに気をつけて過ごしましょう。問題がなければ特に治療の必要はありませんが、状態によっては抜歯などで処置が必要なこともあります。

永久歯が生まれつき欠如している

生まれつき永久歯の本数が少ない「先天性欠如」の場合、乳歯が抜けずに生え続けることもありますが、基本的に乳歯は20歳前後で抜けてしまいます(※3,4)。

状態によっては、隙間を埋める治療や、矯正が難しいときにはインプラント治療をすることもあります(※3)。

乳歯が抜けないのに永久歯が生えてきたら?

なぜ why

乳歯がいつまでも抜けないときに、横から永久歯が生えてきてしまうというケースも珍しくありません。

主に以下のような症状が見られるときは、歯医者で診察してもらいましょう。レントゲンを撮影し、治療が必要かどうか判断されます。

永久歯が生えてきたのに乳歯が残っている

まだ表には出ていない状態ですが、永久歯は歯茎の中で生えてきます。乳歯の根の近くまで生えてくると、通常は乳歯の根が徐々に溶けて、自然と抜けていきます。

しかし、根がうまく溶けずに残ってしまうと、乳歯が抜けず、その乳歯を避けるようにして永久歯が生えてしまうことがあります。

すでに乳歯がグラグラしている場合には、ある程度放っておきながらも、自然に取れるよう促しましょう。それでも抜けないときは歯医者で抜歯する必要があります(※4)。

永久歯が乳歯と並んで二枚刃のように生える

通常は、乳歯の真下から永久歯が生えてくることで、乳歯が押し出されて抜けます。しかし、ずれて生えている場合には、うまく乳歯を押し出すことができません。

すでに押し出されてグラグラしていれば放っておきますが、自然に抜けそうもない場合は、抜歯や矯正治療を行うこともあります。

乳歯が抜けないと歯並びに影響する?

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癒合歯や先天性欠如などが原因で乳歯が抜けず、生え変わらない場合は、周辺の歯が傾いてしまうことや、全体の歯並びや咬み合わせに影響することがあります。咬み合わせがうまくいかずに、顎関節症になるケースもあります(※3)。

前述のような歯のトラブルがある場合は、その後に処置が必要かを歯科医に確認しましょう。

また、歯や歯茎のトラブル以外でも、乳歯が虫歯になり、早い時期に抜歯をしてしまった場合は、永久歯が生えるスペースがなくなってしまうこともあります。指しゃぶり、頬杖などが歯並びに影響することも(※4)。

歯の定期健診を習慣づけて、日頃から異変に気づけるようにしておきましょう。

乳歯が抜けないときはしばらく様子をみよう

歯医者

乳歯が抜ける時期には個人差があるので、あまり神経質にならないでくださいね。すぐに判断せず、しばらく様子をみるようにしましょう。

しかし、平均的な時期を大きく過ぎても抜ける気配がないときや、乳歯が抜けても永久歯が全然生えてこないときは、歯医者を受診してください。

早めに気づくことで治療以外の対処法などのアドバイスをもらえることもありますよ。

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